IBM i 7.4はSQLが簡単に使える機能を満載 ~ACS V1.1.8の強化ポイント |特集|IBM i 7.4 PART 6

DB開発の生産性を大きく向上させる多数の新機能

 

澤田 英寿氏

日本アイ・ビー・エム株式会社 
システム事業本部
Power Systemsテクニカル・セールス
シニアITスペシャリスト

 

システム管理者や
DBエンジニア向け機能を強化

 IBM i 7.4の発表と同時に、IBM i Access Client Solutions(以下、ACS)の最新バージョン V1.1.8.2が、下記からダウンロード可能になっている。

https://www.ibm.com/services/forms/preLogin.do?source=swg-ia(要IBM ID)

 今回の機能強化はDXへの対応が主眼で、主にオープンソース開発者がDevOpsやアジャイル開発を進める際に活用できる機能が追加されている。とくにシステム管理者とデー タベース・エンジニア向けの新機能が多い。それらを活用すると、DXの実現に必要な、SQLによるデータベースの開発生産性が飛躍的に向上する。また、5250エミュレータや印刷機能の修正も含まれているので、常に最新版をダウンロードして使ってほしい。

 まず、ACSの機能を再確認しておこう。

 ACSとは、Linux、MacおよびWindowsを含めて、JavaをサポートするOSの上で稼働するIBM iアクセスのツールである(図表1)

 5250エミュレータ(印刷機能含む)やデータ転送機能を利用するには、IBM i Access Familyライセンス(5770-XW1)が必要で、それ以外の機能はIBM iライセンスのみで使用できる。ACSには、5250エミュレータのみならず、IBM iの管理のために、以下のような機能が含まれている(図表2)

・5250エミュレータおよびプリンタ・エミュレーション

・データ転送(OpenDocumentスプレッドシート(ods)、Excel、そのほかのファイル形式をサポート)

・IBM iコントロール・パネルのGUIが備わった仮想制御パネル

・LANコンソール用の5250コンソール機能

・ASMI、IVM、HMC を含むハードウェア管理インターフェース

・データベース管理機能(スキーマ操作、SQLスクリプト発行、SQL Performance Center)

・IBM Navigator for i起動

・オープンソース・パッケージ管理(図表3)

 

開発生産性を向上させる
IFSとソース物理ファイルへの保管

 ここからは、今回の機能強化のポイントを解説する。

 オープンソースやFFRPG(フリーフォームRPG)を使った開発では、プログラムソースをIFSへ直接配置することによって、Gitによるバージョン管理やOrionなどのオープン
ソースのエディタを用いた開発が可能になる。

 今回の新機能では、SQLスクリプトをIFSストリーム・ファイルおよびソース物理ファイルへ保管しオープンできるようになった。開発者がSQLを共有し実行可能になったこ
とにより、SQLを利用するプログラムの開発生産性が大きく向上する(図表4、図表5)

 

 また、ACSのSQLスクリプト実行ツールを使い、SELECT文の後にFOR UPDATEを付加することで、テーブルを直接更新することが可能になった(図表6)

 さらに、SQLによるプログラム開発の生産性向上に役立つ機能として、SQLスクリプトのフォーマット設定と文法エラーを自動的にチェックする機能が追加された。「SQLフォーマッター」と呼ぶ機能で、複雑なSQL文をインテンドして文法をチェックし、エラーをハイライトしてくれる。便利な機能で、SQLプログラムの開発生産性が飛躍的に向上 するだろう(図表7)

 SQLスクリプトの実行に関する機能強化としては、さまざまなIBM iサービス(セキュリティ、スプール、ストレージ、PTFなど)をSQLで簡単に収集して管理するためのサンプル・スクリプトが多数提供されている。これらは、ACSから簡単に実行できるので、自社のシステムの監視・運用に役立ててほしい。

ODBCドライバで
IBM i上のDBと直接通信

 またさらなる追加機能として、JDBC構成(JDBCを介してデータベースに接続するときに使用する設定)の際に、代替サーバー名を入力できるようになった(図表8)

 この 機能を使うと、たとえばDb2 Mirror for iでデータベースを2重化した際の障害対策が、より容易になる。

 また、ACSに付属しているWindowsアプリケーション・パッケージで機能強化がある。このパッケージは、ODBC、.NET、OLE DB、およびAFP印刷ドライバをサポートする。またLinuxアプリケーションパッケージはODBCをサポートする。

 WindowsおよびLinuxアプリケーションパッケージは、当初Electronic System Support(ESS)を通してのみ入手可能だったが、2018年7月以降、基本ACSパッケージをダウンロードするのと同じ方法で、これらのアプリケーションパッケージの英語版をダウンロードできるようになった。

 さらに、IBM i用のODBCドライバが使用可能になった。WindowsやLinuxのアプリケーション・パッケージと同じ方法でダウンロードできる。このODBCドライバは、IBM i 7.4 およびIBM i 7.3 TR6で発表されており、標準のODBCドライバでIBM i上のローカルデータベースと通信できる。

 ここまでACSの機能強化を解説してきた。今回も、SQLをより簡単に使える機能が満載されている。これまでSQLを使ってこなかった開発者にも、ぜひ利用していただきたい。

 

澤田 英寿氏

1988年、AS/400(IBM i)が誕生した年に入社。以来一貫してIBM iのテクニカル支援を担当。現在は、Power Systemsのパートナーの技術支援に従事している。

 

[i Magazine 2019 Autumn(2019年8月)掲載]

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PART 1 オールインワンの軸は曲げずにDXを支える技術の幅を拡大 

三ヶ尻 裕貴子氏
日本アイ・ビー・エム株式会社
システム事業本部Power Systemsテクニカル・セールス 部長

PART 2 DXを見据えたメジャーリリース IBM i 7.4の到達点

PART 3 アプリケーション開発機能の拡張・変更点

PART 4 超高可用性を実現するIBM Db2 Mirror for i

PART 5 SQL対応を大幅に拡大 Db2 for i関連の機能拡張

PART 6 SQLが簡単に使える機能を満載 ACS V1.1.8の強化ポイント

PART 7 Db2 for iのREST接続とオープンソース対応を拡充

PART 8 データのセキュリティを強化オブジェクトごとに権限設定が可能に