Q1
IBM iの稼働環境で使用されているCPUは何ですか。
A1
IBM iが稼働するプラットフォームであるIBM Powerでは、Powerプロセッサが使用されています。最新はPower10プロセッサです。Power10は2020年に発表されたプロセッサで、7nmフォームファクターを採用したIBM初の商用プロセッサです。POWER9と比較して消費電力を半分に削減し、スループットは平均30%向上しました。その結果、エネルギー効率を平均2.6倍向上させています。またx86プロセッサとの比較ではコア性能は約2倍、電力効率は約8倍優れています。
Q2
IBM iの稼働環境では、どのようなディスクが利用できますか。
A2
IBM Power本体や拡張ドロワーへの内蔵ディスクとしてHDD、NVMeを選択できます。また仮想化機能と組み合わせることで、IBMストレージ製品をIBM iのディスク領域として使用することも可能です。
Q3
IBM iではオープンソースを使用できますか。
A3
IBM iでは古くからのプログラムソースであるCOBOLやRPGだけではなく、JavaやPHP、Pythonなどオープンソースの利用も可能です。開発環境も5250だけではなく、「Rational Deve
loper for i」「Visual Studio Code」などが使用できます。またIBM i Access Client Solutions (ACS) V1.1.8 から、Linuxと共通のyumでオープンソース・パッケージを管理できるようになっています。
Q4
IBM iのバックアップ方法には、どのような選択肢がありますか。
A4
システムバックアップや日常的なバックアップの保管先として、以下のような候補が挙げられます。
・テープ媒体:古くから存在する保管先媒体であり、自動的にメディアを管理できるテープライブラリー機構も存在する。
・RDX:着脱可能なリムーバブルストレージの規格であり、SSDを専用のカートリッジに収めたものを着脱して保管先とする。
・仮想テープ:IBM iの標準機能として、IFS領域に仮想的なテープメディアを作成して保管できる。
・VTL装置:IBM iからはテープ装置として認識される機能を搭載したストレージ装置である。
・遠隔バックアップ:バックアップデータをPCやクラウドに送信してデータを格納できる。
Q5
IBM iの障害・災害対策にはどのような手法がありますか。
A5
IBM製品ではIBM Powerプラットフォームとしてストレージの複製を実行するIBM PowerHAのほかに、IBM iの機能として「Db2 Mirror for i」があります。これは専用のケーブルで2台のIBM i環境を接続し、相互のDBを読み書きできるようにする機能ですが、ケーブル長に制限(最長10km)があるため、主に障害対策の機能となります。
IBM i向けのほかの災害対策手法としては、ソリューションベンダーのHA/DR製品、またはIBMストレージ製品が備えるストレージ複製機能(グローバル・ミラー、メトロ・ミラー、HyperSwapなど)が候補に挙げられます。
Q6
IBM iをクラウド環境で利用できますか。
A6
「IBM Power Virtual Server」と呼ばれるIBM iのクラウドサービスが提供されています。オンプレミスのIBM Powerと同じテクノロジーで構成されており、主要なIBM iソフトウェアが認定・サポートされる環境です。ユーザーはOSより上位の管理を行うだけでよく、ハードウェアや仮想化機能部分はクラウド提供事業者側の管理となります。サービスを提供するデータセンターは世界各地に存在しており、日本国内には東京と大阪の2拠点があります。また、サードベンダーによるIBM iクラウドサービスも複数提供されています。
Q7
IBM iのOSは何ビットで稼働していますか。
A7
1994年にプロセッサのアドレス空間が48bitから64bitへと変更され、現在は64bitで稼働しています。1988年にAS/400として発表された当時から、プロセッサアドレス空間は最大128bitまでの拡張を想定しており、今後も長きにわたってアドレス空間の拡張が可能な設計となっています。
Q8
IBM iをどのように学んでいけばよいですか。
A8
IBM iの機能については、IBM i Information Center(https://www.ibm.com/docs/ja/i/7.5)で情報が提供されています。新しいバージョンに搭載された新機能だけでなく、旧来から存在している各機能やコマンドなども記載されています。
またIBM iの基本的な操作方法、システムの運用・管理方法、RPGやCLといったアプリケーション開発方法などは、アイ・ラーニングの研修サービス(https://www.i-learning.jp/service/it/iseries.html)で学べます。
Q9
IBM iではPTFをどのような頻度で更新すればよいですか。
A9
一般的にIBM i環境では、定期的にPTFが更新されていないケースも散見されます。これはIBM iは基幹用途として使われることが多く、「PTFの更新による業務影響を最小化したい」「セキュリティ・リスクが低いので、更新の必要性がない」といったユーザー側の思惑が伺えます。
多くの環境では、以下のようなケースでPTF更新が検討されています。
・不具合が生じており、対象PTFが明確な修正を含んでいる
・Technology Refreshを適用したいが、PTF更新が前提条件となっている
・IBM i OSのバージョン/リリースアップを行いたい
しかし最近では、IT全般でセキュリティ・リスクに対する関心が非常に高まっており、PTFを定期的に適用する(現在よりも短いサイクルで適用していく)という考え方にシフトしつつあります。
また、より高性能な最新ハードウェアを使用するために、PTF適用が必要な場合もあります。あるいは障害時の問題判別や対応策の検討に際しては、あまりに古いPTFバージョン(たとえば数年以上前など)の場合、IBMサポート部門でも解析不能なケースが発生し得るので、未然防止の観点でも定期的なPTF適用計画の策定が推奨されます。
Q10
IBM iは今後も使い続けていけますか。
A10
IBM iは常に最新リリースの2世代先の開発計画を公開し続けており(慣例的にIBM i Next、IBM i Next+1と記載される)、すでに2035年の計画まで公開されています。サポート・ロードマップは、最新リリース7.5から2世代先のリリースのサポート予定時期を示しています。7.5の次期リリースが発表された場合、そのリリースから2世代先の計画が公開され、次の次のリリースが発表されたら、そこからさらに2世代先の計画が公開されることになるでしょう。今後も、将来にわたって継続的にサポート・ロードマップはアップデートされていくと予想されます。
Q11
IBM iの価格は高いですか。
A11
IBM iやそのプラットフォームであるIBM Powerは一般的なx86サーバーと比較すると、初期コストは高額になりがちです。しかし運用コストなどを含めた長期的な視点で比較すると、次のような点で優れており、環境によっては合計コストを抑えられます。
◎高い安定性による運用コストの低減
IBM iは非常に安定したシステムであり、予定外のシステム/サービス停止が発生する可能性は極めて低いです。これはビジネス機会の喪失回避だけでなく、システム要員が復旧対応に時間を取られることを防ぎ、人件費までを含めたシステムランニングコストの低減に繋がっています。
◎資産継承面の有利
IBM iでは過去のOS環境で作成されたアプリケーションの多くを、新しいOS環境でそのまま稼働させられます。アプリケーションをOSバージョンに適合させるための改修や新規開発コストの発生を防ぎ、結果としてアプリケーション開発に関する費用を節約できます。
一例を挙げると、Java+オープン系データベースで構成されたシステムについてハードウェアの更改やOS/データベースのバージョンアップを実行するには、リグレッション・テストやバージョンアップテストの費用・工数が膨大に発生します。しかしIBM iの場合、既存のRPG、COBOL、データベースをはじめ、IBM i OSのネイティブ資産はほぼ100%、何もせずともそのまま稼働するので、費用・工数を大幅に短縮可能です。
◎CPUコア性能によるコスト削減
従来、IBM PowerのCPUコアは、同世代のx86CPUコアと比較して約3倍程度の性能であることが多かったです。しかし近年では、インテル製CPUは世代間でのコア性能向上があまり見られないのに対し、IBM Powerのコア性能は世代ごとに30~40%向上しています。
ソフトウェアライセンスがコア課金となっている製品を利用する場合、稼働プラットフォームにIBM Powerを選択するだけで、必要とするコア数を少なくできるため、ソフトウェアライセンス費用を節約できます。
著者
澤木 陸氏
日本アイ・ビー・エム株式会社
テクノロジー事業本部
IBM Power テクニカルセールス
[i Magazine 2025 Summer号掲載]







