Home RPG 「JBCCアジャイル」4年間の総決算 ~GeneXus活用による新しいSI開発を推進 

「JBCCアジャイル」4年間の総決算 ~GeneXus活用による新しいSI開発を推進 

by kusui

JBCCでは2014年にSI手法の抜本的な見直しを行い、高速開発ツール「GeneXus」の採用と「JBCCアジャイル」手法の確立を決めた。新しい開発手法に基づくSI事業はその後順調にビジネスの幅を広げ、4年間にJBCCのSI売上全体の約30%を占めるまでに成長した。新しい開発手法導入の成功例でもある同社のSIイノベーション事業についてレポートする。

 

 

新しいニーズに対応するため
SI手法を抜本的に改革

 革新的なITサービスが次々に生まれ、既存のビジネスを大きく変革する「デジタルトランスフォーメーション(DX)」の動きが台頭し始めたのは2010年代前半のことである。たとえば、IT企業やユーザー企業におけるIT人材の動向を毎年まとめているIPAの『IT人材白書』では、2016年版(調査は2015年)で「多様な文化へ踏み出す覚悟 〜デジタルトランスフォーメーションへの対応を急げ」をサブタイトルとして掲げ、次のようなメッセージをIT企業向けに発信している。

「価値創造ビジネスに世界中はシフトしている。受託開発等既存ビジネスの成長には限界がある。これからは、IT企業から技術提案を行い、業務プラットフォームを構築していく時代ではないか。既存技術にとらわれず、新技術の概念から新たなビジネスモデル構築につながる価値提案を行わなければ、ビジネス拡大は望めない」

 SI事業で50年以上の歴史をもつJBCCが、自らのSI手法の抜本的な改革に乗り出したのも2010年代中ごろのことである。

 JBCCは1990年代、2000年代を通して「JBCCと言えばAS/400、AS/400と言えばJBCC」と広く呼称されたように、IBMミッドレンジ機を柱として中堅・中小企業分野に強固な事業基盤を築いてきた。しかし、2010年代に入るとユーザー企業の間で「後継者問題」や「内製強化、内製回帰」「オープン志向(脱RPG/脱CO BOL)」などのニーズが急速に高まり、これらへの対応が不可避となった。

 図表1は、その当時のユーザー企業の要望とJBCCとして対応すべき事項、およびJBCCの経営課題と対応すべき事項を整理したものである。対応すべき事項には、「エンジニアの多能工化と上流工程要員へのシフト」や「オープン系スキルの迅速な教育方法の確立」など難しいテーマが並ぶ。

 

 

 そしてさまざまな検討の末、JBCCが2014年に最終的に出した結論が、高速開発ツール「GeneXus」の採用と「JBCCアジャイル」と呼ぶ独自の開発手法の確立である。

「お客様の課題・要望にお応えし、かつ当社の経営課題を解決していくには、従来からの手法や開発言語では限界があると考え、当社にとって新しい開発手法と開発ツールに挑戦しました。とくに重視したのは、SEのスキルをレガシーからオープンへスピーディかつ的確に切り替えられるツール/手法でした」と振り返るのは、執行役員の中野恭宏氏(SIイノベーション事業部 事業部長)である。

 

中野 恭宏氏 執行役員 SIイノベーション事業部 事業部長

 

 

GeneXusを全面採用
全技術者の70%以上が習得

 GeneXusは、ウルグアイのGeneXus S.A.社が開発する高速開発ツールで(日本総代理店はジェネクサス・ジャパン)、業務手続きと業務データの記述だけで業務プログラムとデータベースを自動生成できる大きな特徴をもつ。また、多様な開発言語とデータベースに対応しているため、ジェネレータの切り替えだけで、スマートデバイスを含むさまざまな環境に対応可能である。「GeneXusを用いれば、オープンシステムに関する深い知識がなくてもオープン対応のシステム開発が可能です」と、SIイノベーション事業部SIイノベーション営業部の田中靖久部長は指摘する。

 

田中 靖久氏 SIイノベーション事業部 SIイノベーション営業部 部長

 

 JBCCでは2014年以降、GeneXus技術者の育成を強力に進めてきた。図表2はその推移を示したもので、2018年12月現在、全技術者250名のうち180名がGeneXusのスキルをもつ技術者である。じつに7割を超える人数で、その約半数がオープン系のバックグラウンドをもつ技術者、残りの約半数がRPG/COBOL系の技術者だ。

 中野氏は、「2014年度はGeneXus技術者の育成だけに精力を注ぎ、GeneXusを用いたSIビジネスを本格的にスタートさせたのは2015年度からです」と話す。

 

 

中・大型システム向けの
「JBCCアジャイル」手法も確立

 2014年度中には、「JBCCアジャイル」の確立も急いだ。JBCCアジャイルは、「一般的なアジャイル開発とはまったく異なる、JBCC独自の工夫を凝らした開発手法です」と、中野氏は次のように説明する。

「一般的なアジャイル開発は、少数精鋭のチーム編成が前提で、現状分析や要件定義のフェーズを行わず、ユーザーと開発者の間で確認/開発をクイックに回してシステムを完成させていく小規模開発に向いた手法です(図表3)。これに対してJBCCアジャイルは、中・大規模開発に適応可能な数々の工夫を凝らした独自手法で、設計エリアの現状分析・要件定義はウォーターフォール型と同様の作業を行い(場合により、上流工程支援ツールXupper㈼を適用)、開発エリアのプロトタイプ、プロダクト、パイロットの各局面ではGeneXusを用いて高品質なシステムを高速に開発します。1つの機能を5回、反復的に開発・修正することを基本とすることによって(5回し)スケジュールを固定化し(図表4)、いくつかの修正工程をお客様に担当していただくことにより、お客様への開発・運用ノウハウの移管が可能になります(図表5)。また、お客様の要望を蓄積し、全体を把握した後に優先度を付けて段階的に開発していく手法を採用しています(図表6)

 

 

 

開発期間を約40%短縮
ユーザーへの技術移管も実現 

 JBCCアジャイル開発がスタートして4年。2018年12月時点で、プロジェクトの累計数は105となり、既に88のプロジェクトがサービスイン済みで、現在17のプロジェクトで開発が進む。

 採用企業の業種別内訳は、製造業30%、流通業30%、サービス業30%、金融10%。プラットフォーム別では、IBM i基幹システムのモダナイゼーションが50%、オープン系基幹システムの再構築が40%、メインフレームから他プラットフォームへの移行が10%である。IBM iのモダナイゼーションでは、「データベースをIBM iに残し、RPGやCOBOLなどの業務アプリケーションを段階的にオープン系システムへ移行する“IBM i+オープン”が大半で、IBM iを撤廃されたお客様は1社もありません」と田中氏は話す。

 図表7は、GeneXus/JBCCアジャイルを用いた受注規模1億円以上の大型案件のスケジュール実績である。プロジェクトの特性に応じて、要件定義、プロトタイプ、プロダクト、パイロットの所要日数がそれぞれ異なるが、「いずれの案件も、ウォーターフォール開発と比べて開発期間を約40%短縮できています」と田中氏。そして、「サービスイン後にGeneXusのライセンスを購入して自社で保守を実施しているお客様が21社あり、うち10社が自社のみで、残り11社も当社の支援の割合を徐々に減らす傾向にあります。お客様を交えたJBCCアジャイルによりお客様への開発・保守ノウハウの移管がうまく機能しつつあることと、内製強化やコスト削減を望むお客様の要望に応えられていることを実感しています」と述べる。

 

 

「何でも相談室」を設置
技術者向けにGeneXus本を出版

 JBCCアジャイルの売上規模は、JBCCの全SI事業の約30%を占めるまでになった(2018年3月期)。しかし中野氏は、「成長できる余地は、まだたくさん残されています」と強調する。

 そのための1つの方策として、昨年(2018年)4月に全国の営業担当者をサポートする「何でも相談室」を設置し、中野氏も相談を受けるメンバーの一人となった。

 企業が抱えるITの課題は今、加速度的に多様化し、複雑化の一途をたどっている。そうしたなかでユーザーが抱える問題や課題の核心をつかみ、将来の変化までを想定した提案を行うのは、以前にも増して容易ではない。「何でも相談室」は、そのための助言を行い、JBCCの提案力を向上させる機能を果たす。ときには「営業先への同行や開発チームのアサインなども行います」(中野氏)という。

 また、10月にはSIイノベーション事業部で執筆した『実践! GeneXusによるシステム開発』をインプレスR&Dから出版した。GeneXusの基本操作に加えて、ドリル形式で開発ノウハウを習得できるようにした書籍である。

「一般企業のIT技術者にGeneXusの凄さを知っていただくことも大きな目的の1つですが、第1の狙いは、GeneXusの基礎教育(30日)と2カ月の教育サポートを修了した当社の技術者が、折に触れてGeneXusの特質を理解・確認できる座右の書とすることです。当社では、これからもGeneXus技術者を増やしていき、誰でもGeneXusを操作・活用できる当社にとっての基本技術・基本スキルの1つとする計画です」(中野氏)

[IS magazine No.22(2019年1月)掲載]

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