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ジービーエス|サービス員が外出先で利用するシステムをAndroidタブレットで全面再構築、顧客訪問社数が10~15%増加

by kusui

 

強みは自社で提供する
保守・点検・修理サービス

 ジービーエスは、東京・神奈川と大阪・京都・兵庫でシャープ製複合機・OA機器の販売・レンタルとフィールドサービスを展開する企業である。1980年代に爆発的にヒットした「10円コピーサービス」のパイオニアとして有名で、最近は大手コンビニチェーンに設置されている複合機の保守サポートで知られる。

 複合機・OA機器という成熟した市場での商戦で同社が最大の強みとするのは、機器の保守・点検・修理を顧客先で行うフィールドサービスを自社で提供していることである。「同業他社は販売だけの企業が多く、自前でサービスを行っているのはごく少数です。当社は、機器のトラブルや質問に対するお客様のサポート要請にスピーディにきめ細かくお応えできるのが強みです」と、ジービーエスシステムズの八木裕之氏(システム部)は話す。

 

八木 裕之氏 株式会社ジービーエスシステムズ システム部(職位は取材当時)

 

 フィールドサービスを行うサービス員には、「サービス作業日報システム」を搭載したZAURUSを1997年から、2007年からは Pocket PC(Windows CE)を携行させていた。ネットワーク機能はなく、外出先で入力した作業報告などを事務所へ戻ってからCFカードリーダーで読み取り、基幹システム(IBM i)に反映させる方式を取っていた。

 さらに、営業員用に2010年からネットブック(ノートPC)を導入したが、ネットブックは小型ながら重量があり営業員に不評であったため、2年ほどでネットブックの利用を終了するという経緯があった。

 そして2013年になると今度はPocket PCが生産中止になり、次のデバイス探しが始まった。

 しかし「機種はすぐには決まりませんでした」と、ジービーエスシステムズの枝本雅美氏(システム部部長)は振り返る。

「当時からスマートフォン、タブレット、ノートPCの新機種が次から次に登場し、どのデバイスを選択すべきか決められずにいました。最終的に決断したのは2015年後半になってからです」(枝本氏)

 

枝本 雅美氏 株式会社ジービーエスシステムズ システム部 部長(職位は取材当時)

 

 

モバイルデバイス6機種を比較し
Androidタブレットを選択

 同社が検討したのは、WindowsノートPC、Windowsタブレット、Androidタブレット、Androidスマートフォン、iPhone、iPadの6機種である。比較項目は、コスト、重量、操作性、起動時間、セキュリティなどで、最終的にネットワーク/高速通信機能をもつASUSの7インチAndroidタブレットを選択した。

「タブレットをiPadにしなかったのは、Androidは多くのメーカーから提供があるうえ、iPadよりも安価なのでコストを節減できる点を高く評価しました。1台当たり3万円違っても、導入予定の60台では全体で大きなコスト節減になります」と、枝本氏は説明する。

 また、ネットワーク/高速通信機能付きとしたのは、サービス員の間でGPS連動の地図機能に対するニーズが高かったのと、取り扱い商品メーカーが製品のサービスマニュアルやメンテナンス情報などを集約した代理店向け情報提供サイトをスタートさせており、それにアクセスする必要があったからである。

 システムは、従来の仕組みを参考に全面的に再構築することとした。そして、モバイルアプリケーション用の開発ツールとして、ランサ・ジャパンのLongRangeの採用を決めた。提案したソリューション・ラボ・横浜のコンサルタントの飯島龍介氏は、LongRangeのメリットを次のように説明する(ソリューション・ラボ・横浜は、ジービーエスが2007年にIBM iによる基幹再構築を行った際の開発担当で、それ以降の開発・保守案件も継続的に担ってきた)。

「LongRangeは、モバイルアプリケーションの業務ロジックに基幹システムのRPGプログラムを利用できるのと、マルチブラウザ/マルチデバイス対応でモバイルアプリケーションの開発が容易なのが大きなメリットです。既存RPGプログラムの活用によって開発投資を大幅に抑えられ、その分、開発期間を短縮できます。またRPGで構築済みの多機能なシステムをほぼそのままモバイルデバイス上で利用できるので、高度なモバイルシステムの構築が容易です」

 

飯島 龍介氏 ソリューション・ラボ・横浜株式会社 ソリューション事業部 ソリューション営業部 アプリケーションサービス営業グループ コンサルティング・セールス(職位は取材当時)

 

 2015年12月から始まった新しい「サービス作業日報システム」の開発では、最初に八木氏がタブレット向けのプロトタイプ(画面イメージ)を作成した。「利用中のPocket PCやPCの画面などを参考に作成しました」(八木氏)という。そのプロトタイプをもとに設計を行い、LongRangeを使って約2カ月で実装を終え、テスト・試験運用を経て2016年4月にサービスインした(図表1)

 

 

 そして続けて、営業員用に新しい「サービス作業日報システム」から顧客検索機能のみを取り出してAndroidスマートフォンへ移植する作業に移った。この開発にもLongRangeを使用し、同年7月に本稼働に入った。

 LongRangeで開発したプログラム数は34本、機能数は13。500ステップ以下のプログラムが約7割を占める。

「LongRangeによる画面定義は、RPGの行桁指定による絶対配置と違って画面を縦・横に分割して行う相対配置なので、慣れるまでに多少時間を要しました。また、提供されているサンプルソースがフリーフォーム形式でジービーエス様で使用しているRPGⅢの形式とは違っていたため、その変換に時間がかかりました。しかし、LongRangeで実現可能な機能のほとんどはサンプルとして提供されているので一から作成する必要がなく、スピーディに開発できます。RPGやDSPFの経験さえあれば、かなりの程度まで短時間で開発可能です」(飯島氏)

 また八木氏は、「従来のPocket PCの機能イメージを基本的に踏襲しましたが、随所で洗練されたユーザビリティを実現できました」と話す(図表2)

 

 

 たとえば、サービス依頼の電話が顧客から入り、コールセンターのオペレーターがその内容を基幹システムに登録すると、自動で顧客担当のサービス員の携帯電話へメールが飛び、さらにタブレットの「コール受付一覧」画面で依頼内容を確認できる。そして、サービス員は顧客先で作業に入る際、コール受付一覧から顧客名を選択してボタンを押すと作業開始時間を登録でき、終了後は「作業報告未入力」画面で顧客名を選択すると「作業報告」画面へ切り替わり、入力が行える(図表3~図表7)

「コール受付一覧はPocket PC時代にはなく、ネットワーク対応のタブレットになって初めて開発できた機能ですが、業務をスムーズに進められるとサービス員に好評です」(八木氏)

 

 

 

 

 

定期点検の訪問社数が
10~15%増加

 サービス員が1日に訪問する顧客数は、定期点検を含めて10数社。同社では「サービス依頼のコールがあった場合、30分以内の顧客訪問」を方針としている。急な依頼に、予定していた訪問ルートの変更も少なくない。

「そうした際、地図機能やコール受付一覧機能が非常に便利で、役に立っているようです。今回の導入によってサービス業務全体の効率が上がり、その効果の1つとして定期点検の訪問社数が10~15%増加しています。今後さらに現場のニーズをくみ取り、サービスレベルを向上させていくつもりです。その際も、今回のLongRangeの経験が活かせるだろうと考えています」と、枝本氏はシステム導入の効果と今後の抱負を語る。

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COMPANY PROFILE

株式会社ジービーエス

本  社:東京都千代田区
設  立:1975年
資本金:1000万円
従業員数:150名(グループ全体)
事業内容:複合機・OA機器および関連消耗品の販売・レンタル・保守管理
http://www.gbs-net.jp/

 

[i Magazine 2017 Spring(2017年2月)掲載]

 

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