Home RPA-チャットボット チャットボットの動向・仕組み ~ビジネス利用が本格化、将来はWeb UIに代わるとの見方も

チャットボットの動向・仕組み ~ビジネス利用が本格化、将来はWeb UIに代わるとの見方も

by kusui

 

自然言語処理技術の
進化を背景に、ブームが到来

 人とコンピュータが対話するシステムの源流は、1960年代の「ELIZA」にさかのぼる。その後、1990年、2000年、2010年の各年の前後にそれぞれ画期的なシステムの登場があり(たとえば、iPhone「Siri」は2011年)、そして今、「チャットボット」が大きな注目を集めている。このおよそ10年おきのブームの背景には、自然言語処理と音声認識技術の、その時どきの飛躍的な進化がある。

 現在のチャットボット・ブームの背景は言うまでもなく、「第3次AIブーム」を支える自然言語処理技術のブレークスルーである。そしてこれに加えて、「チャット」というコミュニケーション手段の幅広い普及や、「第4次産業革命」という言葉に象徴される就業構造の変革への対応が背景として挙げられる。LINEの月間アクティブユーザー数は日本国民の1/2以上に相当する7000万人を超え、就業構造の変革への対応に関しては「単純作業はAI・ロボットに代替させるべき」との声が上がっている。

 現在のチャットボット・ブームは2016年から始まる。この年にIT市場の主要プレイヤーはこぞってチャットボット用のフレームワークやAPIを発表し、これと自然言語処理の新しいサービスを利用して、ISV・ベンダーがチャットボット製品の開発・販売をスタートさせている(図表1)

 

学習・再学習のための
工夫を凝らした機能・仕組み

 チャットボットは、テキストまたは音声を入力すると、システム側で入力内容を理解して応答メッセージを返す仕組みである。そして、システム側でテキストの内容を解釈するのがAIエンジンで、WatsonではNLC(Natural Language Classifier)やR&R(Retrieve&Rank)、Conversation(IBM Watson Assistantに改称)が使われる。Part 2で紹介するWatson対応のチャットボット製品では、このうちの1つ、または複数を採用している。

 Watson対応のチャットボットで最も利用されているNLCは、テキストが入力されると(音声もテキストに変換される)、テキスト中の言葉を抽出して構造化し、あらかじめ定義済みのカテゴリのどれに適合するかを確信度に基づいて分類する。チャットボット・ツールは、この分類をもとに、テキストが何に対する質問なのかを判別して、事前に用意している応答例にひもづけてユーザーへ返す。この繰り返しでチャットという会話が成り立つ。

 NLCでこの分類の精度を高めるには学習が必要である。学習は、質問と回答をセットにしたExcelまたはCSVファイルをアップロードしAIエンジンに取り込んで行うが、取り込んだだけでは実用レベルに達しない。そこで、正解率の低いQAを丹念に修正する再学習が必須になる。

 再学習は、チャットボット・ツールの肝とも言えるフェーズだ。学習・再学習は、導入企業自らが行うの通例なので、各ベンダーはそれを行いやすくするための、工夫を凝らした機能・仕組みを提供している。チャットボット・ツールを選定する際のポイントの1つである(図表2)

 

 

社内利用のための
導入が本格化しつつある

 Watson対応のチャットボット・ツールは、PC、スマートフォン、タブレットをデバイスとして利用でき、入力インターフェースとしてはWebのほか、LINEやSkypeなど一般に普及しているチャットツールを選択できる。

 さらに、外部APIやシステム連携ツールに対応し、基幹システムや分散システム、外部サービスと接続可能なツールも多い。接続先としては、boxやクラウド上のストレージサービス、SalesforceなどのCRMサービス、G SuiteやOffice 365などのオフィスコミュニケーションサービスなどがある。

 この外部接続によって、「x月x日のA社からの注文数を確認して?」というような、質問によって回答内容が変わるため応答例を用意できないタイプの質問にも、適切な回答が可能になる。外部のデータベースで注文数を確認し、それを返すことができるからだ。

 Watson対応のチャットボットツールは、現段階では社内ユースを想定しているものが大半である。人事・総務・経理への社内問い合わせや、営業やコールセンター業務に対する支援などである。

 これは、自然言語処理技術が発展途上にあり、不特定のユーザーからの想定外の質問には、まだ柔軟に応答できないからだ。とは言え、QAを想定可能な社内ユースには十分なレベルで、導入が本格化しつつある。

 調査会社ガートナーは、ボットとチャットボットの開発にかける年間支出額は、2021年までに50%超の企業でモバイルアプリのそれを上回ると予測している。将来はチャットボットがWeb UIに取って代わるとの見方もある。チャットボットを検討してよい時期にきていると言えるだろう。

[IS magazine No.19(2018年4月)掲載]

related posts