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「IBM Cloud 構成パターン集」の紹介 ~IBM Cloudの提案を支援するサンプル構成パターン集(概算費用付)

Text= 森 大輔、樋口 裕美(日本IBM)


「IBM Cloud 構成パターン」集とは 

IBM Cloudは、Webアプリケーションから基幹業務、AI・機械学習、災害対策まで、幅広い用途で活用されているクラウドサービスである。多様なユースケースに対応するため、IBMでは主要サービスを活用した代表的な構成例とその概算費用をまとめた「IBM Cloud構成パターン集」を公開している。

本稿では、この構成パターン集の概要と活用方法について紹介する。本資料をIBM Cloud導入検討時の基本情報として、利用目的に応じた形で活用してほしい。

活用例
・顧客要件に合わせた構成検討のベースとして
・提案資料や構成概要図の作成時の参考として
・各サービスの料金見積もり方法の確認用として

最新版(2025年7月版)は、以下のURLよりダウンロード可能である。
https://ibm.box.com/v/ibmcloud-pattern

「IBM Cloud 構成パターン」集の内容

構成パターン集には、以下のような主要ソリューションに対応した約30種類のパターンが収録されている。

・VPC(Virtual Private Cloud)
・コンテナ基盤(OpenShift)
・VMware Solutions
・PowerVS (Power Virutual Server)
・AI(watsonx) など

ほかにどのようなパターンがあるかは、図表1を参照してほしい。

図表1「IBM Cloud構成パターン」集の目次

各パターンは2ページ構成となっており、以下の情報が含まれている。

1ページ目:構成図とポイント

1ページ目には、構成パターンのイメージ図を中心に、構成のポイントやシステム構成要素が簡潔に整理されており、視覚的に構成の全体像を把握しやすい内容となっている(図表2)。

含まれている内容
・構成パターンのイメージ図
・構成のポイント
・システム構成要素

図表2 1ページ目の例

2ページ目:概算費用 

2ページ目では、該当する構成パターンに対するサンプルの概算費用が提示されており、各サービスにかかる費用の目安や、構成全体としての金額感を具体的に把握することが可能である。

含まれている内容
・構成パターンの概算費用

図表3 2ページ目の例

これにより、技術者は構成の理解とともに、コスト感も把握しやすくなっている。

構成パターンの紹介 

ここでは「IBM Cloud構成パターン集」のうちの1つである「PowerVS IBM iと仮想テープのバックアップ(VTL)」を紹介する。本項にて、それぞれの構成パターン資料の活用についてイメージしてほしい。

PowerVS IBM i と仮想テープのバックアップ(VTL)

IBM iのバックアップ手法として、オンプレミス環境では従来からテープ媒体が広く利用されてきた。しかし、PowerVS環境では物理的なテープ媒体へのバックアップが利用できないため、代替手段として仮想テープライブラリー(VTL)の活用が求められる。

本構成パターンでは、「FalconStor StorSafe for PowerVS Cloud」を用いたVTL構成により、従来のテープバックアップ運用をクラウド環境でも継続可能とする方法を提示している。

❶ 構成イメージとシステム構成要素

図表4(構成パターンのイメージ図/構成のポイント/システム構成要素)に示すように、構成要素にはIBM iサーバーに加え、VTLサービス(FalconStor StorSafe)およびVTL用ストレージが含まれる。

図表4 PowerVS IBM iと仮想テープへのバックアップ(VTL)

VTL用ストレージはPowerVSのストレージを利用して構成されているが、バックアップデータを保管する重複排除リポジトリは、よりコスト効率の高い「IBM Cloud Object Storage」(ICOS)上に構成することも可能である。

VTLコンソールは、基本的にはユーザーサイト内に構成することを想定しているが、IBM Cloud VPC上に構成することも可能である。

ネットワーク構成としては、ユーザー環境からPowerVSへの接続はIBM Cloud経由で行われ、IBM CloudにはVPN for VPCを用いて接続する。さらに、IBM CloudからPowerVSへの接続には、Transit GatewayおよびPower Edge Routerを構成することで、セキュアかつ柔軟な接続を実現している。

❷ 料金試算例

図表5では、上記構成に基づいたサンプルの概算費用を提示している。

図表5 PowerVS IBM iと仮想テープへのバックアップ(VTL) 料金試算例

料金はあくまで一例であり、実際の要件に応じて調整が必要である。なお、IBM Cloudの料金は以下のカタログサイトから簡単に試算することが可能である。

IBM Cloudカタログ
https://cloud.ibm.com/catalog#all_products

「IBM Cloud構成パターン集」は、クラウド導入・提案の現場で即戦力となる資料である。構成の検討から見積もりまでを一貫して支援する内容となっており、IT部門の担当者や技術者にとって有益な情報源となる。

今後も構成パターンは随時追加・更新される予定であり、定期的なチェックを推奨する。また、追加してほしい構成パターンなどの要望があれば、著者までぜひフィードバックいただきたい。

「IBM Cloud 構成パターン」集の最新版は、こちらからダウンロード可能。
https://ibm.box.com/v/ibmcloud-pattern

 

著者
森 大輔氏

日本アイ・ビー・エム株式会社
テクノロジー事業本部
クラウドプラットフォーム 第一テクニカルセールス
Cloud Technical Specialist

IBM Cloudのテクニカルセールスとして金融・保険業界を担当。主にアーキテクトとして既存環境と最新のクラウド技術を踏まえたアーキテクチャ設計や業務アプリのリフト&シフトを支援。最近の主な活動として、IBM Cloud上のAIプラットフォームのアーキテクチャ設計やその展開に従事。

著者
樋口 裕美氏

日本アイ・ビー・エム株式会社
テクノロジー事業本部
Power 第二テクニカルセールス
Power Technical Specialist

IBM Power、特にAIXのお客様、保険・金融のお客様を中心に、ユーザー要件のヒアリングからシステムのアーキテクチャ設計、構築、テスト等上流から下流まで幅広く経験。現在はテクニカルセールスとして、営業活動支援、最新情報発信などを行っている。

*本記事は筆者個人の見解であり、IBMの立場、戦略、意見を代表するものではありません。


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