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IBM i上の基幹システムをPowerVSへ全面移行、DXへ向けたシステム環境を整備 ~ITインフラのさらなる強化、在宅勤務など新しい働き方への対応、AIによる企業内データの活用に備える |サミットスチール株式会社

サミットスチール株式会社
大阪本社:大阪市中央区
東京本社:東京都江東区
設立:2012年
資本金:4億6200万円
従業員数:395名(2025年4月)
概要:熱延、冷延、特殊鋼の販売と受託加工ならびにこれら加工製作品の販売、倉庫業
https://www.summitsteel.co.jp/

3社の企業統合に伴い
各社のホスト機をIBM iへ統一

サミットスチールは住友商事グループの中核コイルセンター3社が2012年10月に結集して誕生した国内トップクラスのコイルセンターである。

コイルセンターとは、鉄鋼メーカーと最終製品メーカー(自動車・電機・住宅建材など)および鋼材特約店の中間に位置する加工・流通企業のこと。今回更新対象の基幹システムを利用する拠点は、サミットスチールおよび関連会社あわせて7カ所の加工工場と3カ所の営業拠点で、顧客企業の多様なニーズに即応する体制を敷いている。

企業統合は、各社が長年にわたり運用してきたシステムの統合も伴う。 

サミットスチールの旧3社は統合前まで国産メーカーのホスト機をそれぞれ使用してきたが、統合に際して1台のIBM iへ集約し、「メタルシステム」と呼ぶ基幹の生産販売管理システムをRPGで構築した。

このシステム統合の特徴は、「7つの工場と3つの営業拠点のデータを1つのデータベースに統合し、新規開発のメタルシステムによって業務のリアルタイム処理を実現する」という意欲的なもの。 ただし、最新機能を備えるメタルシステムを導入したものの、「業務の進め方は3社まちまちで、その違いを調整しながらメタルシステム以外のサブシステムの開発にも取り組んできました。業務処理における各社の微妙な違いは、システムを統合して初めて見えてくることが数多くありました」と、理事の豊澤治樹氏(IT企画推進部長)は振り返る。

豊澤 治樹氏

新たなシステム課題に直面
PowerVSへの移行で解決する

そしてシステムの統合から13年。この間、2020年にPower7からPower9へのサーバー移行を実施したが、コロナ後のビジネス環境の変化によってシステム面で新たな対応が必要になった。

「鉄鋼需要の変化に伴って業界内で企業の統廃合が急速に進み、環境変化への柔軟な対応がシステム面で必要になりました。さらに、セキュリティやコンプライアンスのためのITインフラの強化や、在宅勤務など新しい働き方への対応、AIによる企業内データの活用なども浮上し、システム運営に関する考え方を抜本的に変えざるを得ない状況になりました。積極的にDXを推進して成果を上げている同業他社もありますが、まずは将来を見据えた基幹システムの基盤整備を考えたのです」(豊澤氏)

そこで同社が選択したのは、基幹システムのクラウドへの移行である。オンプレミスのIBM iと周辺のシステムをクラウドへリフトし、クラウドのメリットを享受しつつ新しいシステム・ニーズに対応していこうという考え方である。

クラウドサービスはPower Virtual Server(以下、PowerVS)を選択したが、特に以下を評価したという。

・サーバーやインフラの購入が不要で、導入コストを抑えられる。
・利用状況に応じてリソースを柔軟に増減できる。
・クラウドサービスは高い稼働率を保証しており、かつ障害時の対応が早い。
・BCP対策を講じやすい。
・セキュリティのためのパッチや機能追加が自動で手間がかからない。

移行プロジェクトは2024年3月にスタートし、1年後の2025年3月にクラウド上のシステムがサービスインした。

クラウドへの移行に際してはベンダーの支援を受けることとし、PowerVS上の基盤構築はMONO-X、オンプレミスからクラウドへの移行全般はSCSK Minoriソリューションズが担当した。

移行作業は「おおむね順調」(豊澤氏)に進んだが、想定外の対応も発生した。

「IBM iのIPアドレスは変更せずに移行するというのが当初のプランでしたが、プロジェクトの半ばで変更が不可避であることが判明し、準備を進めることになりました」と語るのは、IT企画推進部の山出敏宏氏(大阪IT企画推進 チームリーダー)である。

山出 敏宏氏

ホスト機のIPアドレス変更は、サブシステムやホストに直接つながるシステム/デバイスのすべてで設定変更が必要になる。

「クラウドへの切り替え当日は、IT企画推進部のメンバー全員が各拠点に散らばり、PC300台とハンディターミナル80台のIPアドレスを1台1台手動で変更しました」(山出氏)

メタルシステムの運用・保守を長年にわたり担当している吉良由起子氏(IT企画推進部 東京IT企画推進チームメンバー)は、「クラウドへの移行後、お客様から送られてきたデータをメタルシステムに取り込むツールなどを開発しましたが、オンプレミスと同様にクラウド上のIBM iを遜色なく使えることに驚きました」と感想を述べる。

吉良 由起子氏

豊澤氏は今回の移行を、「DXへ向けた環境基盤整備の一環」とし、「業務の統一や標準化、高度化を実現し次のステップにつなげていきたいと考えています」と抱負を語る。

図表1 クラウド移行後のシステム概要

 

[i Magazine 2025 Winter掲載]

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