26回目のOSバージョンの更新
IBM i 7.6のフラグシップ機能
IBM iは、AS/400発表時(1988年6月)の「OS/400バージョン1」から継続的に機能拡張がなされてきたオペレーティング・システム(OS)である。今年4月8日発表の「IBM i 7.6」は、OS/400バージョン1から数えて26回目の更新。また2008年1月の「i5/OS 6.1」からは約3年ごとに新しいOSバージョンがリリースされてきたが、IBM i 7.6はi5/OS 6.1から数えて7番目のOSバージョンとなる。
IBMは、新しいOSバージョンを発表すると、その次(IBM i Next)とその次の次(IBM i Next+1)のOSバージョンの計画を公開している。IBM i 7.6のサポートは2035年頃まで、2031年に発表が見込まれるIBM i Next+1は2040年頃までサポート期間が延びている。IBM iは今後も新しい機能を取り込みながら継続されていくOSであることが示されている(図表1)。

一方、IBMは、各OSバージョンで大きく技術的進展があった機能をフラグシップ機能として紹介している(図表2)。

IBM i 7.2は「行列アクセス制御」、7.3は「テンポラルテーブル」、7.4は「Db2ミラー」、7.5は「PBKDF2/HMAC-SHA512暗号化によるセキュリティの強化」で、今回のIBM i 7.6は「統合型多要素認証サポート」であるという。なお、IBM i 7.6をサポートするPowerサーバーはPower10のみである。
統合型多要素認証
多要素認証は、ユーザーIDとパスワードだけでなく、ほかの媒体によるワンタイムパスワードなどを組み合わせてユーザー認証を行う仕組みである。すでに一般向けのサービスにも組み込まれているお馴染みの機能だが、IBM i 7.6ではその機能をOSに内蔵させて、セキュリティのレベルを高めた。
そのため追加のソフトウェアは不要で、ユーザー・プロファイルごとに設定(非設定)可能である。また、Google Authenticatorなどの一般的なクライアント認証システムと互換性がある。
このほか、SST/DSTユーザーへの多要素認証の設定やシステムASPの暗号化対応など、セキュリティ面で多数の機能強化がある。
アプリケーション開発
アプリケーション開発では、Code for IBM iとVisual Studio Code関連の機能強化が大きな目玉である。
Code for IBM iでは、DBCS CCSIDのサポートやローカルのGitリポジトリからのDDSのコンパイルや、バッチ/サービス終了点のデバッグなどがサポートされた。
Visual Studio Code関連では、フリーフォームRPGをすばやくフォーマットする機能や、固定フォーマットのRPGを参照する機能などがサポートされた。
Db2 for i
DB2 for i関連では、構文チェックやクイックリファレンスのためホバー、プロシージャとファンクションの署名などがサポートされ、生成AIプラットフォームとの統合が強化された。
このほかの主な強化点は以下のとおり。
・SQLの強化:UPDATEとDELETEのステートメントがサポートされ、SELECTステートメントの中でUPDATEとDELETEを組み合わせられるようになった。
・SQLSTATE_INFOテーブルで、SQLSTATEとSQLCODEの対応関係の確認が可能になった。
システム管理
Navigator for iでは、多要素認証への対応とライセンス管理の可視化、安全な接続インターフェースの導入などの機能強化が行われている。
主な強化点は以下のとおり。
・ライセンス管理の簡素化
・管理ランタイム・エキスパート(ARE)の強化
・多要素認証(MFA)対応
・TLS設定の簡素化
ACS(IBM i Access Client Solutions)では、システム管理を簡素化しながらセキュリティを強化する機能拡張が行われている。主な強化点は以下のとおり。
・SQLスクリプト実行時の拡張
・SQLパフォーマンス・センターの機能強化
・インデックス詳細情報の提供
・シンタックス・ハイライト機能の提供
このほか、IBM iサービスで多数の機能強化がある。
[i Magazine 2025 Summer号掲載]