
IDC Japanは7月30日、2024年の国内ITサービス市場のベンダー別売上高ランキングを発表した。
それによると、2024年の国内ITサービス市場の規模は7兆205億円で、前年比7.4%増の増加だった。
ベンダー売上の上位6社は、1位から、富士通、日立製作所、NEC、NTTデータ、IBM、アクセンチュアの順。前年(2023年)4位の日立製作所は売上高を13.3%増と伸ばし、2位に浮上した。この結果、日立製作所、NEC、NTTデータの2位~4位のITサービス売上高は僅差となった。
ITサービスをセグメント別にみると(プロジェクトベース、マネージドサービス、サポートサービスの3つのセグメント)、プロジェクトベース市場は、デジタルビジネス化に向けた基幹システムの刷新、新規の構築需要が旺盛で、上位10社中5社の対前年成長率が10%以上のプラス成長だった。また、各セグメントの上位10社の売上高はすべてプラス成長となった。
マネージドサービス市場では、前年までのプロジェクトベースのビジネスの後続として運用サービス案件の獲得や契約更改時のサービス価格の上方改定などがあり、各ベンダーの売上増に寄与した。
サポートサービス市場では、デジタルビジネス化に向けたソフトウェア販売の拡大や2023年以降の半導体不足影の響の緩和による製品販売の回復などが成長要因となった。
また産業分野別に見ると、金融、製造、政府・公共の各分野では、上位10社の売上合計額の対前年成長率が7%を超え、相対的に高い成長を示した。なかでも政府・公共は、中央官庁向けの大型案件が牽引役となり、上位10社中5社が対前年比で10%を超えた。
金融分野では大手銀行向けを中心とした既存システムの更改案件が増え、製造分野ではSAP S/4HANAへの移行を含むシステム刷新案件が、各ベンダーの売上拡大に寄与した。
IDC Japanの村松 大氏(シニアリサーチアナリスト)は、「基幹システムのアプリケーションモダナイゼーションが本格期を迎える中、エージェント型AIの関連技術が急速に進化している」とし、「ITサービスベンダーは、顧客のAI駆動型組織への進化を見据えたモダナイゼーション支援が重要になる。また、その先の展望として、AIエージェントおよび関連システムの連携/運用を継続的に支援する「AI統合サービスプロバイダー」としての価値提供モデルを検討する必要がある」と述べている。
[i Magazine・IS magazine]