事例|株式会社 琉薬 ~地域包括ケアのコーディネータ役を目指し 新たな営業支援を展開へ

本社:沖縄県浦添市
設立:1951年
資本金:4422万5000円
売上高:254億円(2018年3月)
従業員数:197名(2018年3月)
事業内容:医療用医薬品、医療機器、
医療用検査試薬、一般用医薬品、健康食品
などの卸売販売
http://www.ryuyaku.co.jp/
 
1951年に、沖縄にある12社の薬品共同購入会社として設立されたのが発端。当時は、「琉球薬品」という社名だった。会社設立以降、順調に業績を伸ばし、沖縄県最大の薬品卸として、同県の医療を支えてきた。1998年にIBM iを導入して基幹システムを一新、2002年に得意先からインターネットを通じた注文を受ける「まちやネット」を稼働させるなど、システム化にも積極的に取り組む企業として知られる。
 
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システム部門を
営業本部へ移管

 
 沖縄県の医薬品卸でトップの座を長年保持する琉薬は、今年4月に組織改編を実施した。その目玉の1つは「営業業務部」の新設で、それまで管理本部の管轄下にあった情報システム部門(業務システム部)を営業本部へ移管し、それと営業支援や業務支援の部署とを統合して1つの部門とした(業務システム部は「システム課」に改称)。
 
 その狙いについて取締役常務執行役員の座喜味秀盛氏(管理本部長兼経理部長)は、「当社はこれまで県内の医療機関や薬局に安定して医薬品などをお届けすることに最大限の努力を払ってきましたが、これからは地域包括ケアも視野に入れた活動が重要になります。医療・介護・予防・生活支援などが一体となる地域包括ケアにおいて、当社がそのコーディネータ役を担えるようになるための体制強化の一環として組織改編を実施しました」と説明する。
 
座喜味 秀盛氏
取締役常務執行役員
管理本部長 兼 経理部長
 
 
 また営業業務部の玉城学部長(前・業務システム部長)は、「当社の営業担当者は現在、通常の営業活動に加えて商品の配達や注文伝票の処理なども担当しています。しかし今後は、本来の営業活動と地域包括ケアに取り組む医療機関・薬局をご支援できる環境が必要です。当部ではその後方支援となるべく、目下、営業支援と業務支援とシステムの各担当が一丸となって取り組みを進めています」と、同部のミッションを話す。
 
玉城 学氏
営業業務部 部長

 

新社屋を建設し
最新鋭の物流センターを構築

 

 同社は2007年に医薬品卸大手の持株会社アルフレッサホールディングスと経営統合し、経営基盤の強化を図る一方、ITによる業務効率化や安全性の向上に取り組んできた(図表1)。
 
 
 
 まず2011年に、医薬品のトレーサビリティ・システムを構築。これは、商品の入出庫から配送先までの状況を基幹システム(IBM i)と連携させながら一元的に把握できるようにしたもので、倉庫内ではハンディターミナルと倉庫管理システムで、配送先ではバーコードリーダー付き携帯電話と独自開発した地図システムを使ってトレースする仕組みを実現した(図表2)。
 
図表2 携帯電話を用いたトレーサビリティ・システム
 
 
 そして次に取り組んだのがBCP/DR対策で、4階建ての耐震・耐外風構造をもつ頑強な社屋を新築。その2~4階の約2200坪という広大なスペースに、ベルトコンベア・ラインやバーチレータ(垂直搬送機)などの大型装置を設置した最新鋭の物流センターを構築した(2015年1月、図表3)。
 
図表3 琉薬の本社・物流センター
 
 
「物流センターは1階とするのが普通ですが、当社では津波対策として、より安全を期するために2階以上とし、さらに電力会社からの受電を2系統にしたり、停電時に72時間以上電力を確保できるよう自家発電装置や自家給油設備も導入しました。薬品を扱う物流センターへの入退室を厳重に監視・管理するセキュリティ設備も充実させています」と、座喜味氏は述べる。
 
 

CBUを利用し
IBM iのDR対策を実施

 
 また、新社屋の建設と並行して、基幹システムのDR(災害・障害)対策にも取り組んだ。
 
 当初は、IBM iをもう1台導入する冗長化を検討していたが、IBMの「Capacity BackUp(CBU)」を利用すれば低コストでDRシステムを実現できることを知り、採用を決めた。
 
 CBUは、災害・障害時だけに使用できるプロセッサ・コアで構成され、バックアップ機側のOS・ソフトウェアなどに費用はかからないライセンス形態である。このため本番機と同等レベルのバックアップ機をそろえる2重化と比べて、約半分のコストで済む。
「CBUは日本IBMからの紹介でしたが、沖縄研のメンバーのなかにCBUを利用中の企業があり、その担当者から直接評価や感想を聞くことができたため、安心して採用を決めることができました。こうした現場の貴重な情報を得られるのも、U研に参加している大きなメリットと考えています」(座喜味氏)
 
 本番機とバックアップ機間のリアルタイム同期にはビーティスのQuick-EDDを採用した。本番機を沖縄県内のデータセンターに、バックアップ機を本社内に配置する構成である。このため、「万一のネットワークトラブルを想定して」、IBM iと各拠点を結ぶ回線の2重化も実施した(図表4)。
 
 
 
 玉城氏は、「これら一連のDR対策によって、ハードウェア、ネットワーク、通信、電力供給のいずれにおいても安全度の高い基盤が整ったと考えています」と話す。
 
 同社はその後、商品の在庫数や市場動向から発注数を自動算定する「仕入れ・発注システム」をIBM iのデータベースを活用して自社開発している(2017年)。担当者の経験や勘に頼る従来からの発注に代わる、ITによる予測・分析に基づく自動発注システムだ。
 
「ただし、このシステムに完全に頼りきることはありません。過去の実績数の推移とマッチングさせて、発注数が予測より少なかったり、逆に多すぎると色分け表示して担当者の注意を促す機能も備わっています。これによって品切れの防止や適正在庫、デッドストック抑制が可能になりました。また、従来3~4時間かかっていた発注処理が約10分で済むなど、作業時間の大幅な削減と担当者の負担軽減が実現しています」(玉城氏)
 
 

営業活動の可視化と
課題抽出を進める

 
 同社では今、地域包括ケア時代のコーディネータとなるための活動を本格化させている。
 
「最初は、医療機関や薬局が地域包括ケアの中心的な担い手となるためのご支援で、そのために必要な各種ツールの紹介と導入サポートを進めています。当社にとっては初めての領域の活動で、地域包括ケアにとって必要なものは何か、当社が取り組むべきことは何かを考えながら展開していく計画です」と、地域包括ケア推進の責任者も務める玉城氏は話す。
 
 営業業務部では、営業担当者の活動調査を基に、新たな営業支援策を検討中という。
 
「地域包括ケアに関連して、営業先でのシステム活用や、運用中のシステムの拡張やブラッシュアップなど、システム面でやるべきことはまだまだたくさんあります。時間との勝負という側面もあり、営業業務部の活動を加速させていく考えです」(玉城氏)
 
 
[i Magazine 2019 Summer掲載]