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事例|オリオシステム株式会社 ~RPGとオープン系の組み合わせによる開発で実績、Webサイト改ざん検知などインターネット事業も幅広く展開

 

オリオシステムは、30年にわたりIBM i/RPGを軸にさまざまな企業システムを開発してきた。最近は、IBM i/RPGとオープンソース系・Windows系技術との組み合わせによるソリューションも積極的に手がけている。また、レンタルサーバーやWebサイト改ざん検知、カートシステムなど、インターネット事業にも取り組む。

 

対応の速さ
サポートのきめ細かさが特色

 1987年に創業者2人で立ち上げたオリオシステムは、来年、設立30周年を迎える。代表取締役を務める志賀勝雄氏は、システム/34時代からRPGによるシステム開発を手がけてきたエンジニアで、現在に至るまで一貫してRPGとIBM iにこだわってきた。

「この30年間、Linux、WindowsをはじめとしてVB、Java、Perlなどさまざまな技術を利用してきましたが、IBM iとRPGほど業務システムに向くプラットフォームはないと確信しています。IBM iを幅広く活用するために今後もオープン系技術を積極的に取り入れていきますが、IBM i/RPGをシステム開発の中心に置く考え方は変わらないだろうと思います」

 

志賀 勝雄氏 代表取締役

 

 IBM i/RPGではこれまでに、原価管理システムや販売管理システム、会計システム固定資産管理・連結決算システムなど多岐にわたる基幹システムを開発してきた。p60でレポートした宮城県対がん協会のがん検診システムも、IBM i/RPGを使った最近の実績の1つである。

 かつては日本IBMや複数の特約店のプロジェクトに参画し、その2次請けとしてソフトウェアを開発することが多かったが、ここ10年は直接ユーザーに提案し開発を行うことが増えてきた。

「新規のお客様は、開発や運用でご支援している既存のお客様からの紹介や推薦が大半で、システム構築を一度お手伝いすると、10年、20年の息の長いお付き合いになることが多くあります」と志賀氏。宮城県対がん協会も30年来の関係という。

「システム開発を求められるお客様は、困りごとがあってのことなので、まずじっくりとお客様の話に耳を澄ますことと、問い合わせや依頼にすぐに対応することが、よりよい問題解決の近道と考えています。対応の速さが当社の身上で、大手ベンダーに負けない特色です」と志賀氏は言う。

 事業面では、PCが一般に普及して社会に変化が起き始め、企業においてもWebを活用したシステムが急速に増え始めた2000年頃から、インターネット事業を拡大させてきた。

 その1つは、レンタルサーバー事業である。「olinet(オリネット)」と呼ぶサービスを2000年にスタートさせ、宮城県のユーザーを中心に提供してきた。

「olinetは現在3代目で、サービスを絶対に止めないことを目的に、最近、サーバーをデータセンターへ移設しました。olinetのつながりでWebサイト開発の依頼を受けることも多く、当社にとってドアノック・ツールの1つになっています」

 そしてもう1つは、Webページ改ざん検知システム「callpe(コルペ)」である。対象となるWebドメインの全ページをハッシュ値に変換してチェックし、改ざんを検知したらアラートメールで通知するというサービスである。大量のぺージを有するWebサイトでの利用が多く、その中には著名な企業もある。「半年かけて開発したオリジナルなサービスで、Webページの改ざんを検知するASPサービスとして、一定の知名度を得ているのではないかと感じています」と志賀氏は話す。

 このほか、カートシステムのASPサービス「olicart(オリカート)」もある。

 

IBM iの可能性を広げる取り組み

 一方、IBM iの可能性を広げる取り組みも積極的に進めている。

 その1つが、「オープンソース協議会 -IBM i」への参加である。オープンソース協議会とは、IBM i環境におけるオープンソースの可能性を、ベンダーのエンジニアが純粋に技術的な観点で検証し、ビジネスの創出につなげようという取り組みである。これまでにPHPやPowerRuby、PostgreSQLなどの技術検証を行い、IBM i環境におけるオープンソースの普及に大きく貢献してきた。

 志賀氏はマーケティング委員として実装検証に協力するとともに、「IBM i+オープンソース」の啓蒙・普及活動に積極的に関わってきた。

「IBM iはビジネスサーバーとして揺るぎない信頼性と安定性をもっています。当社では、その信頼性ゆえに、データベースや各種コンテンツのバックアップ用サーバーとしても使っているほどですが、そうしたこととは別に、世の中で広く普及しているオープンな世界でIBM iを活用していくには、IBM iとオープンソースとの連携が不可欠であると考えています。オープンソース協議会は、その連携の可能性を技術的に明らかにする取り組みとして、IBM iにこだわってきた当社にとって見逃すことのできない活動です」

 オープンソース協議会に関わってきた成果は、ビジネスの中に表れてきた。基幹システムのロジックはRPGで開発し、フロントエンドのWeb照会をPHPで構成するシステムを、最近、構築した。「IBM iの世界を広げる組み合わせとして、手応えを感じています」と志賀氏は述べる。

「システム構築は、お客様の考えがあってのもので技術だけの先行は許されませんが、基幹システムをRPGで開発し、フロントや入力系、帳票印刷にPHP、Excel、Accessを適用していくことには、大きなメリットがあると感じています。最近はフリーフォムRPGとNode.jsに注目し、研究を進めています」

 同社がシステム構築や運用で支援する企業は、中・小規模が多い。それらの企業では専任のシステム担当者が少数か、不在のところも少なくない。そうした中で、同社が果たす役割は決して小さくない。企業の成長にITや情報システムが大きく関わるからである。

 オリオシステムの「オリオ」とは、「オリーブ油」を意味するイタリア語という。

「コンピュータと人との間の潤滑油の役割を果たす、という思いを込めた社名ですが、設立30年の先もずっと潤滑油の働きをしていきたいと考えています」と、志賀氏は語る。

 

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Company Profile

オリオシステム株式会社

本社:宮城県仙台市
設立:1987年
資本金:1000万円
従業員数:20名
事業内容:RPG技術とオープン系を活用した各種システム開発、レンタルサーバー「オリネット」の提供、各種Web開発、カートシステム「オリカート」およびWebページ改ざん検知システム「コルペ」の開発・ASP提供など
http://www.oliosystem.co.jp/

 

[i Magazine 2016 Summer(2016年5月)掲載]