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Gartner、2028年までに少なくとも80%の政府機関はAIエージェントを導入し、日常的な意思決定を自動化するとの見解を発表

Gartnerは3月24日、2028年までに少なくとも80%の政府機関はAIエージェントを導入し、日常的な意思決定の自動化によって効率化とサービス提供を向上させる見込みであるとの見解を発表した。

シニア ディレクター アナリストのダニエル・ニエト (Daniel Nieto)氏は次のように述べている。

「政府機関のCIOは、迅速かつ責任ある形で意思決定能力にAIを組み込むことへの圧力が高まっています。マルチモーダルAIや会話型/エージェント型AIの台頭によって、公的機関が自動化できる範囲や理解・予測できる内容も拡大しています」

しかし、政府機関におけるAIの価値実現への最も根強い障壁の一つは断片化である。Gartnerが2025年7月から9月にかけて世界中の政府組織に実施した調査では、138人の回答者のうち、41%が戦略のサイロ化、31%がレガシー・システムをデジタル・ソリューション導入・実装時の主要課題として挙げた。

ガバナンスはモデルから意思決定へと移行する必要がある

AI活用が実験段階から意思決定に深く組み込まれる段階へと移行するにつれて、ガバナンスのアプローチも進化する必要がある。従来、AIガバナンスはモデル、データ、アルゴリズムの管理を中心としてきた。

しかし、意志決定インテリジェンス(DI)は、この焦点を「どのように設計・実行・監視・監査されるか」という“意思決定そのもの”のガバナンスへと転換する。このガバナンスの転換は、政府機関において特に重要である。行政の正当性は、透明性と公平性に支えられているからである。

Gartnerの調査では、回答者の39%が、市民の信頼を構築するために投資する主な理由として、サービスと市民満足度の向上を挙げた。DIは、意思決定のプロセスを明示し、監査可能にすることで、この信頼を運用に落とし込むための構造的な基盤を提供する。

ニエト氏は次のように述べている。

「個別作業のAI機能だけを対象とするのではなく、意思決定全体のガバナンスを強化することで、政府機関は自動化と人間の判断とのバランスをより適切に取ることができます。特に高いリスクや権利に影響を及ぼす業務では不可欠です。規制が厳しい業界や政府機関では、権利や生活に影響する重要な判断を、不透明な『ブラックボックス』型のシステムに依存することはできません。DIは、説明可能性を技術的要件からガバナンス上の必須要件へと引き上げます」

意思決定における透明性が求められることから、Gartnerは2029年までに、政府機関の70%は、行政サービスの提供に影響を及ぼすすべての自動化された意思決定は、説明可能なAI(XAI)およびヒューマン・イン・ザ・ループ (HITL;人間介在メカニズム) が義務付けられると予測している。

XAIとHITLの設計は、公的機関におけるDIの基盤である。これらの仕組みにより、意志決定ロジックは検証・説明・異議申し立ても可能になり、自動化が進展しても人間が例外対応、異議申し立て、高リスク案件に対する権限を保持し、説明責任も維持される。

市民エクスペリエンスがAI価値の定性的指標に

効率性が依然として重要である一方で、効果的な行政サービスを提供する能力に対する市民の信頼は、政府機関がデジタル・トランスフォーメーションを推進する主要な原動力になりつつある。政府機関の回答者の50%が、市民エクスペリエンスの改善を最優先事項の上位3つの1つに挙げている。

ニエト氏は次のように述べている。

「AIとDIにより行政サービスがますます自動化し、合理化していく中で、従来の『市民エクスペリエンス』の概念も変容します。市民が必要な情報を行政から自動的に受け取れるようになると、直接的なやり取りは減少する可能性があるため、その分、システムの信頼性、公平性、透明性の担保がより重要になります。こうした状況では、信頼が極めて不可欠であるため、潜在的なニーズを先読みする能力が、行政のデジタル・サービスの届け方を変えていく可能性があります」

DIは、市民向けサービス全体における意思決定のの再設計を可能にし、受け身かつプロセス主導の対応から、能動的かつ個別最適化された対応へと移フロー行させる。これにより、一貫性が高まり、遅延が削減するだけでなく、公平性の認知が高まり、行政への信頼が醸成される。これは、職員との直接的なやり取りがより少なくなる中でも有効である。

 

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