日本IBMの原寛世氏(理事 テクノロジー事業本部 Power事業部長)は、Power事業の戦略について語った。

まず原氏は、2014年に発売されたPower8がビッグデータ処理、2017年のPower9がOpenShift対応、2021年のPower10がAI推論エンジン搭載を謳ってきたのに対し、Power11は「AI時代における真のエンタープライズサーバー」であると、AI時代に向けて再設計されたプラットフォームであることを強調した。Power11は、生成AIのユースケースに対応する設計となっていることは間違いなさそうだ。
その特徴は、大きく3つある。
1つ目は、エンドツーエンドの自動化による計画的なタウンタイムをゼロにすること。2つ目は、ランサムウェア攻撃を1分以内に検知すること、3つ目は、AIをエンタープライズ・ワークフローに統合し、ビジネスプロセスのスループットを5倍に向上していることである。
原氏は、Power事業部の戦略について、販売戦略、パートナー戦略、人材戦略の観点から次のように語った。
まず販売戦略であるが、COBOL、SAP、OracleユーザーのPowerへの移行を促進し、基幹業務連携でのDX/AIの活用を加速させる。IBM iで見れば、基幹システムにAIを活用する、watsonx Code Assistant for IBM iなどを活用し、RPGのコードを生成AIで生成する、メインフレームのCOBOL資産をIBM iへコンバートし継続稼働させる、Powerの運用に自動化を取り込む、SAP HANAの促進などが挙げられる。
またパートナー戦略としては、ISVソリューションの充実、IBM PowerもしくはPower Virtual Server上でのSaaSの拡充、SAP/Oracleとのアライアンス、システム開発会社との連携などの施策を挙げた。ちなみに現在は約200のDXソリューションを展開しているという。
そして人材戦略としては、IBM i、AIX、Linuxそれぞれの技術者に向けた人材育成を掲げた。とくに次世代の人材育成が遅れ気味であると指摘されるIBM iに関しては、以下の施策を展開するとしている。
① IBM iの技術者をプールし、日本IBM中心にしたIBM i技術者紹介制度を展開
② IBM i若手技術者コミュニティ「IBM i RiSING」を開催
③ 初めてのIBM Power/AIX、IBM iセミナーを開催
④ 各種リスキリングカレッジを開催

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