MENU

データセンターへの移設を機にテープバックアップからD2Dバックアップへ ~「Hybrid BACKUP」を利用してIBM iのデータをIAサーバーへバックアップ |日東工業株式会社

日東工業株式会社
設立:1948年
本社:愛知県長久手市
資本金:65億7800万円
売上高:1846億円(2025年3月期、連結)
従業員数:連結5338名、単体2216名(2025年3月31日)
概要:高圧受電設備、分電盤、ホーム分電盤、光接続箱、金属製キャビネット、樹脂製ボックス、システムラック、ブレーカ、開閉器、電気自動車(EV・PHEV)用充電器シリーズなどの製造・販売および発電・売電事業
https://www.nito.co.jp/

メインフレームからIBM iへの移行を機に
二重化体制を構築

日東工業は設立以来、高圧受電設備・分電盤などの電路資材、情報通信関連資材など幅広い分野の製品を提供し、電気や情報のインフラをサポートしてきた。電子機器やホーム分電盤、あるいは屋内外で電気・電子機器を収納するキャビネットなど、日常生活で同社製品を目にする機会は多い。

2024年4月には、愛知県瀬戸市に新工場が稼働した。この瀬戸工場は、電気機器収納用キャビネットなどを生産する新工場で、環境配慮型の最先端スマートファクトリーとして完成している。太陽光発電システムの設置やカーボンフリー電力の購入により、100%再生可能エネルギーで電力を賄う。またDXを推進し、同社独自のスマートオーダーキャビネットの生産システムを導入した。これは自動的に、かつ多品種少量生産に対応できる画期的な生産システムである。

この新工場のネットワーク敷設でも活躍したICTインフラ戦略室は、同社のIT部門であるDX統括部に属している。DX統括部は、情報システム部とICTインフラ戦略室で構成される。情報システム部がIBM i上の基幹システムやIAサーバーで稼働する多様なアプリケーションの開発・運用を担う一方、ICTインフラ戦略室ではサーバーやネットワーク、セキュリティなど、いわゆるアプリケーションを利用する環境を整備する役割を担っている。

もともと同社は生産・販売管理システムをメインフレームで、倉庫管理システムをIBM i上で運用していた。しかしメインフレームの将来性を考え、ダウンサイジングに着手すべく、2021年にメインフレーム上の生産・販売システムをIBM iへ移行した。現在は生産・販売管理システムと倉庫管理システムの双方がIBM i上で稼働している。

2021年までメインフレームからIBM iへの移行プロジェクトが進行したが、このときIBM Powerを2台導入し、本番機とバックアック機の二重化体制を実現した。

移行当初は2台とも、愛知県長久手市にある本社内に設置していた。同じ敷地内への設置なので、主に障害対策としての活用が中心であったが、より強固なBCP対策の実現を視野に、本番機とバックアップ機を遠隔地に設置することになった。

まず2021年にバックアップ機を関西にあるデータセンターへ移設。さらに2023年には本番機を関東にあるデータセンターへ移設した。関東と関西にあるそれぞれのデータセンターへ本番機とバックアップ機を設置することで、災害対策を軸にしたBCPを強化したのである。

テープバックアップを
「Hybrid BACKUP」によりD2Dバックアップへ

本番機を関東のデータセンターへ移設する際に検討されたのは、それまで実施していたテープバックアップをどうするかという問題であった。

同社ではそれまで、本番機側で毎日LTOテープにデータをバックアップし、そのテープを外部に保管するサービスを利用していた。しかしデータセンターへの移設以降は、今までのようにテープバックアップ作業に従事する人手を確保できず、付帯サービスでそれを補えば、そのコストも考慮せねばならない。そこでテープバックアップに代わる手段を考えることになった。

同社が選んだのは、「Hybrid BACKUP」(ヴィンクス)を利用したD2Dバックアップである。

新しい環境では、関東のデータセンターに設置されたIBM Power(IBM i)からWindowsを搭載したIAサーバーのディスクへ、Hybrid BACKUPを利用してデータを書き込む。

そのIAサーバーからクラウドサービスへ、バックアップソリューションを利用してデータを書き込む。これが物理IAサーバーの「一次バックアップ」となる。

さらに関東のクラウドサービスにあるIAサーバーから、関西のクラウドサービスにある二次バックアップ用ストレージにデータをバックアップする。これが物理IAサーバーの「二次バックアップ」となる。バックアップデータを保存するIAサーバーを二重化することで、BCP対策をより万全な体制に強化している。

「Hybrid BACKUPの選定に際しては、約半年間にわたるトライアル期間を設け、使い勝手を詳細に検証しました」と語るのは、加藤力也担当課長(ICTインフラ戦略室 ICTインフラ課)である。

加藤 力也氏

それまでは帯域が1GBの回線を利用していたが、その帯域では十分な速度を確保できないことをあらかじめ想定していたので、10GBへ変更することを前提に検討を重ねた。これなら十分な速度を確保できると判断し、2023年1月に正式契約をヴィンクスと交わした。同年3月に本番機を関東のデータセンターへ移設し、新しいD2Dバックアップの体制を整えている。

ちなみにバックアップ機を関西のデータセンターへ移設したのとほぼ同じタイミングで、オンプレミスで運用していたIAサーバー群を同じデータセンターへ移設、もしくはクラウドサービスへ移行するプロジェクトがスタートしている。

「物理IAサーバーの一次バックアップおよび二次バックアップ先として選んだクラウドサービスは、当社が保有するIAサーバー群を移行したのと同じクラウドサービスです」(加藤氏)

データセンターへ移行後も、IAサーバーへバックアップしたデータをIBM iへリストアする作業は日常的に発生している。

「テープバックアップの時代も、各部署から以前のデータを復元してほしいという要望は日常的に寄せられていたので、リストア作業は頻繁に行っていました。D2Dバックアップに移行してからもリストアの要望は変わらずありますが、テープセットする手間なく実現できています」と、今回の移行作業を担当した上田勇輝氏(ICTインフラ戦略室 ICTインフラ課)は言う。

上田勇輝氏

データセンターやクラウドサービスを利用した同社のBCPは、より強固な体制となっている。

[i Magazine 2025 Winter掲載]

新着