ランサ・ジャパンは10月9日、ユーザーとパートナーを集めた年次イベント「LANSA Forum 2025」を開催した。リアル参加の会場は東京・霞が関のイイノカンファレンスセンター、同時にライブ配信も行われるハイブリッド形式で開催された。今年のスローガンは「まかせる決断 活躍する新世代のチカラ」である。
オープニングセッションは、ランサ・ジャパンの代表取締役 カントリーマネージャーの藤井等氏で、タイトルは「LANSAがつなぐ未来の基幹システム」。
人材不足やレガシー化、ブラックボックス化などが指摘されるIBM i市場の現状と、それらの課題を解決して、次世代のプラットフォームへとつなぐLANSAの役割が強調された。興味深いのはそのなかで、親会社であるIderaグループの開発部門責任者であるアタナス・ポポフ(Atanas Popov)氏もオンラインで参加し、Ideraグループにおける生成AIへの取り組みとそのコンセプトが語られたことである。
Ideraは、積極的なM&Aを展開し、世界中に広がる約30社でグループを構成する。LANSA、Embarcadero、Yellow finなど日本でビジネスを展開する企業も含まれる。
そこでの生成AIの活用であるが、たとえば、Yellow finのBIツールをLANSAに取り込んだ「LANSA BI」では、生成AIを活用して自然言語によりクエリーの作成を指示したり、出力したグラフに分析結果を説明文として生成して分析レポートを自動作成する機能が実現している。
またエンバカデロ・テクノロジーズが提供するデータベース設計ツールである「ER/Studio」には、AIによりデータモデルを作成する「AI Data Modeling Assistant」が今年7月にリリースされた。
このほか、開発ツールとしては、同じくエンバカデロ・テクノロジーズが提供する開発支援ツール「RAD Studio」で、AIを活用してコーディングを支援する「Smart CodeInsight」が登場。同じく「RAD Studio」の「SmartCore AIコンポーネントパック」は、Delphi と C++Builder アプリケーションから任意の生成AIサービス(OpenAI、Claude、Gemini、Ollama を含む)の呼び出しを簡素化するモジュール式コンポーネントスイートとして提供されている。
このようにグループ全体で、今後AIをどのように活用していくかを模索し、製品に反映しているのである。
ランサ・ジャパンは今年7月、LANSA製品のナレッジに特化したAIアシスタント「LANSA AI」のβ版をリリースした。これはLANSAドキュメントやLANSAの技術的な質問に答えるために、製品ドキュメントやサポートケース、FAQなどのナレッジでトレーニングされたAIチャットボットであり、 LANSA V16でもアナウンスされた。
しかしこれはあくまでAI活用の入り口であり、Ideraグループ全体で取り組むAI活用戦略を今後、LANSA製品にも反映していく方針であるとのこと。上記のような開発支援という形で、AI機能を取り入れたLANSA製品が今後誕生していくものと思われる。
LANSA Forum 2025ではこのほか、IBM iユーザーの現状とLANSAの役割、LANSA製品を活用する東郷製作所、釜屋化学工業、堀川産業という3社のユーザー事例、そしてIBM iユーザーとLANSAの役割、LANSA製品の最新バージョンの情報などが伝えられた。
同フォーラムは後日、見逃し配信でも視聴可能となる予定である。
[i Magazine・IS magazine]