「IBM i Advantage 2025」の4つ目のセッションとして登場したのは、「新登場 『IBM ERPフレームワーク』 エキスパートによるパネルディスカッション」である。
日本IBMは2025年10月、「AIとIBM iを活用して業務変革を実現する基幹システム再構築施策」を発表した。これは、IBM iを使用していない新規ユーザーに向けて、そして現在IBM iを利用しているものの、種々の要因からオープン系サーバーへの移行を検討している既存ユーザーに向けた施策である。
その核となっているのは、次世代ERP「IBM ERPフレームワーク」の開発、オープン系アプリケーション用データベースの再構築、COBOLアプリケーションとデータベース一体のコンバージョンの3つである。
なかでも注目を集めていたのが、「IBM ERPフレームワーク」だ。安定性や運用性、資産継承性の高さから、IBM iへの移行を検討しているものの、信頼できる業務システムがないと憂慮し、IBM iへの移行をためらっているユーザーに向けて、IBM i上で稼働するIBMブランドのERPソリューションを提供しようというわけだ。
その特徴は、次の5点である。
1 AI対応
2 IBMが長年培った販売管理、生産管理のノウハウを公開
3 フルカスタマイズに対応
4 高いセキュリティ性を備える超高速データベース
5 クラウドにもオンプレミスにも対応
とは言え、この施策が発表されて以降、IBM ERPフレームワークの実体は不明のままであったが、IBM i Advantage 2025ではそれが明らかにされた。
このパネルディスカッションには、IBM ERPフレームワークを構成する販売管理、生産管理、経理、給与、ワークフローのそれぞれを開発する3社のベンダーが登場し、日本IBMの久野朗氏のモデレータの下、特徴を説明した。
ERPと名が付くとおり、販売管理、生産管理、経理、あるいは給与、ワークフローが相互に連動し、かつ操作性が統一されていることは全製品に共通する特徴である。
そして一般的なERP製品と異なるのは、ソースが公開されているので、フルカスタマイズに対応可能であること。自社独自の業務ニーズにきめ細かく対応したいとのニーズをもつ場合、「カスタマイズできず、業務をパッケージに合わせる」というERP特有の考え方を受け入れがたいユーザーは少なくない。そこでIBM ERPフレームワークでは、フルカスタマイズに対応し、独自の業務ニーズにきめ細かく対応していこうとしている。
また開発言語はILE RPGに統一されている。今回のイベントでも話題の中心であった「IBM Project Bob」を利用すれば、プログラム生成や理解、説明、リファクタリング、変換、テストなどに対応するので、開発生産性を向上し、IT開発の人材不足を補う。さらにwatsonx.aiを組み合わせることで、自然言語により基幹データの検索・抽出・分析を可能にする。
ただしIBM ERPフレームワークには、基本的な業務に対応できるよう機能群が標準でサポートされているので、場合によっては最小限のカスタマイズで導入が可能になるケースもあるだろう。
販売管理、生産管理、経理、給与、ワークフローのそれぞれを開発する3社のベンダーは以下のとおりである。
まず、「IBM ERPフレームワーク 販売管理」を開発するのはシイエスシイ、登場したパネリストは同社の中久喜正紘氏である。

中久喜氏は、業務の基幹となる基本的な機能を最大限に網羅し、販売管理から在庫管理まで、一体的な販売・物流業務の処理が可能であると説明した。

また「IBM ERPフレームワーク 生産管理」を開発するのはソリューション・ラボ・ジャパン、登場したパネリストは同社の柏木俊介氏である。

柏木氏は、個別受注生産型と量産型の双方に対応し、混在も可能であること、無駄な在庫を作らず、計画・仕様の変更に対応するための機能、突発的な要求や特殊な使用にも柔軟に対応する点などを強調した。

さらに「IBM ERPフレームワーク 経理」「IBM ERPフレームワーク 給与」「IBM ERPフレームワーク ワークフロー」を開発するのはクレスコ・ジェイキューブ、登場したパネリストは同社の長島英理子氏である。

長島氏は、IBM ERPフレームワーク 経理では、会計業務の細部に対応し、管理会計・部門別管理をサポートしていること、IBM ERPフレームワーク 給与では多彩な給与業務・給与形態にきめ細かく対応していること、IBM ERPフレームワーク フレームワークでは、発生源入力を実現するためのワークフローを短期間かつ容易に構築できる機能性などを強調した。



これら3社はいずれもそれぞれの分野で、長年培ったアプリケーション構築のノウハウや知見が豊富であり、それらを最大限に活かして今回の開発を担当したという。
IBM ERPフレームワークは、これらの開発ベンダーおよびビジネスパートナーが一体となって推進することで、IBM iの新しい領域を切り拓くことになるかもしれない。
[i Magazine・IS magazine]







