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IBMトニー・バスティアンス氏が語る、Power Virtual Serverの“現在地”と最新情報|IBM i Success Summit基調講演[PR]

 

IBM Powerのクラウドサービス、Power Virtual Server(以下、PowerVS)は、2019年6月に米国のダラスとワシントンD.C.の2カ所でスタートしました。それから3年半、Power VSは世界でどのように利用されているのでしょうか。

基調講演「IBM iをIBM Cloudで。世界のPower Virtual Server最新情報」に登場したトニー・バスティアンス氏は、「現在のIT環境ではハイブリッドクラウドとマルチクラウドが新しい標準です。Powerのお客様も、そのリソースをクラウド上で柔軟に活用したいと考えておられます」と、Powerユーザーの思いを語るところから講演を始めました。そして「もちろん」と、話を続けます。バスティアンス氏はIBMでPower VSのワールドワイド・オファリング・マネージャーを務めています。

「もちろん多くのPowerユーザーは、オンプレミスでもリソースの柔軟な活用が可能なことをご存じです。LPARを使えばオンデマンドでリソースを増減でき、Powerエンタープライズ・プールを使えば複数のハードウェア環境を柔軟に利用できることをご存じなのです。しかしその一方で、クラウドを含むオフプレミス環境でPowerをセキュアに利用できる方法も真剣に探しているのです。そのようなお客様に、PowerVSは限りない可能性を提供しています」

PowerVSは現在、世界各地の15のデータセンターで提供されています。日本では東京リージョンと大阪リージョンの2カ所に配置。Power S922とE980の2機種が利用でき、ローエンドのS922は0.25コア~15コア、ハイエンドのE980は0.25コア~143コアを使用することが可能です。OSはIBM i、AIX、Linuxの3種類に対応。IBM iはIBM i 7.1~7.5と、オンプレミスではサポート終了のOSバージョン(IBM i 7.1、7.2)まで利用可能になっています。これによりサポート終了のOSバージョンをオンプレミスで使用中のIBM iシステムも、そのままの形でPowerVSへ移行できます。またストレージはTier3がSSD、Tier1ではより高速のNVMeが提供されています。

PowerVSを利用中のお客様は現在、「全世界で450社以上」と、バスティアンス氏は語ります。「本番、HA/DR、開発・テスト用などあらゆるケースで利用されています」。そして特に重要な点は、PowerVSがオンプレミスと同一の環境・同一の体験で利用できることで、シームレスに統合されていること、と説明します。

「PowerVSが他のハイパースケーラーと決定的に異なるのは、Powerのお客様がオンプレミスで長年利用してきた環境をクラウド上でご用意し、同じ操作、同じ体験で使えるようにしたことです。つまり同じハードウェア、同じファームウェア、同じ仮想レイヤー、同じオペレーティング・システムがクラウド上に揃っているのです。これによりオンプレミスのお客様はスピーディにPowerVSに適応することが可能です」

バスティアンス氏は次に、PowerVSのユースケースに話を進めました。

代表的な活用例は、「BCP」「データセンター戦略の最適化」「モダナイゼーション」「コスト最適化」の4つです。バスティアンス氏は、「この中でも、事業計画やバックアップ、HA/DRでの利用が多く見られます。これまで2台目のPowerの導入を躊躇されてきたお客様が、PowerVSを採用して“攻め”のHA/DRを実現しているのです」と指摘します。「この活用は、CAPEX(設備投資)とOPEX(運用コスト)の削減に大きく貢献します。必要に応じてスケールアップし、スケールダウンできる柔軟なHA/DRシステムの構築も可能です」

2つ目の活用は、データセンター戦略の最適化です。「最近、自社でデータセンターを持つことの是非を問う声が高まっています」と、バスティアンス氏は指摘します。データセンター自体はお客様のコア事業ではなく、システムの安全かつ安定的な運用こそコアであるからです。自社のデータセンターをクラウドへ移行することによってシステム基盤の保守・運用をクラウド側へ任せることができます。リソースの調達・削減も必要な時に即座に行えます。CAPEX・OPEXのメリットも享受可能です。

「そのような問題意識をお持ちの場合、PowerVSは強力な回答になっています。そしてそのように考えるお客様が増え、PowerVSを自社のデータセンターとして利用するお客様が増加しています」

バスティアンス氏は、2つ目のデータセンター戦略の最適化は、3つ目のモダナイゼーションと密接に関係しています、と話します。

モダナイゼーションの課題はお客様ごとにさまざまです。しかしPowerVS上には多様な課題を解決できる最新の技術・サービス・ソリューションが揃っているので、モダナイゼーション実現のプラットフォームとなり得るのです。バスティアンス氏は「オンプレミスのシステムの一部をPowerVSへ移行してモダナイゼーションを行い、そのままPowerVS上で運用することも、オンプレミスへ戻して開発を継続することも可能です」と、PowerVSならではの使い方も説明します。

4つ目は、今挙げた活用例のどれにも当てはまる「コスト最適化」です。バスティアンス氏は、「PowerVSの、使用した分だけ料金を支払うという“Pay as you go”にメリットを感じ、利用に踏み切るお客様も増えています」と言い、その一例として開発・テストでの一時的な利用を紹介しました。

「HA/DRシステムが自社にどのような価値をもたらすのか、どう機能するのかを確認したいという時、いきなり2台目を導入するのはリスクがあります。そのようなケースでは、PowerVS上のHA/DRサービスを一時的に利用してテストを行い、うまくいけばそのまま本番環境へ移行し、あるいはオンプレミスへテスト環境をコピーしてHA/DRシステムを構築するということが可能です。PowerVSのPay as you goの仕組みは、お客様のコスト最適化に大きなメリットをもたらします」

バスティアンス氏はユースケースの紹介に続けて、お客様事例に話題を移しました。「私がこの図(下図)でお伝えしたいのは、PowerVSは大企業だけでなく、中堅・中小のお客様にも非常に多く採用されているということです。この図中にはAIX、Linuxでのご利用も含まれています。しかしIBM iのお客様のご利用がとても多いのです」と語り、IBM iユーザー3社の事例を紹介しました。

1社目は、英国エジンバラに本社を置く金融サービス企業のFNZ社です。同社では数年前から、お客様に提供する資産管理プラットフォームへのサービス追加とリリースをよりスピーディに行いたいというニーズをお持ちでした。

しかし、テストチームと開発チームがLPARを共有していたために、テスト作業は開発チームが作業を終えた後の夜間に行うことが多くなり、リリースの遅れが問題視されていました。

そこでテスト用のLPARを新規に設けました。ところが今度は、LPARを別に設けることのコスト効率と拡張性に乏しいことが問題となったのです。

この問題を解決したのがPowerVSです。「PowerVSは、テストの回数やボリュームが一時的にスパイクしてもスケーラブルに対応でき、リソースの縮小も容易だからです。FNZ社では現在、PowerVS上でテスト環境の構築を10分以内に済ませています。これにより、お客様へのサービスのリリースは15倍速くなったと評価されています。コスト効果の高いテスト環境を構築できるのがPowerVSなのです」と、バスティアンス氏は説明します。

2社目は、スウェーデンのストックホルムに本社を置くIptor社です。同社は、流通業のお客様向けにERPソリューションを提供していますが、パンデミックとなり、お客様のITスタッフが在宅勤務を余儀なくされると、同社ソリューションの“脆弱性”が顕在化するようになりました。つまり、お客様サイトでの実装やVPNに依存していたために、緊急事態にスピーディかつ柔軟に対応できなかったのです。

そこで同社では、開発機能をすべてPowerVSへ移行し、PowerVS上でソリューション開発とカスタマイズを行うように切り換えました。「この切り換えによって、新規のお客様向けのソリューションを1時間で準備できるようになりました。それまでの所要2日間と比べると、驚くほどの改善です。また同社ではPowerVSへの移行によってインフラコストを80%削減できると見込んでいます」と、バスティアンス氏は話します。

そして「パンデミックへの対応だけではない価値を、Iptor社はPowerVSに見出しています」と続けます。

「Iptor社ではPowerVS利用の次のステップとして、OpenShiftを活用した開発機能のモダナイゼーションを計画しています。PowerVS上ではOpenShiftの利用がとても簡単です。本番稼働するIBM iのすぐ横でOpenShiftアプリケーションを走らせ、相互に連携させることも容易に行えるのです」

3社目は、フランスを拠点とする物流会社、ID Logistics社の事例です。オンプレミスでクリティカルなビジネスアプリケーションを構築・運用してきた同社では、パンデミックの拡大を機に、それらを全面的にPowerVSへ移行しました。システム展開の柔軟性とさらなるスピードを求めたのです。その際に同社が最も重視したのは「セキュリティでした」と、バスティアンス氏は振り返ります。「セキュアであること、高可用性やセキュリティを確実に担保できる基盤であることを十分に検討した結果、PowerVSを選択されました」

バスティアンス氏は次に、PowerVS上のIBM iソリューションについて話を進めました。最初に触れたのは、「日本のお客様をいかに重視しているか」という点です。

PowerVS上のIBM iに関する日本語サポートは、東京・大阪の各リージョンだけでなく、ダラス(米)、シドニー(豪)、フランクフルト(独)、サンパウロ(ブラジル)の各データセンターでも提供されています。つまり日本のお客様が海外のリージョンでIBM iを利用しても、日本語でサポートが受けられるのです。これは日本のお客様にとって大きな安心材料だろうと思います。

もう1つは、日本のお客様の間でご利用の多い、IBM i 7.1および7.2をサポートしていることです。これらの通常サポートは既に終了していまが、PowerVS上では利用可能なのです。「古いハードウェア・プラットフォームからPowerVSへ移行しても、PowerVS上は古いOSバージョンをサポートしているので、大きな変更を伴うことなく移行できるのです。そしてさらに、ステップを踏んで新しいOS環境へ移行できます。これはPowerVSの大きなメリットです」と、バスティアンス氏は強調しました。

PowerVSへの移行では、移行した後に従来からのオペレーションを変更せずに継続できるか、というのが、IBM iのお客様にとって大きな関心事です。

テープ・バックアップは、その関心事の1つです。そしてPowerVSでは、FalconStorをベースとする仮想テープ装置を提供し、そのニーズにお応えしています。

PowerVS上で仮想テープ装置を利用すると、クラウド上にあるIBM iシステム、またはオンプレミスのIBM iシステムのバックアップをクラウドで受けることができ、災害対策などに利用できます。また仮想テープ装置のデータ/システム転送機能を利用することによって、オンプレミスからPowerVSへのクラウド・マイグレーションにも使うことができます。

ただし、2TB以下の小規模な環境であれば、「仮想テープ装置の利用は不要で、コマンドなどによる従来手法のバックアップをお勧めします」と、バスティアンス氏はコメントします。「それ以上のバックアップ容量がある場合は、仮想テープ装置の利用が効果的です。バックアップ容量の変化に応じてリソースをスケールでき、重複排除による最大95%までのデータ削減が行えるので、高速なバックアップ/リストアを実現できます」

「Shared Processor Pool」(以下、SPPs)はこれまでオンプレミスで提供されていた製品ですが、つい最近(2022年10月)、PowerVSでも使えるようになりました。

SPPsは、複数のLPAR上のCPUをプールとして定義し、そのプールのCPUを複数のLPAR間で共有できるようにする機能です。使用するCPUの合計に上限を設定できるので、CPUのコア数で課金するソフトウェア(Oracleなど)のライセンス費用を抑制したり、災害対策用にキャパシティを確保しておくことなども可能です。バスティアンス氏は、「お客様の強いご要望により、1カ月でPowerVSへの対応を実現しました」と説明していました。

最後は2022年9月にスタートした「Global Replication Service」(以下、GRS)です。これは、クラウド上のストレージ環境をクラウド上で相互にレプリケーションできるようにする、“クラウド-クラウド”のレプリケーション・サービスです。現在、米国のダラスとワシントンD.C.のデータセンター間で提供されていますが、「他のデータセンターへも順次拡張していく予定です」と、バスティアンス氏は説明しました。

バスティアンス氏は最後に、PowerVSに関する「リソース」サイトを紹介し、基調講演を締めくくりました。PowerVSの詳細情報は、以下のサイトで入手できるとのことです。

・Power Virtual Server メインページ
https://www.ibm.com/jp-ja/products/power-virtual-server

・Power Virtual Serverの技術解説(IBM Cloud Docs)
https://cloud.ibm.com/docs/power-iaas?topic=power-iaas-getting-started

・IBM Red Books(Power Virtual Server)

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