イグアスは1月27日、「IBM Bob」の技術検証の結果と、その検証結果に基づく「IBM Bobを活用したアプリケーション開発や保守支援サービスの提供」の検討を開始する、と発表した。
IBM Bobは、昨年(2025年)10月に発表されたIBMの「AIエージェント駆動のエンタープライズ向け開発支援ツール」。
米IBMのIBM i開発部門では2024年から、RPGプログラムを対象とする生成AI活用の開発支援ツールの開発を進めてきた経緯がある。RPG Code Assistant(2024年5月)やIBM watsonx Code Assistant for i(2025年5月)がそれだが、IBM Bob(当初はIBM Project Bob、2026年1月に改称)はそれらとは別に開発が進められた製品で、発表以来、その機能の一部が紹介されるにつれて、「40年に一度の製品」「従来とは一線を画する生成AI活用の開発支援ツール」として大きな注目を集めてきた。
イグアスが今回、IBM Bobの技術検証を行ったのは、IBM Bobの発表直後に米IBMより「テクノロジー・プレビュー」の依頼が寄せられたから、と取締役の伊藤瑞穂氏(専務執行役員 パートナービジネス事業部長)は話す。
「IBM本社からのテクノロジー・プレビューのオファーはイグアスとして初めてのことで、IBM watsonx Code Assistant for iの検証メンバーを中心にただちにプロジェクトを立ち上げ、検証をスタートさせました。今回のオファーは、当社が以前に行ったIBM watsonx Code Assistant for iの技術検証が高く評価された結果と受け止めています」
イグアスでは今回、IBM Bobにおけるアプリケーション開発の効率化と品質向上の有効性を検証するために、IBM iにおいてRPGとPythonの2つの言語で技術検証を行った。
RPGでは、プログラムの解説、コード生成、他言語への変換の効率性と正確性の検証。Pythonでは、IBM BobによるMCPサーバー・アプリケーションの新規開発(仕様書生成、コード生成、テストケース生成・実行)と、IBM watsonx Orchestrate(AIエージェント製品)からのメール送受信の指示を、開発したアプリケーションが正しく実行するかの検証である。
検証環境は、下図のとおり。IBM Bobへ自然言語で指示を与えると、IBM Bobがその指示を解釈してMCPサーバーへ指示を出し、MCPサーバーがその指示をコマンドに変換して各種処理を行うという仕組みである。
IBM Bobに自然言語で指示を行い、「仕様書作成」「コード生成」「テストケース生成と実施」の各プロセスを検証した結果について、検証プロジェクトのリーダーを務めた藤沼貴士氏(パートナービジネス事業部 クラウド&AI営業開発部 テクニカルチーム 担当部長)は、次のように語る。
「仕様書の作成や、手戻りのないコードの自動生成、テストケースの生成・実施ともに、短時間に高精度の結果を得ることができました。IBM Bobによって、開発工数全体の約38%が削減できています」
特に仕様書生成の過程では、検討すべきポイントが明確になり、人為的な見落としも解消されたため、「効率化と正確性の向上に対する有効性が確認できた」。またコードの生成を行う前に、IBM Bobは要件や仕様を効率よく的確に整理・確立するため、「要件定義の品質向上につながり、ビジネス・アプリケーションの開発に適していると判断しました」という。
さらに、IBM Bobはイグアス独自の開発ルールを自動で認識・学習し、それに従ったコードの生成を行えたことから、「エンジニアの経験値に依存しない、アプリケーション開発の標準化も可能になります」と、藤沼氏は指摘する。これによりイグアスは、IBM Bobは先進的な開発プロセスの確立に寄与できる開発支援ツールと結論づけたという。
イグアスでは今後、日本IBMおよびビジネスパートナーとの共創を通じて、イグアスグループとして、IBM Bobを活用したアプリケーション開発・保守支援サービスの提供に向けて検討を進める計画。
まずは、IBM Bobを活用したRPGアプリケーション開発の伴走支援や、設計・仕様策定支援、既存アプリケーションの保守・改善支援に取り組む予定で、その後、対象言語を拡げながら、IBM Bobを軸とした新しいアプリケーション開発モデルを確立し、「システム要員の高齢化やエンジニアの不足、AIへの対応、生産性向上などの社会課題の解決へ向けて、お客様の開発環境とプロセスの抜本的な変革をご支援していく計画です」と、伊藤氏は抱負を語る。
IBM Bobは2026年3月までに一般提供される予定で、IBM Bobを活用するイグアスの各種サービスはそのタイミングで発表になるようだ。
[i Magazine・IS magazine]








