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リモートワークの意義を再定義し、ハイブリッド・ワークを推進すべき、とガートナージャパン ~「日本企業におけるリモートワークの実施状況」調査を踏まえて見解

ガートナージャパンは7月31日、日本企業におけるリモートワークの実施状況に関する調査結果を発表した。

それによると、日本企業のリモートワークの実施状況は、コロナ以前(~2020年4月)、コロナ禍中(2020年4月~2022年)、現在(2025年4月)、今後(企業の予定など)という推移をみると、以下になる。

コロナ以前(~2020年4月):40.8%
コロナ禍中(2020年4月~2022年):85.9%
現在(2025年4月):75.7%
今後(企業の予定など):72.3%

日本企業におけるリモートワークの実施状況 出典:Gartner (2025年7月)
日本企業におけるリモートワークの実施状況 出典:Gartner (2025年7月)

上図にあるように、コロナ禍中 (2020年4月~2022年) は、「リモートワークをまったく実施していない/実施予定はない」企業は12.6%、「全社員の50~80%程度がリモートワークを実施している」企業は約半数 (49.3%) であった。

一方、ガートナージャパンが今年(2025年)に実施した調査では、「リモートワークをまったく実施していない/実施予定はない」企業は22.6%へと10ポイント増加し、「全社員の50~80%程度がリモートワークを実施している」企業は32.3%へと17ポイント減少した。

ガートナージャパンでは、「今後リモートワークを廃止すべきではないか」という声に対して、「リモートワークを完全に廃止することは、従業員のワーク・ライフ・バランスの損失と、優秀な人材獲得機会の喪失、そして働き方の多様性を求める社会の潮流からの逆行となる可能性もあるため、十分に留意しながら施策を進める必要がある」と述べている。

ガートナージャパンの調査によると(2025年4月調査)、従業員が会社に勤務するうえで重要と思うものは、「報酬」「仕事の充実」に次いで、「ワーク・ライフ・バランス」で、リモートワークには次のようなメリットがある、と指摘する。

「リモートワークは、通勤負担の削減、ワーク・ライフ・バランスの向上、さらに個々の生活スタイルに合わせた柔軟な働き方を可能にするため、従業員満足度の向上、それに伴う離職率の低下、通勤負担の軽減による生産性の維持や向上につながる。また、オフィス・スペースの最適化によるコスト削減や、国や地域を問わない優秀な人材の採用などの戦略的なメリットももたらす」

ガートナージャパンでは、企業がリモートワークを検討する際には「以下を考慮すべき」とする。

・全社一律ではなく、チームや個人の適性に応じた柔軟な制度設計を行う:
・従業員のパフォーマンスとエンゲージメントへの影響を考慮し、最適なバランスを追求する:
・特定の事情を持つ従業員だけでなく、より広範な従業員が選択できる制度とする

「企業は、従業員が最大のパフォーマンスを発揮できる環境を提供することを目標に、画一的なルールに縛られることなく、多様な働き方を許容する姿勢を持つ必要がある。出社が可能になった今こそ、リモートワークと出社の意義を改めて再定義し、それぞれの働き方にとって、本当に必要な環境を再検討し、快適で、かつ高い生産性を実現できるハイブリッド・ワーク環境を推進すべきである」

[i Magazine・IS magazine]

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