パブリッククラウドで金融サービスを構築・運用 ~世界初。画期的な「IBM Cloud for Financial Services」

IBMは4月7日(現地時間)、金融サービス向けのパブリッククラウド・サービス「IBM Cloud for Financial Services」の一般向け提供を開始した、と発表した。

同サービスは、IBMがBank of Americanとの協業の下に設計・構築を進めてきたもので、既にBank of Americanは一部の金融サービスで利用中である。今回はそれをベースにIBM Cloud上の一般向けサービスとして公開したもので、金融サービス向けのパブリッククラウドとしては世界初。

IBMはこの取り組みに関して、次のような発表を行ってきた。

 

・2019年11月 Bank of Americaと共同で「金融サービス向けパブリッククラウド」を設計

・2020年7月 
 ・ポリシー管理のためのフレームワーク「IBM Cloud Policy Framework for Financial Services」を開発
 ・有識者で構成されるアドバイザリーボード「Financial Services Cloud Advisory Council」を設立
 ・IBM基礎研究所内に「IBM Research Cloud Innovation Lab」を設置 
 ・仏の大手金融機関BNPパリバがIBM Cloud for Financial Servicesのエコシステム(約30社)に参加

 

IBM Cloud for Financial Servicesは、VMware、クラウドネイティブ(仮想サービス)、OpenShiftのいずれかの基盤上で稼働し、その基盤上に「IBM Cloud Framework for Financial Services」と呼ぶコンプライアンス管理フレームワークを配置し、それに準拠するIBMのサービスやベンダーのアプリケーションなどで構成される。

IBM Cloud for Financial Servicesの概要
責任境界 赤:ユーザー、緑:ユーザーまたはSaaSベンダー、青:IBM

中核ソリューションであるIBM Cloud Framework for Financial Servicesは、NIST(米国立標準技術研究所)の「NIST Special Publication 800-53」(*)をベースに、金融機関が準拠しなければならないポリシーやコントロールを規定したもの。24カ国・75以上の規制当局が定める規制への対応や、リスク管理を支援する設計がなされているという。

(*)NIST Special Publication 800-53:連邦政府情報システムおよび連邦組織のためのセキュリティ管理策とプライバシー管理策)。IPAによる日本語訳がある

また、PCI(クレジットカード業界)やFFIEC(米国連邦金融機関検査協議会)などの業界コンプライアンス基準を超えるセキュリティやデータプライバシーを実現する管理セットも含まれている。

IBMの資料によると、IBM Cloud Framework for Financial Servicesのコア・テクノロジーとして次の4つが挙げられている。

マルチゾーン/リージョン
マルチゾーン/リージョン構成を前提とし、レジリエンシー(回復力)とディザスタリカバリを実現する。

分離・セグメンテーション
厳格なポリシーやセキュリティを遵守するために、強固なコンピュータの分離機能とネットワークセグメンテーション機能をもつ。

規範的なコントロール機能の実装
開発・運用を容易にするため、多様なコントロール機能をきめ細かく実装した。

ログの収集・管理と監査
ログの収集・管理を詳細に行えるIBM Cloud Activity Trackerを実装した。ログは監査可能で、すべてのステップを追跡できる。

今回発表されたIBM Cloud for Financial Servicesは、厳格な規制への遵守と高度なセキュリティが要求される金融サービス分野においてパブリッククラウドが可能であることを示す点で、画期的と言える。金融サービスの構築・提供・運用が容易かつスピーディに行えるようになるため、金融機関だけでなく他業種からの参入も交えたFinTechが加速しそうである。

なお今回の発表では、IBM Cloud for Financial ServicesのエコシステムにSAPが参加したことも公表された。参加企業は90社を超えたという。

 

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