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事例|カンロ株式会社

by kusui
COMPANY PROFILE

本 社:東京都新宿区
設 立:1950年
資本金:28億6400万円
売上高:229億4900万円(2018年12月期)
従業員数:544名(2018年7月)
事業内容:菓子、食品の製造および販売
https://www.kanro.co.jp/

キャンディ(飴)を中心とした菓子を製造する日本を代表する食品メーカー。1912(大正元)年の創業で、今年107年目を迎える。1955年に発売した「カンロ飴」の大ヒットにより社名を「カンロ株式会社」に改称、近年はキャンディに軸足を置き「健康のど飴」や「ピュレグミ」「金のミルク」に代表される商品とともに成長し、現在は売上の9割以上をキャンディで占める。「糖から未来をつくる」がコーポレート・スローガン。

 

長年使用のノーツシステムで
さまざまな問題が顕在化

 キャンディ(飴)市場でシェア1位(*1)、グミ市場でシェア3位(*1)を誇るカンロは、「NewKANRO2021」と呼ぶ5カ年の中期経営計画を2017年から推進している。前半の2年間は「売上拡大」と「経営基盤強化」の施策により売上高・利益ともに計画を上回る結果となったが、この勢いをさらに加速させるため、中間年にあたる2019年は「ブランド基軸経営への進化」と「サステナブル経営への深化」を重点施策として掲げ、数々の取り組みを展開中である。

 そのいくつかを挙げると、1月に従来の開発本部を再編してマーケティング本部を設置、3つのブランド室を新設して既存ブランドのさらなる成長を目指すとともに、「素材を活かす」と「機能性」の2方向で新ブランドを創設するための商品開発を加速させている。また、2月にはグミの製造ラインを松本工場に新設し、生産能力を増強した(図表1)

 

 

 こうしたなかで、もう1つの大きな取り組みに位置づけられるのが、2月にサービスインした「商品情報データベース」である。これは、同社が2013年から進めてきた情報系システム改革の総仕上げと言えるもので、「商品開発を含め、今後のビジネスの基盤となるものです」と、経営企画本部 情報システム部の狼 秀人課長は話す。

 

狼 秀人氏 経営企画本部 情報システム部 課長

 

 同社では従来、基幹系をIBM i、情報系はノーツを軸に運用してきた。しかし長年使用してきたノーツ中心の情報系システムは、いくつか問題を抱えていた。

 たとえば「お客様の声管理システム」。従来はメールや電話などで寄せられた消費者からの問い合わせ内容をすべてMS Accessに入力し、クレームに相当する内容はノーツに登録する運用としてきた。

 しかしながらこの運用は、消費者からの問い合わせを管理するお客様相談室の負担が大きく(Accessとノーツへの重複登録)、さらにAccessの情報を全社で共有できず(お客様相談室の担当者しか閲覧できない)、クレーム情報への対応を行う工場や商品開発部門の品質管理担当者にとってはタイムリーな確認を行えないなどの問題があった。

 この問題の解決策として同社が採用したのはintra-martである。採用の理由について狼氏は、次のように説明する。

「2013年当時、当社が利用中のノーツはバージョン5で、導入してから結構な年月が経過しメーカーの保守も切れている状況でした。問題解決の選択肢としては、ノーツを新バージョンへ移行してノーツベースで改築するか、新しい仕組みの導入のいずれかでしたが、前年の2012年にintra-martで業務ポータルを構築し情報共有を活発に行っている企業を知り、当社が目標とすべきはそのスタイルではないか、と関心をもちました。さっそくintra-martを検証したところ、柔軟性が高く、JavaやJavaScriptを使って自社で拡張可能な点にも大きな魅力を感じました。また、ノーツからの移行もスムーズに行えるとのゼネラル・ビジネス・サービス(GBS)からの助言もあり、intra-martの採用へ動きました」


intra-martでシステムを改築
リアルタイムの情報共有を実現

 新しい「お客様の声管理システム」は、消費者からのメールや電話による「声」をお客様相談室の担当者がintra-martのデータベースに登録すると、ただちに全社に公開され、関係者が権限に応じて情報にアクセスできるという仕組みである(図表2)。これにより、お客様相談室による2重登録がなくなり、全社で同一の情報を共有できるようになった。

 

 

 図表2のなかに「配荷情報検索」とあるのは、「お客様の声管理システム」の次に、intra-martを用いて改築した「配荷管理システム」を検索・照会・表示するためのシステムである。

 この「配荷」とは、どの商品をどこの店舗で陳列・販売しているかを示す言葉で、配荷管理システムは、全国に7つある各支店がどのような配荷実績を有し、見込みをもっているかを管理するシステムである。配荷率100%は全店舗で商品を陳列・販売中、50%は半分の店舗で陳列・販売していることを指す。

「新商品を発売しても、店舗に陳列してお客様の目に留めていただかなければ販売増へとつながっていきません。それゆえ店舗での陳列数の指標である配荷率をアップしていくことが、各支店・営業担当者の目標となります。配荷管理システムで管理する配荷率は、当社の経営・営業戦略のパフォーマンスを見極める重要な指標の1つになっています」(狼氏)

 従来のシステムは、各支店がExcelに配荷状況を入力し、それを本部が集計し管理する運用としていた。しかしこの方式では集計に大変な労力がかかっていたうえに、体系的・時系列的に情報を保持することが困難だった。

 新しく導入したのは、支店・担当者が入力を行うと、ただちに集計が行え、全国の関係者間で共有できるリアルタイムの仕組みである。

 その結果、たとえばお客様相談室に商品の扱い店舗に関する問い合わせがあった場合、以前よりもスピーディに回答できるようになった。

 intra-martで構築した新しい「お客様の声管理システム」と「配荷管理システム」に対しては社内の評価も高く、「旧来の仕組みを抜本的に変えたことにより、お客様への対応が速くなり、顧客満足度の向上に寄与している」との声が上がっている。


商品情報をすべて集約する
商品情報データベースを整備

 intra-martを活用するシステムの改築・開発はその後も続いたが(図表3)、2018年9月からは新たに「商品情報データベース」の導入プロジェクトがスタートした。これは従来、さまざまなシステムに分散していた商品に関する各種情報を集約し、統合的に利用できる環境を目指すものである。

 

 

 キャンディやグミなどの商品では、それを企画・開発・製造し営業展開するために、名称、サイズ、価格、商品イメージなどの基本仕様から、商品特性、成分、市場性、消費ターゲット、消費シーン、キャッチコピーなどまで、さまざまな情報が必要になる。従来はそれらを、さまざまなノーツデータベースや掲示板で管理していたが、情報が分散していたため一元的な管理が行えず、メールのやり取りなどで情報を共有する運用だった。

 新しく構築したシステムは、「1つの商品に関する情報をすべて集約し、関係部署すべてが利用する」(狼氏)との考えのもと、従来、分散していた情報を全面的に整理し、新しい業務要件を加えて設計した。

 新システムの画面は、「基本」「設計」「試作」「見本」「生産」「営業」「品質保証」の7つのタブに分かれ、ユーザーは権限に基づき各情報にアクセス可能である。

「これまでは商品開発部門が試作品の開発の進捗を確認する場合、工場の試作担当者に個々に問い合わせる必要がありましたが、新しいシステム上で把握できるので、情報共有のスピードが格段に速く正確になり、その後のアクションを早期に起こせるようになりました」(狼氏)

 プロジェクトは2018年9月にスタートし、3カ月をかけて「商品情報データベース」の開発を行い(〜2019年1月)、さらにノーツからのデータ移行を行い、2019年2月にシステムをサービスインさせた。新システムの開発とノーツからのデータ移行はGBSが全面的に支援したが、狼氏は「的確な作業の進め方で、予定どおりに移行できました」と評価を述べる。

 新システムへのデータ移行により、ノーツ上のデータはすべてなくなった(図表4)。同時に、ノーツメールをOffice 365へ移行させたことにより、同社におけるノーツの利用は完全に終止符を打った。従来、ノーツベースに構築していたシステムを、ユーザーの要望に基づき改善を進めた結果、ノーツからの移行と全廃を実現した形である。

 

 

 狼氏は今、「商品情報データベースの導入によって、これからの商品開発や生産までのリードタイムを短縮できる土台を構築できたと考えています。ただし、業務改革のためのシステム開発や改築・改修は今後も続きます。製造業の改善に終わりはありません」と話す。

[IS magazine No.25(2019年10月)]

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