IBMは10月7日、IBM i Merlin(Modernization Engine for Lifecycle Integration)の販売およびサービス活動を終了する、と発表した。
IBMではMerlinからの撤退の理由として、「Visual Studio Codeへの投資の集中」を挙げている。
「現在、市場およびIBM iコミュニティでは、アクセス性・統合性・オープンな拡張エコシステムを備えたVisual Studio Codeに焦点が移っています。これにはIBM i向けに特化したツール群も含まれています。
この動きを踏まえ、IBMはIBM i向けエンタープライズ・コードアシスタントおよびその環境とシームレスに統合されるオープンソース製品への投資に注力していきます」
Merlinは2022年5月に発表された。発表時のブログで、IBM iチーフアーキテクトのスティーブ・ウィル(Steve Will)氏は、以下のように説明していた。
「IBM iユーザーの間でアプリケーションのモダナイゼーションが大きな課題になっています。その状況を打開するために、一部のユーザーは最新のツールや手法を用いてDevOpsを試みていますが、従来のプロセスへの適用がかなり複雑になるため、多くの場合、行き詰っています。Merlinはそのようなモダナイゼーションを支援し、次世代のIBM iアプリケーション開発に必要な属性をすべて提供する統合開発環境です」
そしてMerlinの「属性」として、次の4点を挙げていた。
・DevOps、CI/CD、アジャイル開発
・プロセスおよびデータのカプセル化
・さまざまな技術の融合
・新しい技術の容易な取り込み
ただし、MerlinはARCAD Software社のツール類を中軸に据え、オープン系技術・製品とARCAD Software社の固有技術との“ハイブリッド”構成であったため、日本のIBM iパートナーの間から「導入と設定、操作が非常に難解。しかも高額」との指摘があがっていた。i Magazineの昨年暮れのIBM iユーザー動向調査でも、ごく少数の導入に留まっていた。
IBM iは今後、次世代のアプリケーション開発環境として、Visual Studio CodeベースのCode for IBM iに注力していくことなる。

[i Magazine・IS magazine]







