Home インタビュー-座談会 メンバーのスキルを高めないと、チーム全体の成長につながらない

メンバーのスキルを高めないと、チーム全体の成長につながらない

by kusui

山口 亜希子 氏

日本アイ・ビー・エム システムズ・エンジニアリング株式会社
DXソリューション 
Innovation Lab.
アドバイザリーITスペシャリスト

 

アプリケーション開発者もインフラの設定・構築ができないと
これからは使いものにならないと思う

 山口亜希子氏は2010年の入社後、ラショナル担当部門への配属となり、Rational Team Concert(RTC)の技術支援を担当した。

 RTCは、チームでソフトウェアを開発するためのコラボレーションツールで、ソースコードの変更管理や構成管理などソフトウェアのライフサイクル全体にわたって効率的な管理が行える。

 山口氏はその仕事を約2年担当したあと、アプリケーション開発を希望した。

 「開発ツールのサポートをやっているのにもかかわらず、ソフトウェア開発の経験がないために、この機能が何の役に立つのか、今いちピンとこないことがありました。きちんとした仕事をするには開発を経験したほうがよいと考えました」と振り返る。

 アプリケーション開発の案件に参画してからは、最初は主に自治体向けの災害対策アプリケーション、その後はビッグデータやIoT、モバイル関連のさまざまな業務アプリケーションの開発を担当してきた。

 3年ほど前から、朝夕の通勤電車のなかでQiitaなどの技術サイトやイベントサイトをチェックし、投稿の中身を調べたり、気になる技術イベントに積極的に出向いていくようになった。また1年半ほど前からは、IBM社内で使われているSlack上のテーマ別のSIG(special interest group)をマークし、チェックするようになった。

 「IBMが恵まれていると思うのは、Slack上にいろいろな技術チャネルが立っていて、グローバルで活発に議論が交わされていることです。それに刺激を受けることがとても多く、今は“いいね!”を返すくらいですが、今後はどんどん発信していきたいと思っています」

 現在ブックマークしている技術チャネルは、AR/VR、Design Thinkingなど。

 一方、外部のイベントへの参加は、「自分のモチベーションにつながるのが一番」と話す。

 「イベントに集まってくる技術的にすごい人たちを見ていると、それぞれの所属会社の成長はそうしたエンジニアの活躍があってこそなのだ、と率直に思います。開発力、運用力、発信力のどれをとってもすごく、圧倒されることも多々ありますが、いつも“負けていられない”という気持ちになります」

 そうしたエンジニアたちが集うイベントへ参加するなかで、山口氏は「自分はどうしてIBMに所属しているのだろう」と自問することがあったという。「すごいエンジニアのいる会社が魅力なら、何で転職しないのか」(山口氏)

 「それをじっくりと考えてみて、IBMはいろいろな業界のお客様の夢を実現する、そのお手伝いをできるところに魅力がある、と思い至りました。私自身、現在、自動車業界と製造業のお客様の開発を担当していますが、中身はまったく違うもので、いろいろなことに幅広く関われるのがIBMの魅力だと感じます。またVRなどエンタープライズ以外の業界で発展してきた技術をエンタープライズのお客様にどう適用するか、そうしたことを考えられる面白さ、楽しさがIBMにはある、とも思っています」

 将来については、「自ら手を動かし開発を続けるエンジニア」というイメージを描いている。

 「年々、年次が上がるのでリーダー的な素養やマネジメント能力を身につけなければならないことは理解し、覚悟もしています。しかし、それを身につけるにしても開発自体が好きなので、長く手を動かしていきたいと考えています」

 現在のテーマについては、発信力、コミュニケーション力に加えて、「後輩の指導」を挙げる。

 「今までは自分の技術に対して貪欲にやってきましたが、メンバーのスキルを高めることの重要性も、最近痛感しています。チームで開発を行うときは、できる人・得意な人に割り振るほうが、チームとしてのベロシティ(開発力)は最初は高くなると思います。しかし、できないことにチャレンジしてもらって、できるようになってもらうほうが、一時的にはベロシティが下がるものの、長期的には向上するはずです。“サポートするからチャレンジしてみて”という形にしないと、私自身を含めてチーム全体の成長につながらないと感じています」

 山口氏自身は現在参画中の案件で、これまでは門外漢だった、インフラの設定・構築にチャレンジ中だ。

 「今までずっとアプリケーション開発をやってきましたが、アジャイル開発チームやクラウドでソリューションを展開していくには、インフラもこなせないと使いものになりません。最近それを痛感し、状況が許す限り、チームのサポートを受けて担当させてもらえるようにしています」

 

[IS magazine No.26(2020年1月)掲載]

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