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日本企業のDX、3/4は「コスト削減・オペレーション効率化」、上流工程でも「社外リソースを活用せざるを得ない状況」 ~ガートナーがDXにおけるソーシング動向を発表

ガートナージャパは6月8日、日本企業のDXに関わるソーシング動向について調査結果を発表した。

2022年4月に実施したWeb調査で、400社が回答した。調査は、以下の8つの分野を提示し、DXの取り組み状況について尋ねた。

・既存のビジネスにおけるコスト削減やオペレーションの効率化
・データやITインフラ等の基盤の整備
・既存の商品やサービスの機能や品質の強化
・既存のビジネスにおける顧客体験価値や付加価値の向上
・あたらしい顧客ターゲットやチャネルの拡大
・新しい収益流(収益を得る仕組み)の確立
・デジタルやコネクテッドを前提とする新しい製品やサービスの開発
・新規事業等の新しい価値提案の創出

その結果は下図のとおりで、全項目で50%を超えた。トップの「既存のビジネスにおけるコスト削減やオペレーションの効率化」は全体の3/4の企業が取り組み中である。

デジタル・トランスフォーメーションの取り組み
デジタル・トランスフォーメーションの取り組み

また同調査では、DXの「戦略・企画立案」「設計・開発・実装」「運用・管理・保守」の3つのフェーズにおけるイン/アウトソーシングの実施状況についても尋ねた。

その結果は、

・「戦略・企画立案」を社内リソース中心に進めている企業は59%、社外リソースへの委託は33%
・「設計・開発・実装」を社内リソース中心に進めている企業は45%、社外リソースへの委託は48%

という内容だった。

DXにおけるイン/アウトソーシングの状況
DXにおけるイン/アウトソーシングの状況

これについてガートナー・ジャパンのアナリスト、中尾晃政氏(シニア プリンシパル)は、「人材不足を主な背景として、多くの企業では、上流工程においても社外のリソースを活用せざるを得ない状況」と指摘したうえで、「社外リソースを活用することで、外部から新しいアイデアや先端技術などの知見を得られる一方で、社外のスキルに依存してしまい、知見やノウハウが社内に蓄積されないといったリスクがある」と注意を促し、さらに「従来よりも、社内リソースとの連携スピードや柔軟性を求められるため、社外のリソースを活用する際は、連携体制の実現性や、ベンダー依存のリスクへの対応策なども併せて検討しておくことが重要」とコメントしている。

この社外リソースの活用に関して、「新しいビジネス・アイデアや、新しい技術のノウハウを提供できるベンダーを積極的に開拓している企業の動きもうかがる」と指摘。「社外のリソースを活用する際は、期待する成果が得られないリスクや、選定時の評価、あるいは、委託後のパートナーとの関係性やパフォーマンス管理など、管理、監督体制の対策が必要」「デジタル時代のソーシング戦略では、社内、社外のリソース両面で、それぞれの能力を最大限引き出していくための施策が、これまで以上に重要となっている」としている。

 

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