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事例|株式会社コモ ~可視化ツールの導入で、アウトソーシングを前提にした「見える化」を実現

「REVERSE COMET i」を採用し、運用・開発業務の委託先を移行

COMPANY PROFILE
本  社:愛知県小牧市
設  立:1984年
資本金:2億2200万円
売上高:54億9391万円(2016年3月)
従業員数:194名(同上)
事業内容:パネトーネ種を使用したロングライフパンの製造販売
http://www.como.co.jp/

 

長年の委託先であるベンダーが
運用・開発業務から撤退

 

 コモは創業以来、パネトーネ種という北イタリア原産の発酵種を使ったロングライフパンを作り続けている。社名は、パネトーネ種の故郷である「コモ湖」に由来すると同時に、「パンを通じたコミュニケーション」(COMMUNICATIONのCOとMOREのMOでCOMO)という企業ポリシーも表現している。

 酵母と乳酸菌が共生するデリケートな発酵種で作った同社のパンは、風味がよくて芳ばしく、しかも保存料無添加なのに長持ちするのが特徴だ。一般的なパンの賞味期限が2?3日であるのに対し、同社のパンは35?90日という長期保存が可能で、最近では「おいしい非常食」としても注目を集めている。

 同社は1999年にAS/400を導入して以来、販売管理システムを中心に改修を重ねながら、現在も運用を続けている。システム部システム課には、安達敏夫部長補佐を筆頭に4名の課員が籍を置き、企画・設計や社内インフラの導入・管理などを主に担当する。その一方、RPGによる追加開発や修正・改訂などは、導入当時に販売管理システムを開発した外部ベンダーに委託してきた。

 ところが2015年春、この外部ベンダーが事業縮小に伴い、システムの開発・保守業務から撤退するという知らせが届く。IBM i関連の保守作業はすべてこのベンダーに委託してきた同社では、代わりのベンダーを急きょ探すことになった。

「長年にわたって外部委託してきたので、システム課ではプログラムの構造や関連性などを一切把握しておらず、新たなベンダー探しはまずそこから始めねばなりませんでした。複数のベンダーに打診したところ、現行プログラムの可視化・文書化を手作業で実施するための高額な見積が提出され、委託を断念したこともありました」(安達氏)

安達 敏夫氏 システム部 部長補佐

 そんな状況下で、委託先ベンダーを通して以前から付き合いのあるリコージャパンが、IBM i資産の可視化ツールとして「REVERSE COMET i」(NCS&A)を提案してきた。同ツールを使えば、プログラムソースを対象に構造分析や影響分析を実施できるので、手作業による可視化・文書化作業を解消できる。

 同社が興味をもち、開発・販売元であるNCS&Aと打ち合わせを進めるなかで、ツールの導入とともに、その分析情報をベースに保守・開発作業もNCS&Aへ委託するという案が浮上してきた。

 従来のベンダーからも円滑に移行を進めるための助言や協力を受けながら、「REVERSE COMET i」をテスト導入し、数カ月にわたって分析を確認した結果、2016年4月に同ツールの採用とNCS&Aへのアウトソーシングが決定した。

 開発・保守業務からの徹底方針を知らされてから、約1年後のことである。

 

「REVERSE COMET i」による可視化と
NCS&Aへの保守委託を決定

 

「REVERSE COMET i」の運用にはWindowsサーバーが必要であるが、同社はNCS&Aが提供するクラウドサービス(SaaS)を利用しているので、社内にはサーバーを導入していない。これはサーバーの増加による運用管理業務の増大を避けるための判断である。

 販売管理システムを運用するPower 720およびIBM iは、本社内に設置している。NCS&A側はその基幹システムを自社のクラウド基盤上に仮想的に構築し、そのソースを前提に作成されたリポジトリをベースに、クラウド環境内にある「REVERSE COMET i」サーバーで分析を実施するという仕組みだ。

 コモ側では「REVERSE COMET i」のクライアントソフトを導入し、クラウドサーバーにアクセスして、分析結果を参照している。

 同年8月、「REVERSE COMET i」の正式利用がスタートした。先行してソースやライブラリの整備、および棚卸し作業を進めており、テスト導入段階の分析結果を含めて、9月末までに一通りの分析作業を完了させた。10月からはNCS&Aとの保守契約がスタートし、バックログとなっていたプログラム修正・開発を開始する予定である。

 今までシステム課では誰もRPGのスキルをもたず、開発業務に携わった経験もなかった。そのため、「REVERSE COMET i」を導入した当初は、NCS&Aのアドバイスを受けながら、出力結果の読み方などを学習してきたという。

「今後、実際の開発作業で手を動かすのは難しくても、プログラムの内容をきちんと理解したうえで、外部ベンダーとコミュニケーションできるように、少しずつ力をつけていきたいと考えています。また、開発・保守作業をアウトソーシングしていく際も、『REVERSE COMET i』による分析内容をもとにコミュニケーションしていけるので、迅速かつ正確に開発が進むのではないかと期待しています」と、システム部システム課の兼松孝司係長は語る。

 またシステム部を含む管理部門の責任者である平光伸行取締役(管理本部長、財務経理部長、 経営企画室長)は、今回の経緯を総括して、次のように指摘する。

「パンを作ることが本業である当社のような企業では、独自にIT人材を育てるのは難しく、システムの開発・運用を信頼して任せられるベンダーの存在が不可欠です。今回、『REVERSE COMET i』と出合い、それを契機にNCS&Aへのアウトソーシングが実現したことで、従来どおりの体制のままシステムの運用を継続することが可能になりました。そうした出合いがなければ、IBM iの利用継続自体を断念せざるをえない事態に至っていたとも考えられます」

 同社のパンづくりを支えるシステムは、プログラム資産の見える化と運用保守のアウトソーシングにより、安定的かつ継続的なIT基盤の獲得に成功したようだ。

 

IBM i 事例 i Magazine

 

[i Magazine 2016 Winter掲載]


平光 伸行氏
取締役 
管理本部長 財務経理部長 経営企画室長



兼松 孝司氏
システム部 システム課
係長