2017.12.14  IS magazine No.17(2017年10月)
IS magazine 

ついに登場! Nutanix on Power Systems(IBM Hyperconverged Systems)

特集 ハイパーコンバージド革命 Part 2

性能はx86製品の2倍以上
スレッド数は約3倍、SSDは2倍

NutanixがPower Systemsに載る――。

日本IBMが今年5月24日に発表したニュースリリースは、IBMパートナーの間でちょっとした話題になった。その後、7月11日に発表された製品は「IBM Hyperconverged Systems CS821」と「同CS822」の2機種で、ハイパーコンバージド・ソフトウェアのNutanixをPower Systems S821LCと同S822LCにプリインストールしたものである。

両マシンのスペックは、CS821が10コアのPOWER8(2.09GHz)を2個、CS822は11コアのPOWER8(2.89GHz)を2個搭載し、スレッド数はCS821が160スレッド、CS822は176スレッド、メモリはそれぞれ最大256GBと最大512GBで、ストレージは480GB・960GBまたは1.92TBのドライブを選択でき、CS821では4本(最大7.68TB)、CS822では8本(最大15.36TB)を搭載可能である。

また、ネットワーク接続は、ともに10G BaseTイーサネットの口を4ポート(オンボード)と10G/1G SFP+の口を4ポート(アダプタ)をもっている。OSは、UbuntuとCentOSに対応、ハイパーバイザーはKVMベースのNutanix AHV、NutanixのエディションはProかUltimateを選択できる。

最小構成で20コアというスペックは、10コア前後からスタートするx86系ハイパーコンバージド・システムと比べて、非常に大きな性能である。そして、その性能こそIBMパートナーが注目するポイントで、あるパートナーは「x86系のハイパーコンバージド・システムでは、パフォーマンスとコストのバランスでどうしても対応できないタイプのシステムがあり、そのソリューションとしてNutanix on Powerに期待している」と語り、別のパートナーは「世の中には、x86よりも信頼性の高いPower Systemsをハイパーコンバージドでも選択したいと考えるユーザーが少なからずいる。そうしたユーザーへの有力な商材になる」と話す。

その一方で、「3台構成のスタート価格が数千万円規模になるNutanix on Powerは、企業ユースでは中堅以上しか対象にならず、マーケットは限られる」との指摘もある。

これに対して日本IBMの久野朗氏(ハードウェア事業本部 サーバー・システム事業部 Power Systems部長)は、「IBM Hyperconverged Systemsならば、x86ベースのシステムと同等の価格で2倍以上の性能を出せるので、同等の性能を求める場合、IBM Hyperconverged Systemsはx86系システムの半分の台数で済み、コストも半分になります」と説明する。

図表は、x86系製品(Dell XC630)とCS821の価格をほぼ同額にしたときのスペックの比較である。CPUは、Intel Xeon E5-2650(2.2GHz)24コアとPOWER8(2.09GHz)20コア、メモリバンド幅はXC630の76.8GB/sに対してCS821は96.0GB/s(約1.25倍。CS822は115GB/sで約1.66倍)、スレッド数はXC630の48に対してCS821は160(約3倍)、SSDは480GBに対して960GB(2倍)となる。ほぼ同等の価格でも、実装できるリソースに大きな違いがある。

 

図表 画像をクリックすると拡大します】

 

また、ベンチマークツール「pgbench」を用いて行った比較では、Power S822L(24コア)が1秒あたり304個のVM環境上のPostgreSQLプログラムを実行できるのに対して、Lenovo x3650(Haswell、32コア)は144個という結果だった。「24コアのS822LのシステムあたりのVM集約数は、32コアのx86サーバーの2.1倍、コアあたりでは2.8倍となり、Power Systemsの処理性能はx86の2倍以上であることが示されています」と、久野氏は述べる。

ディープラーニング用の
プラットフォームとして最適

では、高パフォーマンスで高集約の仮想基盤であるIBM Hyperconverged Systemsは、どのような分野でより価値を発揮するのだろうか。

日本IBMが目下推進中なのは、ディープ・ラーニングにおけるデータの収集と蓄積、および分析プラットフォームとしての活用である。

「ディープ・ラーニングのデータの収集・蓄積では大量の非定型データが継続的に取り込まれるので、インメモリ処理に強く、システムを自動でスケールアウトでき、MongoDBやSparkにも対応するIBM Hyperconverged Systemsが最適です。これはディープ・ラーニング・アプリケーションの実行時でも同様で、IBM Hyperconverged Systemsはこの両方を1台で処理できるメリットがあります」(久野氏)

また、WindowsやLinuxが混在する企業環境を対象に、LinuxシステムのIBM Hyperconverged Systemsへの集約による全体最適化も提案している。

「Linuxのワークロードを単なる仮想環境上で集約しても、3層構造のシステムを新たに作るだけなので、メンテナンスの工数は減りません。IBM Hyperconverged Systemsへの集約によってサーバーや機器、ソフトウェアの数を削減でき、システムの根本的な最適化が図れます」と、久野氏は説明する。

さらに、サーバー・システム事業部の下野皓平氏(Power Systems ビジネス・ディベロップメント)は、「ハイパーバイザーのオーバーヘッドによるパフォーマンス劣化を懸念して、x86系ハイパーコンバージド・システムへのデータベース・アプリケーションの適用をためらっていたお客様がおられますが、高性能のIBM Hyperconverged Systemsならば、重い処理のあるデータベースアプリケーションでも適用可能です。IBM Hyperconverged Systemsによってハイパーコンバージドの世界が大きく広がると考えています」と言う。

IBM Hyperconverged Systemsは9月1日に出荷された。ユーザーがどのように評価し利用していくか、注目される。[IS magazine No.17 (2017年10月)]