
第8回は、東京の企業に勤務する3人のIBM i担当者に集まっていただいた。
1人はベンダー、2人はユーザー企業の所属で、IBM iにはそれぞれの立場で向き合うが、IBM i資産の継承や世代交代、IBM iの仕事をよりよくすることについての思いや考えは非常に近く、傾聴すべき事柄が活発に語られた。
(写真左から)
堀田 咲穂氏
トライビュー・イノベーション株式会社
サービス本部
野内 龍氏
日本サニパック株式会社
SCMグループ
デジタルトランスフォーメーション推進部
情報システム課
濱野 美和氏
SBSリコーロジスティクス株式会社
情報システムセンター
デジタル推進部 ソリューション三課
入社後、初めて触れたIBM iを
どのように学んできたか
i Magazine(以下、i Mag) 初めに皆さんの自己紹介をお願いします。
濱野 SBSリコーロジスティクスの濱野です。2022年に新卒で入社し、今年で4年目になります。弊社は輸配送や保管荷役といった物流サービスを提供しており、私はEC事業における倉庫管理システムの保守開発を担当しています。
野内 日本サニパックの野内です。弊社はポリ袋やゴミ袋のメーカーで、海外に自社工場をもち、製造から販売まで一貫して事業を展開しています。私は昨年4月に中途入社しました。最初は受注課に配属され、お客様からの注文を5250画面で処理する仕事を担当しました。情報システム課へ異動してきたのは今年4月で、システムの経験は半年弱というところです。
堀田 トライビュー・イノベーションの堀田です。弊社はITサービスをトータルにご提供しているITベンダーになります。私は2023年10月の中途入社で、現在はお客様システムの開発・保守を担当しています。前職は接客販売の仕事でしたが、IT業界に強い憧れがあって転職しました。
i Mag 皆さんは入社後に初めてIBM iに触れたと思いますが、どのような教育・研修を受けたのですか。
濱野 私は新入社員研修を経て情報システムセンターに配属され、3カ月間、センター内の研修で先輩からフリーフォームRPGの開発の基礎を学びました。その後は、約1年間、実業務の中で開発に携わり、より実践的なIBM iの開発技術を習得しました。現在は当時の開発経験を活かしながら、上流工程の要件定義やプロジェクト管理に尽力しています。
野内 私の場合は、今まさにRPGやIBM iの基礎を学んでいる最中ですが、4月に異動してきてそのまま開発・保守の現場に入り、先輩社員や上司に教わりつつやってきました。また異動直後に上司の指示で、IBM主催のIBM i RiSINGに参加し活動しています。その中でIBMの方々やチームのメンバーから刺激をもらうことが多く、興味をもったIBM iやRPGの勉強を自発的にやっています。
堀田 私は10月に入社して翌年の4月まで、研修期間としてIBMiの基礎やJava、SQLの研修を受けました。そのときに学習用の教材を渡されましたが、それを使うよりも先輩や上司に教わりながら勉強するほうが多かったように思います。そして4月にIBM iチームに配属され、お客様システムを担当する中で実践的な知識やスキルを学んできました。現在は、お客様システムの開発と改修をメインに担当しています。

IBM iの仕事をよりよくするために
望むこと、あるとよいと思えること
i Mag 初めて5250画面に触れた時の印象はどうでしたか。
堀田 最初はビジュアルなPC画面とかなり違うので、難しそうな印象をもちました。それとマウスを使わないことにも戸惑いを覚えました。しかし毎日キーボードに触れているうちに慣れてきて、3カ月目くらいに違和感はまったくなくなりました。今は5250画面のほうが使いやすいと思うこともあります。
濱野 私も最初は一つひとつの操作に対して怖さがありました。しかし使っていくうちに慣れてきて、できることも増えてきたので、今は使いやすいと思っています。
野内 私は転職してすぐに受注課に配属され、出社初日からユーザーとして5250画面を使うようになったので、それほど抵抗感なく5250画面に入っていけました。受注業務のシステムとはそういうものなのだろうなと思っていましたね。
i Mag IBM i市場ではシステム資産の継承と世代交代が1つのテーマです。長く使われてきたシステムの保守や改修を担当することの多い皆さんは、どのような情報や環境が整っていれば、そうした作業が進めやすいと思いますか。
堀田 私は技術面でわからないことがあると、会社の人に聞くようにしています。IBM iや業務システムに詳しいベテランが多く、質問に対してポイントを突いた説明を返してくれるので、とても助かっています。また、技術情報共有サイトのQiitaなどで技術的なノウハウを公開されている方がいますが、とても参考になっています。IBM iに関する情報がネット上にもっとあるといいですね。
野内 私も先輩や上司に尋ねたりネットで調べたりしますが、ネットに掲載されている情報は意味を掴みにくいものが多く、理解するのに苦労しています。これは改善してもらえるとありがたいです。
またそれとは別に、ネットや先輩・上司から得た情報をすぐに試せる環境が身近にあるといいと思っています。
RiSINGの所属チームで、PUB400という無料のIBM iサーバーを利用しているのですが、疑問に思ったことをすぐに気軽に試せるので、非常に有用です。トライするのも楽しいですし、そこから汲み取るものもたくさんあると感じています。
濱野 基幹システムが載っているIBM iは、なかなか気軽には手が出せないですね。PUB400のような環境が身近にあると、とても便利だと思います。
野内 欲を言えば、PUB400はすべて英語表記なので、日本語表記の環境があるとさらに便利だろうと思います。
濱野 お二人の話を聞いていると、自分のことのように感じます。私もわからないことがあると先にネットで調べるのですが、求めている情報を得られないことが多いので、結局、社内の先輩に相談することになってしまいます。
それと、システムで障害が発生すると、ベテランの方々は即座に要因を推定しています。経験に基づく判断力、勘所のようなものがあると思うので、そうした知見が手軽に確認できるととても助かります。
野内 同感ですね。昔から使われているシステムのファイルやライブラリは膨大ですから、プログラムのこの部分はあのライブラリと紐づいているという情報があると、保守作業は非常にスムーズに運ぶと思えます。

堀田 ベテランの方々の頭の中にある知見が、そのままマニュアルになればいいのになと思うことがありますね。手元のマニュアルには載っていないことがたくさんあるように思います。
学び合い、情報交換できる
IBM i RiSINGへの参加
i Mag 濱野さんは去年、IBM i RiSINGに参加したのですね。
濱野 はい。去年参加し、今年も参加しています。去年は生成AIによるRPG開発プロセスの最適化について調査しました。今年はVisual Studio CodeとGitを利用したRPG開発について、現在チームで取り組んでいます。
i Mag 堀田さんは参加していますか。
堀田 私は今年初めてで、私のチームでは「Navigator for i」について知識を深めることをテーマとしています。
i Mag 野内さんはRiSINGについて、どんな感想ですが。
野内 まず同世代のIBM i担当者と話す機会がほとんどないので、それだけで貴重と感じています。他社のIBM i担当者と気軽に話せるのも楽しいですし、質問したり情報交換できることの意義はとても大きいと思います。IBM iについて人に尋ねるハードルが低くくて済むのもありがたいです。
堀田 私もそれを感じています。チーム内でいろいろなことを情報交換できて学び合えるのは、とても素晴らしい機会だと感じています。和気あいあいとやれているので、最終の結果発表が今から楽しみです。
i Mag 濱野さんは去年のRiSINGに参加した報告を、社内の人たちに行ったそうですね。
濱野 はい、RiSINGへの参加にあたって、上司からIBM iの最新技術の習得と他社の人たちとのコミュニティ作りをテーマとして与えられていたので、その成果を報告しました。RiSINGのよさや意義を伝えられたのもよかったと思っています。それを上司も高く評価してくださり、今年は弊社から、昨年よりも1名多い、3名が参加しています。

キャリアプランと
そのために取り組むべきこと
i Mag ご自身のキャリアプランについてはどのように考えていますか。
濱野 ITの仕事は今後も続けていきたいと思っています。その中で、今は小規模のプロジェクトを担当していますが、将来的には大きなプロジェクトを任せてもらえるような人材になりたいです。そのためには、物流の視点とITの視点の両方から、全体を俯瞰できる幅広い知識が必要だと感じています。さまざまな物流現場を知り、現場の声に耳を傾けることで、全体像を把握して柔軟に対応できる力を身につけていきたいです。
野内 私はシステムの担当になってまだ数カ月ですが、自分の性格に合っているというか、居心地のいい仕事と感じています。入社して、業務部門を経験してからシステム部門の配属となりましたが、ユーザーとしての経験がシステムの仕事にとても役立っているので、この先もユーザー視点を忘れないようにしていきたいと考えています。その視点を持ちつつスキルを蓄えていけば、ユーザー部門へいろいろな提案ができるエンジニアになれると思っています。
堀田 私もITの仕事を続けていくつもりですが、プログラマーよりもお客様に寄り添って一緒に課題を解決していくSEを目指したいと思っています。
しかし今はまだ、お客様のシステムに対する思いや悩み、課題を十分に理解できるところまでは来ていません。お客様と同じ目線で会話できるように早くなりたいと、とても強く思っています。そのためには、スキルや技術に関する知見だけでなく、お客様のビジネスや業務に関する十分な理解が必要だろうと感じています。その実現には日々の地道な努力を積み重ねるしかないと考えています。
撮影:竹迫 嘉文
[i Magazine 2025 Autumn号掲載]







