事例|大分バス株式会社 ~アプリケーション保守を継続し 今後もIBM iを使い続ける道を模索

本 社:大分県大分市
設立:1937年
資本金: 1億2500万円
売上高: 44億6500万円(2019年3月期)
従業員数: 604名(2019年3月末)
事業内容:一般乗合旅客および一般貸切旅客自動車運送業、広告代理、保険代理、旅行代理、不動産管理、物品販売、フードサービス、レンタカーの各事業
https://www.oitabus.co.jp/

・・・・・・・・

IBM iのアプリケーション保守を
将来も担っていけるのか


 大分バスは現在、多角的な事業を展開している。 

 乗合バス事業、いわゆる路線バスは創業以来の中核事業で、約290台のバス保有数は県内最大規模である。路線網は大分市内を中心に、佐伯市・臼杵市・豊後大野市・竹田市など県中南部を運行エリアとしている。

 また貸切バス事業も、戦後まもなくスタートした。大型・中型・小型と、車種を豊富に取り揃え、顧客の要望や規模に応じて最適なバスを用意する。

 日本バス協会が運営する「貸切バス事業者安全性評価認定制度」で、同社は2011年に初めて認定された。その後、自動ブレーキやAEDの設置、車椅子用リフトの装備など、さらなる安全性への取り組みが評価され、2015年には県内初の三ツ星を獲得している。

 さらに広告代理事業では、バスの車体を彩るラッピング広告といった交通広告をはじめ、テレビ・新聞・ラジオなどのあらゆるメディアを取り扱う総合広告代理店機能を提供する。このほか保険代理事業、旅行代理事業、不動産管理や物品販売、フードサービス、レンタカーなどの各事業を幅広く展開している。

 業態が大きく異なる各種事業を支えるため、多彩なシステムを導入している。このなかで、最も長く運用されているのがIBM iである。

 同社は30年以上前からのユーザーで、現在はRPGで開発された「貸切バスや旅行代理店事業の予約・入金・精算管理システム」と「広告代理店事業の申し込み・入金・精算管理システム」、それに「乗合バスの乗務記録管理システム」が稼働中である。

 

 社内のIT運用を支援するのは、総務部 電算課。川崎彰課長、中家恭平氏、それに3名の課員を含めた合計5名である。1名は数カ月前に異動したばかりで、以前にITの開発・運用経験がなく、現在はExcelやAccessなどを中心にスキルを学習中だ。

 中家氏は7年前に入社して以来、ほぼ電算課で勤務してきた。入社前はITの開発とは無縁であったが、配属後に猛勉強し、今ではRPG Ⅲを使ったアプリケーション保守のほとんどを担当する。

 必要に応じて外部ベンダーに委託するが、日常的なアプリケーション保守は外の手を借りず、課長と中家氏の2人が手掛けてきた。なかにはRPG ⅡやCOBOLで書かれたプログラムもまだ残っており、それらの保守は以前に開発を手掛けた川崎氏の担当となる。

 電算課の柱である2人にとって、この先いつまで社内でのアプリケーション保守を継続できるかが、目下のところの重要なテーマになっている。

「長くIBM iを利用してきましたが、今まで一度も障害で停止したことがなく、きわめて信頼性の高いサーバーであると認識しています。業務システムとしても問題は一切なく、ユーザーはシステムに関しては何も困っていません。可能であれば、このまま社内で保守しながら、IBM i上のアプリケーションをずっと使い続けたいと考えています。しかし将来的に、アプリケーション保守を担う人材が確保できるのかと考えると、簡単には答えを出せません」(中家氏)

中家恭平氏
総務部 電算課

 

「U研AS/400倶楽部」で
IBM iの活用情報を収集する

 同課では、今後のシステム基盤の青写真を描くための情報収集を続ける一方、アプリケーション保守の負荷を減らすさまざまな取り組みを続けてきた。

 たとえば、IBM i上で運用していた給与システムは、パッケージ製品を利用してオープン系サーバーに移行させた。同様に勤怠管理システムも、オープン系への移行を検討中である。自社要件をきめ細かく反映しているがゆえに、パッケージ製品への移行が難しいシステムだけをIBM i上に残し、限りなくDBサーバーに近い運用を行うことで、アプリケーション保守の負担を軽減させようとしている。

 またGUI化ツールやPerlなどの言語を使って、一部の5250画面をWeb化している。オープン系サーバーと似た操作感で統一することは、今後も使い続けるうえで重要なポイントであると考えているからだ。

 さらに中家氏はIBM iの活用方法や人材育成に関する情報を得ようと、九州IBMユーザー研究会が開催する「U研AS/400倶楽部」に、3年ほど前から熱心に足を運んでいる。同倶楽部にはシステム管理者やミドルマネジメント層の参加者が多く、中家氏のような若手は少ないが、次代のシステムを担う未来の責任者として学ぶことが多いだろうと、会社側が中家氏を送り出したようだ。

「大分などの地方都市では、ほかのIBM iユーザーに会う機会がないので、U研AS/400倶楽部は貴重な情報収集の場になっています。IBM iの開発者を社内で育成する方法、あるいはRPG以外の第2のツールや言語を使って、Webアプリケーションや新しいシステムを開発する事例などに加え、RPGでQueryを使う場合の小ネタなど、本当に話題が多彩です。いろいろと学ぶことが多く、当社の今後のシステム基盤を考えるうえで、大いに参考になります」(中家氏)

 地場のITベンダーにアプリケーション保守を委託する、社内でRPGを使える開発者を育成する、あるいはRPGの開発経験のある技術者を採用するなど、U研AS/400倶楽部の参加者がIBM iを使い続けるために実践している事例を参考にしながら、今後のシステム基盤構想に役立てている。

 電算課が担う業務範囲は広い。路線バスも貸切バスも、あるいはそのほかの事業でも、最近ではITを活用したサービスの高度化が不可欠である。たとえば同社のサイトでも、スマートフォンから時刻表やバス接近情報、経路などをわかりやすく検索できるサービスの提供を開始した。

 こうしたサービス向上は今後、利用者の拡大や競争力の強化に欠かせない切り札となる。

 同社では現場部門がそれぞれの業務に適したサービスを企画・立案するが、どのようなテクノロジーで実現するかといったフェーズに入ると、電算課の支援が求められる。

 適切に人材を育成し、アプリケーション保守を軽減させつつ、こうした幅広いニーズに応えていくために、同課は当面の間、よりよいシステム基盤の構築に向けた模索を続けていく。

 

[i Magazine 2019 Winter掲載]