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IBM、新しいコーディング・アシスタント「Project Bob」を発表 ~IBM watsonx Code Assistant for iを継承。「ソフトウェア開発ライフサイクル全体を自動化」とIBM

IBMは10月7日、開発者の生産性を高めるコーディング・アシスタント製品「Project Bob」(プロジェクト・ボブ)を発表した。

今年10~12月に発表するとしていたIBM watsonx Code Assistant for iに相当する製品だが、現在、非公開のプレビュー版の段階で、機能の詳細やRPG・COBOLへの対応などは明らかにされていない。

ただし、IBM i CTOのスティーブ・ウィル氏は自身のブログ(You and I)で、次のように述べている。

「IBM iコミュニティでは、RPGなどで書かれた膨大かつ重要なソフトウェアを支援する AIコーディング・アシスタントを長らく待ち望んできました。私たちはこのようなアシスタントについて、IBM iのスキル不足への対応やアプリケーション・モダナイゼーションの支援にどのように役立つかを議論してきました。そして本日、そのアシスタントが正式に発表されました。これらの要件の多くに対応するのが「プロジェクト Bob」です。IBM iおよびPower上でクライアントが前進するための基盤的ツールとして、Project Bobを活用できることを非常にうれしく思います」

IBMでは、Project Bobを「単なるコーディング・アシスタントではない」とし、「高度なタスク生成機能を備え、編集・ビルド・リファクタリングからテスト、ドキュメンテーション、スケーリング、セキュリティ、CI/CDパイプラインに至るまで、ソフトウェア開発ライフサイクル全体にわたる作業を自動化するよう設計されている」という。

IBMによると、Project Bobは約4カ月前に非公開のプレビュー版として一部のユーザーに提供されるとともに、IBMの社員約6000人が評価中で、平均45%という高い生産性向上が報告されているとしている。

Project Bobは、Webサイトでは次のように紹介されている。

エディタ内でのチャット
Project BobはIDE内に常駐し、作業フローを中断することなく、質問、設計、デバッグ、リファクタリングを簡単に行える。リポジトリとコンテキストを理解するので、すべての回答がまるでチームメイトからのものであるかのように感じられる。

コードレビューモード
Project Bobのエージェント型レビューモードは、ソースコードを自動的に解析して、潜在的なバグ、エラー、スタイル違反などの問題点を検出するリンティングの域を超えている。開発者の意図を理解し、問題を早期に発見し、その理由を説明する。レビューは、事後対応的なボトルネックから積極的かつ教育的なフィードバックへと変化する。

脆弱性と秘密の検出
AIを活用した検出機能が組み込まれたProject Bobは、コード作成時に脆弱性や認証情報の漏洩を、プルリクエストに届く前に検出する。

また、「Project Bobは難しい問題を容易に解決することに特化している。アプリケーションの変更や新機能の開発など、あらゆる場面で、モダナイゼーションの専門知識を開発者のワークフローに直接組み込むことができる」として、次のような例を挙げている。

Javaアプリケーションの近代化
Java 8からJava17以降への自動アップグレードや、StrutsまたはJSFからReact、Angularなどの最新のフレームワークへの移行が可能。

DevSecOps
AnsibleやTerraformなどのテクノロジーを活用して、アプリケーションを安全に導入し構成するのを支援する。

エンタープライズ対応への備え
組織のコーディング標準やテスト・フレームワーク、FedRAMP、HIPAA、PCIなどのコンプライアンス・ニーズに対応する。

スティーブ・ウィル氏は、「Project Bobの詳細とIBM iにおける有用性についての説明を近々にブログで公開する予定」としている。

なお、先ごろ開催されたIBM TechXchangeにおけるProject Bobの紹介とデモの様子が公開されている(開始から20分後あたり)。
https://mediacenter.ibm.com/media/1_1k5g8j4z

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