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東京大学とIBM、運用中のIBM Quantum System Oneに最新の156量子ビット「IBM Heronプロセッサ」を導入へ ~今秋にスーパーコンピュータMiyabiとの接続計画も

東京大学とIBMは5月16日、東京大学が「量子イノベーションイニシアティブ協議会」(以下、QII)のメンバー向けに提供中のIBM Quantum System Oneに最新の156量子ビットのIBM Heronプロセッサを導入する計画を発表した。

Heronプロセッサは、QIIが2023年に導入したEagleプロセッサ(127量子ビット)と比較して、2量子ビットのエラー率が3〜4倍改善され、デバイス全体のパフォーマンスが一桁向上し、CLOPSが60%増加すると予想されている。速度も改善され、システムの稼働時間は95%以上となるなど、パフォーマンスが大幅に向上している。

QIIでは、「今年後半に」Eagleプロセッサ搭載のIBM Quantum System Oneを導入する予定。QIIのIBM Quantum System Oneは、当初27量子ビットのFalconプロセッサを搭載して設置され、2023年に127量子ビットのIBM Eagleプロセッサーへ移行した経緯がある。

IBM Quantum roadmap 2024
IBM Quantum roadmap 2024

また、東京大学は、今年後半にIBM Quantum System Oneを、スーパーコンピュータMiyabiに接続し、量子を中心としたスーパーコンピューターを実現する計画。これにより、QIIに参画する企業、大学、研究機関などのユーザーは、化学やバイオインフォマティクス、高エネルギー物理学、材料科学、金融、その他多くの分野で、新しい計算能力と向上したパフォーマンスを利用できるようになる。

Miyabiは、東京大学と筑波大学が共同で設置した最先端共同HPC基盤施設(JCAHPC)が運用するスーパーコンピュータで、Miyabi-CとMiyabi-Gの2つのサブシステムで構成される。最先端のCPUとGPUを搭載する。

東京大学では、「今年後半に、IBM Heronを搭載した東京大学のIBM Quantum System OneとスーパーコンピューターMiyabiが接続することで、ユーザーは、ニューラル・ネットワーク推定器を用いて量子観測量をより正確に測定するといった計算問題を探求できるようになる」としている。

QIIのメンバーは、東京大学、慶應義塾大学、東京農工大学、サントリーホールディングス、JSR、ソニーグループ、ソフトバンク、DIC、東芝、凸版印刷、トヨタ自動車、日本アイ・ビー・エム、日立製作所、みずほフィナンシャルグループ、三井住友信託銀行、三井住友トラストグループ、三菱ケミカル、三菱UFJフィナンシャル・グループ、横河電機、理化学研究所。

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