Home メインフレーム 東基|オープンマイグレーションとの比較の結果、IBM iへの移行を選択、大差で高評価 ~決め手はメインフレームと同じ操作・処理が行える点

東基|オープンマイグレーションとの比較の結果、IBM iへの移行を選択、大差で高評価 ~決め手はメインフレームと同じ操作・処理が行える点

by kusui

きれいにクリーニングされたシーツ、真っ白な白衣。それらは病院や介護施設には欠かせないもの。東基は、それら病院・介護施設に利用される白衣、リネン、寝具などをリース・レンタルする会社である。国内に、白衣・リネン・寝具を洗濯・洗浄・滅菌するための工場を5つ、営業所を2カ所などをもつ。「清潔快適環境」「白いものは白く」が経営理念で、2014年から国内最高水準の品質とサービスをアピールする「ブランド東基」を展開している。

 

白衣2万4000枚
リネン11万点を毎日処理 

 病院や介護施設に欠かせない白衣や患者衣、リネン、寝具。東基は、それらのリース・レンタルを事業とする草分け的な企業である。創業時の名称は「東京基準寝具株式会社」。この基準寝具とは、病院で使用する白衣・患者衣・寝具のことで、従来は病院自らの提供が法令で義務付けられていたが、1961年に外部事業者による賃貸が認可されたのを受けて、日本貸布団共同組合加盟の11社が共同出資して設立されたのが東基である(1997年に社名変更)。

 白衣・リネンなどのリース・レンタル事業は、リース・レンタル品を病院・介護施設などへ配送し、使用済み品を回収して洗濯・洗浄・滅菌処理を行い、仕上がり品を届けるという流れで進む。たとえば、6着セットで1年間リースされる看護師のユニーフォームは、毎週2着を回収し、それと引き換えにクリーニング処理した2着を届けるというサイクルで回される。

 1日にクリーニング処理される量は、白衣が約2万4000枚、リネン約11万点、ふとん類約6000点。同社ではこの量を処理するために、最新鋭の設備と日産30万トンの生産能力をもつ板倉工場を群馬県邑楽郡に新設した(2016年7月)。同社として5番目となる工場である。

 また2014年4月からは、国内最高水準の品質と業界随一のサービスをアピールする「ブランド東基」を全社を挙げて推進してきた。板倉工場の新設もこの一環である。

 

利用中のメインフレームが
突如「数年後の製造中止」

 同社では1980年代から日立製メインフレームを利用して基幹システムを運用してきた。その方向性が大きく変わったのは、2004年に日立から、利用中の製品ライン(VOSK)の「数年後の製造中止」を通告されたことがきっかけだった。同社では急遽、次期基盤について検討を開始した。

 最初に決めたのは、移行作業までにシステム体系を整備することであった。この作業には、システム資産の棚卸しやドキュメント作成、類似プログラムの統合、帳票の電子化などが含まれる。そして次期基盤の要件を確認するために、現行システムのよい点と悪い点を整理した。

 よい点は、ホストが1台であるので少人数で保守・運用できること、ハードウェアおよび保守費用がリーズナブル、仕様変更や緊急案件への対応が迅速、システム開発依頼がルール化されている、など。悪い点は、マウス操作ができない、80桁×24桁の画面の制約、Excel連携などが困難、利用可能なアプリケーションが日立製に限られる、リアルタイムのデータ活用が困難、履歴管理の煩雑さ、などであった(図表1)

 

 

Windowsサーバーへの
移行を想定

 移行先として同社が想定したのは、Windowsベースのオープンなプラットフォームである。「他のシステムとの連携が容易で、豊富なアプリケーションを利用でき、かつベンダーロックインとならない環境を重視した結果です。従来のマイナス面をカバーする狙いがありました」と、企画本部情報システム部の原田二朗次長は振り返る。

 

原田 二朗氏 企画本部 情報システム部 次長

 

 2005年10月にベンダーと契約してWindowsサーバーへの移行作業をスタート。しかし、要件定義を進めるなかでベンダーから提示された費用が当初の提案とはかけ離れていたため、2007年5月にプロジェクトを中止。2008年4月から再度、別のベンダーを立てて移行作業を進めたが、こちらも要求定義後に提示された見積もりが予算を大きくオーバーしていたため中止を決定(2009年3月)。移行プロジェクトは暗礁に乗り上げた。

 ところがその直後、日立がメインフレーム(VOSK)の製造を2013年まで継続すると方針を変更。同社ではこれを受けて、2014年にいったん日立製メインフレームへの移行を行い、その保守期間の終了(2019年9月)前の2018年1月までに次期基盤への移行を完了させることを決めた。

 

継続性など7項目にわたり
オープン環境とIBM iを評価

 システム体系の整備については、2009~2012年の3年間に、当初7839本あったプログラムを、未使用プログラムの削除や統廃合によって2348本に削減、帳票も1665本から1348本へと削減した。さらに、メインフレーム上の人事・給与、会計、固定資産、債務管理の各システムをWindows上で稼働するパッケージに移行。また従来、工場ごと、営業分野ごとに異なっていたメニューを統合化して事務作業の統一化も図った。

 一方、次期基盤に関しては、最終的に日立のオープンマイグレーションとIBM iの2つに絞って検討を進めた。両者ともストレートコンバージョンによる移行としたが、その理由について原田氏は、「業務の変更やシステムの改築を伴う移行の場合、業務部門を巻き込んだ要件定義が不可欠ですが、ストレートコンバージョンであれば、現行システムを『正』として移行作業を進められるので、情報システム部門の範囲内で作業を行えます。限られた期間内にリスクを最小限に抑えて移行を完了させるために採用しました」と説明する(図表2)

 

 

 日立のオープンマイグレーションとIBM iの比較は、下記の7項目について行った。

・安全性(故障頻度・ウイルス対策)
・継続性(販売期間・保守期間など)
・性能(性能値・ベンチマーク結果など)
・拡張性(Web化・データ連携など)
・エンドユーザーにとっての使いやすさ(画面操作性・帳票など)
・情報システム部にとっての使いやすさ(開発生産性・保守運用・データベース)
・移行作業(容易性・移行リスク)

 そして各項目について日立のオープンマイグレーションとIBM iを点数評価したところ(4名のシステム部員それぞれが点数評価)、「拡張性」を除く6項目でIBM iがオープン環境を上回り、総合評価では1048点対751点という大差がついた。この結果、IBM iを次期基盤とすることを決定した。

「決め手となったのは、メインフレームで行っていた操作や処理がIBM i上でも同様に行えるという点で、これならエンドユーザーも混乱なく新しい基盤を利用できるだろうと判断しました」と話すのは、企画本部情報システム部の加藤将平氏(情報システム課 係長)である。

 

加藤 将平氏 企画本部 情報システム部 情報システム課 係長

 

 また、IBM iの保守料がメインフレームと比べて安価なため、初期の移行費用を含めても10年間で数千万円のコストメリットが得られる点や、IBM iならばオールインワンの運用が可能、IBM iの処理性能が現行メインフレームの25倍(ベンチマークテスト結果)、文字コードが同じEBCDICであるため他の移行手法よりもリスクが少ない点なども高く評価した。

 さらに、IBM iを提案してきたJBCCが日立メインフレームからの移行に詳しく、多くの実績をもっていることも「大きな安心材料でした」と原田氏は述べる。同社はJBCCとの契約前に、JBCCが無償で実施する「移行計画セッション」を受けて移行作業の詳細を把握している。

 

IBM iはバッチ処理に強い
システムへと変えていく

 2016年5月にキックオフを行い移行プロジェクトをスタート。現行システムの調査分析、機能設計、移行ツール開発、テストコンバージョン、コンバージョン、各種テストなどの工程を予定通りに進んで、2017年12月末にサービスインした。

「サービスイン直後は、日立メインフレームとIBM iの違いによる不具合が表面化し多少の混乱もありましたが、それもすぐに修正でき、想像以上に順調に移行できました。さらに、今まで2時間以上かかっていたバッチ処理が10分程度で終わるようになり、あらためて処理能力の高さを感じさせられました」(加藤氏)

 今後は、「IBM iから切り出せるものはどんどん切り出し、最終的にバッチ処理に強いシステムへと変えていく考えです」と原田氏。「フロントは基本的にWeb化し、モバイルやスマートデバイスにも対応させます。まずは営業から要望の多いリース販売管理システムのWeb化から着手し、5~10年かけてシステム全体を切り替えていく方針です」と抱負を語る。

 IBM iでその将来構想を支えながら、システム拡張をさらに推進していくこととなる。

 

COMPANY PROFILE
株式会社東基

本 社:東京都練馬区
設 立:1962年
資本金:3億6000万円
売上高:150億円(2018年3月)
従業員数:720名(グループ合計920名)
事業内容:病院・介護施設などへの寝具・患者衣・白衣などのリース・レンタル、リネンサプライ・販売、介護保険法に基づく居宅介護支援・居宅サービス・介護予防サービス事業など。
http://www.fbit.co.jp/

[i Magazine 2018 Winter(2018年11月)掲載]

related posts