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Interview |DX実現に向けた最良のパートナーとして お客様とともに成長していく ~ JBCC 東上 征司氏

by iida

東上 征司氏

JBCCホールディングス株式会社 代表取締役社長
JBCC株式会社 代表取締役社長
一連のビジネスモデル変革を実現し、「WILD7」と名付けた7つの注力分野に経営資源を集中するJBグループ。2019年度上半期の決算では、過去最高益となる大幅な増収増益を達成した。改革をリードしてきたのは、2012年にJBCCの代表取締役社長に就任し、2019年4月からはJBCCホールディングスの代表取締役社長を兼務する東上征司氏。自らDXを体現し、DX実現に向けた最良のパートナーとなることを目指す東上氏に、その成長戦略を聞く。


「WILD7」と名付けた
7つの注力分野に経営資源を集中

IS Magazine(以下、IS) 2012年にJBCCの代表取締役社長に就任されてから、約8年が経過しました。その間、JBCCおよびJBグループのビジネスモデルや収益構造は大きな変革を遂げました。この変革をどのようにリードされてきましたか。

東上 就任した当時のJBCCのビジネスモデルは、中堅企業を主体とするお客様に向けて、PCサーバーやPower Systemsなどのハードウェアをご提供し、どのようなシステムでもお届けするというSIビジネスが中心でした。

 しかしハードウェアを導入してパッケージ製品をご提案したり、ウォーターフォール型の開発をメインとするビジネスモデルは、いずれ立ち行かなくなるのは明らかでした。このアプローチでは、お客様の課題を高いレベルで解決したり、デジタルトランスフォーメーション(DX)の実現をご支援するのは限界があると考えたからです。

 そこで付加価値の高いサービス提供に向けて大きく舵を切り、利益重視の経営に転換し、これからは「売り物」と「売り先」を変えていくという方針を全社に徹底しました。

IS 「売り物」と「売り先」を、具体的にはどのように変えていったのですか。

東上 現在は2017年度からスタートし、2020年度をゴールとする中期経営計画「Transform 2020」を推進中で、それに基づくさまざまな施策を進めてきました。お客様のDX推進を中心的なテーマとし、お客様と当社がともに成長してビジネスの成功を実現するという目標を掲げ、「WILD7」と名付けた注力分野に経営資源を集中しています。

 WILD7とはすなわち、クラウド、New SI、セキュリティ、JBソフトウェア、ヘルスケア、3D、人財育成の7分野を指します。ですから当社の「売り物」とは、重点分野であるこれら7つの領域を支えるソリューションやサービスであると考えてください。

 

JBCCアジャイルと
クラウドネイティブの展開

IS WILD7のそれぞれの事業領域では、どのような施策を進めているのですか。

東上 その1つであるNew SIでは、SIビジネスの改革を推進し、南米ウルグアイ発の超高速開発ツール「GeneXus」と、自社で開発した上流工程支援ツール「Xupper」(クロスアッパー)を使って、JBCC流のアジャイル手法を確立しています。これは一般のアジャイル開発に、JBCC独自のスタイルを取り込んだ点が特徴です。

 たとえばアジャイル開発では通常、要件定義にあまり時間を割きませんが、JBCCアジャイルではウォーターフォールのとき以上に多くの時間を要件定義に費やします。現場ではさまざまな課題や不満が山積していますから、要件定義によってそれらの課題や不満をすべて抽出して可視化し、優先順位を付け、重要度の高い順にアジャイル方式で、プロジェクトを小分けにしながら実現していきます。

 開発に苦労した経験のある方なら、このJBCCのアジャイル手法に必ず共感していただけます。当社ではGeneXusの案件をすでに170件以上手掛けていますが、ウルグアイのGeneXus本社からは、日本はもちろんグローバルで見ても、これほど実績のあるSIerはほかに例がないと高く評価されています。

IS クラウドについてはいかがですか。

東上 今や高付加価値のサービス提供を目指すなら、クラウドを抜きには考えられない時代になりました。クラウドの活用領域は年々拡大し、オンプレミスで運用していたシステムをそのまま移行するだけでなく、クラウドネイティブなアプリケーション開発が必須になりつつあります。

 つまりマイクロサービスやコンテナなど、クラウドで提供されるサービスを使って、クラウドネイティブなアプリケーションを迅速に開発することが求められています。

 そこで当社ではいち早く、そうしたクラウドニーズへの対応をスタートさせました。現在はクラウド上で32種類のサービスを提供しており、今後もさらなるクラウドメニューの充実に力を入れていきます。すでに60社以上のお客様に、クラウドネイティブなアプリケーション開発をご提供しています。

 

各領域の施策が奏功し
過去最高益を達成

IS セキュリティやJBソフトウェアも進捗が著しいですね。

東上 多様化・複雑化するサイバー攻撃に対して、より高度なセキュリティ対策が求められています。すでに多彩なベンダーがセキュリティソリューションやサービスを提供していますが、当社はクラウドセキュリティに特化したサービス提供を掲げ、この分野でナンバーワンになることを目指して取り組んでいます。

 またJBソフトウェアの提供はJBアドバンスト・テクノロジー(JBAT)を主体に、今後さらにいろいろなお客様に利用していただけるように努力しています。

 たとえばオービックビジネスコンサルタント(OBC)とJBATは2019年10月に、JBATのデータ連携基盤である「Qanat Universe」を活用して、奉行クラウドとさまざまなサービスとのAPI連携を、「奉行クラウドApp Connect」としてパートナー様向けに提供すると発表しました。勘定奉行をクラウドサービスで利用されるお客様の環境ではQanat Universeが稼働することになり、奉行クラウドの成長とともに、Qanat Universeも成長していくことになります。今までとは異なる新しい流通ルートで、お客様にJBソフトウェアをお使いいただけるようになるわけです。 

IS JBグループは2019年度上半期の決算で過去最高益となる大幅な増収増益を達成しました。2020年3月期の通期業績も上方修正が予想されるなど絶好調ですね。この強さの理由はどこにあるとお考えですか。

東上 Windows 10への移行やEOS(End Of Support)に伴うPower Systemsのリプレースなど特需に支えられたのは確かですが、やはり先ほど申し上げたWILD7の各領域が順調に業績を伸ばし、各種施策が奏功していることが、成長の最も大きなエンジンであると考えています。

 

お客様との接点を増やし
新たなパートナーと協業

IS 先ほど「売り物」と並んで、「売り先を変える」と指摘されましたが、これは何を意味しますか。

東上 まずはお客様との接点を変える、接点を増やすことに注力しています。今はお客様を多角的・多面的な視点で見つめないと、お客様の置かれた事業環境、そこから浮上する課題、そして目指すべきDXの全体姿を理解できません。

 サーバーだけを販売しているときはサーバーに関する業務だけで完結していましたが、今はクラウドを軸に多彩なソリューションを提供しています。システム部門だけでなく、経営企画や営業、製造、物流など各事業部門と接点をもち、多角的な視野でお客様を理解することで、DXや事業構造の変革に向けて、より踏み込んだ、具体的なご提案が可能になります。

IS 「売り先を変える」の第1の意味は、お客様との接点を増やすことですね。

東上 そうです。それと同時に、従来のパートナー様だけでなく、ソフトバンクやサイボウズなど、今までお付き合いのなかったパートナーの方々と深く協業していくことも重要です。

 たとえばサイボウズの業務改善プラットフォームである「kintone」はシステム開発のノウハウをもたない現場部門でも使えるツールとして、今まであまり接点のなかったユーザー部門にダイレクトにご提案しています。それにより、ユーザー部門とのお付き合いが始まり、それをさらに広げていくことが可能になります。「売り先を変える」とはすなわち、お客様との接点、そしてパートナー様との接点を増やしていくことだと考えています。

 

DX時代のITベンダーとして
お客様とともに成長する

IS ビジネスモデルの変革には抵抗もあり、大きな意識改革が不可欠だったのではないでしょうか。

東上 誰にでも変化を恐れる気持ちがあり、意識改革は一朝一夕ではなしえません。やはり相応の時間が必要でした。たとえばオンプレミスのサーバー販売とクラウドサービスは、営業的には真逆のアプローチであり、発想を切り替えていかねばなりません。JBCCアジャイルに取り組み始め、スタイルとして確立するまでにも2~3年は要しています。

 私は、あらゆる機会を捉えて、社員に繰り返しメッセージを伝えてきました。「なぜ事業構造のシフトが必要なのか」「どのようにビジネストランスフォームを実現していくのか」「いま、お客様が本当に求めていることは何か」について、就任以来、多くの時間を費やして、社員に語り続けてきました。

IS 具体的にはどのように。

東上 たとえばマネージャーやグループリーダーが20名単位で参加する2時間のラウンドテーブルを各部署で、JBCC社長就任後2年以上、繰り返し開催してきました。また全社員を対象にしたコミュニケーション・ミーティングも月1回、欠かさず開催しています。営業の評価制度も、売上重視から利益率を軸に改めるなど、さまざまな施策を進めるなかで、少しずつ賛同者が増え始め、少しずつ意識が変化してきたと感じています。

 そのあたりは山田(JBCCホールディングスの現・代表取締役会長である山田隆司氏)と密にコミュニケーションし、二人三脚で取り組んできました。ともに変革を目指し、私が古巣であったIBMスタイルのアプローチを持ち込む一方、山田からは長い歴史のなかで培ってきたJBCCの企業カルチャーをしっかりと教わり、両者をうまくブレンドしながら改革を実現してきたように思います。

IS DX時代におけるITベンダーのあるべき姿をどうお考えですか。

東上 中堅企業を中心とした約2万社のお客様はJBグループの大きな財産です。こうしたお客様をご支援し、その成長に貢献していくことが、私たちの成長のエンジンでもあります。

 いま、中堅企業のお客様が悩んでおられるのは、人財の問題です。人財の確保・育成には、例外なく苦労しておられます。限られた人的リソースを最大限に活かしながら、生き残りをかけてビジネスをトランスフォームしていこうと苦闘されておられるなか、私たちはDX実現に向けた最良のパートナーでありたいと考えています。

 JBCCホールディングスの代表取締役社長に就任した2019年春から、私は技術力、ビジネススピード、給与水準で、業界トップクラスを目指すと明言してきました。お客様と当社がともに成長してこそ、お客様のDXやビジネスを成功に導けると信じて、2020年も努力していく所存です。

 

[IS magazine No.26(2020年1月)掲載]

 

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