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PART 7 Code for IBM i+生成AIの次に来るもの ~IBM iにおけるビルド(コンパイル)環境の改善 |特集 VSCode+生成AIで加速するIBM i開発

2025年は、さまざまな生成AI関連ツールが登場してくるだろう。生成AIとしての大規模化は頭打ちになると言われているが、推論モデルやWeb検索、Deep Research機能などを組み込んだサービスがますます利用されるようになるはずだ。日々の作業を自動化していくAIエージェントも、いろいろな種類の製品やサービスが発表されてくると思われる。 

そして、開発系のツールでも生成AIサービスがどんどん進化してくるはずだ。今回は、VSCodeに追加できる生成AIサービスとして、GitHub CopilotとContinue + ローカルLLMを取り上げた。それぞれのツールで制限はあるが、LLMの種類をいろいろと選択できるので、今後もLLMを使い分けながらVSCodeベースの開発を行っていくことが増えていくと思う。

すでに紹介しているが、今年発表される予定のIBM watsonx Code Assistant for i(旧RPG Code Assistant)をすぐに利用できるように、今からVSCode + Code for IBM i + 生成AIサービスの環境に慣れておく必要がある。

VSCode + Code for IBM i + Git + 生成AIツールという開発環境への移行の先には、IBM iでのビルド(コンパイル)環境の改善が待っている。プログラムやオブジェクト単体のコンパイルではなく、IBM iオブジェクトの依存関係を考慮したうえで業務システム(プロジェクト)を最新状態に保つためのビルドをどうしていくのか。それを実現するための拡張機能IBM i Project ExplorerとBob(オープンソースのビルド・システム)はすでに存在している。

オープン系ツールの機能拡張は早い。今回は図表36のツール(バージョン)を前提に解説したので、今後の機能拡張によっては手順および画面のイメージが変更になる可能性がある点に留意してほしい。

PDM/SEUでは実現できないさまざまな利点が、VSCode + Code for IBM iにはある。今回および過去の拙稿をきっかけに、AIツールへの対応を見据えたVSCode環境への移行が進んでくれれば幸いである。

今回取り上げなかった2つの製品

Cursor

Cursorは、オープンソースのVSCodeのコードに生成AI機能を組み込んた製品である。デフォルトではAnthropicのclude 3.7 sonnetや、Googleのgemini 2.5 proなどのLLMを選択できる。元のコードはVSCodeなので、VSCodeで利用可能な拡張機能のほとんどはCursorでも利用可能。Code for IBM iも利用できる。

Db2 for IBM i拡張機能

Code for IBM iの利用が前提のDb2 for IBM i拡張機能も、ACSで利用可能なスキーマ処理とほぼ同等の機能を提供したり、IBM iサービスにアクセスするためのSQLを簡単に実行可能とする機能などが充実している。以前は単独で提供されていた拡張機能IBM i Notebooksも、現在はDb2 for IBM iに組み込まれて提供されている。

図表36 使用したツール

著者|
小川 誠

ティアンドトラスト株式会社
代表取締役社長 CIO  CTO

1989年、エス・イー・ラボ入社。その後、1993年にティアンドトラストに入社。システム/38 から IBM i まで、さまざまな開発プロジェクトに参加。またAS/400 、IBM i の機能拡張に伴い、他プラットフォームとの連携機能開発も手掛ける。IBM i 関連の多彩な教育コンテンツの作成や研修、セミナーなども担当。2021年6月から現職。

 [i Magazine 2025 Summer号掲載]

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