事例|コゲツ産業株式会社/株式会社ニシショウ産業 ~国産オフコンからIBM iへ 債権債務管理システムを移行

コゲツ産業株式会社
本 社:福岡県北九州市
創業:1895年
設立:1973年
資本金: 9500万円
従業員数: 490名
事業内容:総合食品および酒類の卸し商社
https://www.kogetsu-g.co.jp/

株式会社ニシショウ産業
本 社:福岡県福岡市
創業:1960年
設立:2009年
資本金: 3000万円
従業員数: 68名
事業内容:冷凍魚介類、鮮魚、養殖魚類、塩干類、冷凍食品、加工食品を中心とした食品卸し売り業
http://www.nisisyo.co.jp/

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国産オフコンからIBM iへ
債権債務システムを移行


 コゲツ産業の母体である湖月堂の創業は1895(明治28)年。九州銘菓「栗まんじゅう」をはじめ、 さまざまな高級和菓子を地域に広く届ける一方、当時としては数少ない食品専門流通会社として重要な役割を果たしてきた。この食品取り扱い部門が分離独立する形で誕生したのが、コゲツ産業である。

 本拠地である北九州と福岡の両市を中心に、九州各県はもちろん全国各地に物流拠点を配置し、広範囲に販売網を展開。西日本でも屈指の総合食品卸し商社として、約2万5000種類の食品・酒類を販売している。

 一方、ニシショウ産業が扱うのは冷凍魚介類、塩干類、冷凍食品、加工食品など。世界中の調達拠点と調達機能のネットワークを基盤に、海産加工品の専門卸し会社として、九州全域のスーパーマーケットや鮮魚小売店、外食産業、惣菜業、卸売市場、水産加工メーカーなどに商品を提供している。

 同社はもともと日本水産(株)などの出資により、西産商事(株)として設立された。その後、2009年に営業権の譲渡を受け、ニシショウ産業として新たなスタートを切り、同時にコゲツグループの一員となった。現在は湖月堂、コゲツ産業、ユタカ物流とともに、コゲツグループを形成している。

 コゲツ産業とニシショウ産業は、同じ食品卸しを主要業務にしているが、扱い商品や業態、創業の経緯も異なるため、同じグループに属するものの、これまで別々のシステムを運用してきた。

 コゲツ産業は受発注、仕入れ、在庫などの販売管理および債権債務管理を核とする基幹システムを国産オフコン上で30年以上にわたり運用している。管理本部 情報システム部には樋田昌紀部長のもとで5名のスタッフが、アプリケーションの保守・運用をはじめ、ネットワークを含めたインフラやPC管理を担っている。

 一方のニシショウ産業は、約30年にわたるIBM iのユーザーである。ある業務パッケージをRPGで大幅にカスタマイズした販売管理と債権債務管理システムを運用し、総務部の田中英光次長がアプリケーション保守を担当している。新規開発や改修の規模などに応じて都度、外部ベンダーの手を借りるが、日常的なアプリケーション保守や運用は、田中氏が1人で担っている。

 4年前に遡る2015年、コゲツ産業は国産オフコンからの移行を検討した。長年にわたる運用で、システムが現在の業務要件に合致しない点が増えていたのに加え、ハードウェアのランニングコスト削減や外部ベンダーの強化など、さまざまな課題への解決策が求められていたからである。

 そこで同社が選んだ新しいサーバーが、IBM iであった。いろいろな選択肢を探ったというが、長年にわたるニシショウ産業での運用実績から、その信頼性や資産継承性、運用の効率性を評価したうえでの結論であったという。

 

両社でIBM iに関する
ノウハウやスキルを共有

 2015年にPower Systemsを導入し、外部ベンダーの支援を得て、新たな販売管理システムの新規開発がスタートした。しかし開発は予想以上に難航し、「このままでは自社の要件に最適化したシステムの実現は難しい」と判断した樋田氏は、2017年11月にいったんプロジェクトの休止を決定した。

樋田 昌紀氏
コゲツ産業株式会社
管理本部 情報システム部
部長

 

 それから約4カ月間、プロジェクトの問題点をさまざまな角度から洗い出し、仕切り直すための分析と調整を進めた。そして開発を委託するベンダーとして、新たに福岡情報ビジネスセンターを迎え入れ、プロジェクトを再始動させたのが2018年3月である。

 予定していたシステム開発計画を全面的に見直し、業務要件からすべてやり直した。そしてまずは債権債務管理システムを先行させ、COBOLで開発していたビジネスロジックをほぼそのまま、IBM iのRPGへコンバージョンする手法を採用した。

 現場系システムや電子帳票システムとIBM iを連携するツールや新しいデータ加工ツールなども導入し、債券債務管理システムがIBM i上で本稼働したのは、2019年8月のことである。

 コゲツ産業では現在、販売管理システムを運用する国産オフコンと、債権債務管理システムが稼働するIBM iの双方を利用している。Power Systemsはコゲツ産業の本社に導入されており、IBM iユーザーであるニシショウ産業はハードウェアの更新時期を迎えていた2018年3月から、同じPower Systemsの利用を開始した。

 現在はコゲツ産業とニシショウ産業がPower Systemsを共有し、それぞれのシステムを運用している。

「それぞれに別会社として別システムを運用しているわけですが、IBM iに関しては、できるだけ両社でノウハウやスキルを共有していきたいと考えています」と田中氏は語る。

田中 英光氏
株式会社ニシショウ産業
総務部
次長

 

  コゲツ産業の管理本部 情報システム部の古賀敏章課長は昨年入社し、同部に着任した。これまでIT開発の経験はなく、ノウハウやスキルの獲得を目的に、ニシショウ産業の本社に日々出向き、田中氏のもとで、IBM iをはじめ、今後のデジタルトランスフォーメーション(DX)の実現に必要となるさまざまな知識を吸収している最中である。

「九州IBMユーザー研究会が開催するU研AS/400倶楽部にも、田中と一緒に参加しています。参加メンバーの方々から、IBM iの事例、具体的な活用方法、今後のIT利用に向けたコンセプトや考え方などを聞き、ディスカッションすることは、これまでIT経験のなかった私にとって非常に貴重な情報収集の場になっています」と、古賀氏は語る。

古賀 敏章氏
コゲツ産業株式会社
管理本部 情報システム部
課長

 

 現在、コゲツ産業では次の重要なテーマである販売管理システムの実現について検討を重ねている。ニシショウ産業では、これまで田中氏が内製主義によるシステムづくりを1人で背負ってきた。しかしスキルを蓄えてきた田中氏が定年退職などで会社を去れば、これまでの内製レベルを維持するのは難しいだろうと、樋田氏は考えている。

「今後、できるだけ属人化せずにサーバーやシステムを運用するのに最適な環境は何か。当社の目指すDXを実現するのに、どのようなテクノロジーが必要か。外部ベンダーと、これまで以上に信頼感のあるパートナーシップを築いていくにはどうすればよいか。こうした観点で、IBM iだけでなく幅広い選択肢のなかから、新しい販売管理システムの基盤と構築手法を決定していくつもりです」(樋田氏)

 稼働目標を2021年に据え、同社の挑戦は続いていく。

 

[i Magazine 2019 Winter掲載]