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事例|澁谷工業株式会社 ~RPG、PHP、Java、Delphi/400~多彩な手法で自社開発を推進~

多彩な言語やツールを活用し
100%内製による開発体制

i Magazine(以下、i Mag) まずこれまでの運用歴と現在のシステム内容を教えてください。

松江 1977年に、システム/32を導入して以来のユーザーです。生産管理、販売管理、会計、人事と基幹システムのほとんどをIBM i上で運用しています。人事システムでパッケージ製品を使用している以外は、すべてRPGによる自社開発です。経理は導入当初のシステム、生産管理は1988年、販売管理は1995年、会計は1998年にそれぞれ再構築し、改修しながら利用しています。なおグループ企業向けの業務システムではIBM iを利用せず、Delphiで自社開発したシステムも稼働しています。またWindows系ではWeb、ファイル、文書管理の各サーバーを運用中です。2013年からはPureFlex System でPower SystemsとIAサーバー双方を利用し、ストレージも共有する環境になりました。

松江 克泰氏
経営情報システム部 次長

i Mag 人員体制はいかがですか。

小山 経営情報システム部は、合計22名です。取締役で経営情報システム部長である永井のもと、20代が2名、30代が6名、40代が7名、50代が6名います。そのうち、部長とインフラ系の運用管理者2名を除く19名が、RPGのⅢとⅣによる開発を行います。過去のプログラムの大半はⅢで書かれていますが、新規の開発ではⅣを使っています。

小山 祐二氏
経営情報システム部 課長代理

 

 またWeb系のアプリケーション開発にPHP、クライアント/サーバー型の開発に「Delphi/400」(ミガロ.)を使っており、RPGと並行して11名がPHP、16名がDelphi/400を利用できます。

松江 ここ十数年は1人が抜けると、1人を補充する形で、ほぼ現在と同じ人数でやってきました。特殊なスキルが必要な部門なので、人員の流動はあまりないのですが、それでも3年に1人くらいのペースで入れ替えがあります。年齢バランスから見ると20代が少なく、スキル継承や開発・運用体制の維持を考えると、今後は若手を積極的に採用していきたいと考えています。

i Mag 開発は内製が中心ですか。

長谷川 現在は100%内製による開発体制です。RPGによる改修案件が月平均20件程度、Delphi/400やPHPによる主に画面回りの開発が月5件程度あります。バックエンド側は基本的にRPGですが、最近は、比較的シンプルな構文で、かつパフォーマンスを維持できると判断できる場合はRPGを使わず、SQL文の発行だけで対応することもあります。フロントエンド側はその都度、適性に応じてDelphi/400とPHPを使い分けている状況です。このほか、少数ですがJavaで開発したアプリケーションも稼働しています。

長谷川 一治氏
経営情報システム部 副参事

小山 IBM i上で稼働するシステムはいずれも運用年数が長く、開発からかなりの時間が経過しているので、2017年度以降はシステムの再構築や新規開発を予定しています。たとえばWeb系で再構築する販売管理システム、原価管理システム、さらに生産系のPDM(Product Data Management)やBOM(部品表)の見直しなどです。現在は次期販売管理システムについて、要件定義や構築環境、使用ツールなどをいろいろと検討している段階です。

長谷川 次期システムについても基本的には自社開発で進めますが、100%内製にこだわるわけではありません。目的や必要に応じて、外部に委託することもあるでしょう。ただし、外注はあくまでマンパワーの補充が目的であり、ノウハウの補充ではありません。ですから技術的に自分たちができない領域を外注するのではなく、自分たちのできる領域を外注していこうと話しています。それにはもちろん、技術トレンドを常にウォッチし、社員のスキルを高めていくことが前提となります。

 正直に言えば、外注には不安要素もあります。たとえばRPGの場合、北陸地方で外部委託できるベンダーを見つけられるか、という問題。それに当社はずっと内製でやってきたので、外部への開発を的確に指示し、コントロールできるかという課題もありますね。

小山 やはり技術力、開発力を自分たちできちんともたないと、外部へ的確に指示できないでしょう。自分たちの知らないことは、外部に指示できませんからね。だから内製にはこだわらないものの、開発する力は維持していきたいですね。ただし人材育成の観点から言えば、プログラムを書くことがゴールではなく、業務プロセスをいかに設計し、変えていけるかが重要です。今は何もないところから、新しいモノを創造する力をどう身に付けさせるかです。技術力とは別物ですが、技術を知らないと実現できない気がします。

松江 私自身の経験から言うと、やはり新規の開発が人を育てると実感します。私が若手だったころは、新規開発プロジェクトがめじろ押しで、ユーザー部門とコミュニケーションし、課題をシステム部門へもち帰り、ITでの解決策を模索して、それをユーザー部門に提案するといった作業を延々と繰り返しました。このプロセスのなかで、業務を考える力が身に付きました。最近は新規開発案件がなく、既存システムの改修が多かったので、若手はこうした経験の場を得られませんでした。ですから今春スタートする新規開発や再構築プロジェクトは、若手を育てる絶好のチャンスだと考えています。

 また今後さまざまな選択や判断をするうえで、できるだけ広い視野をもつようにと若手には伝えています。IBMユーザー研究会をはじめとした社外での交流、グループ企業とのコミュニケーション、社外研修や講習に参加させています。広い視野をもち、考える力を養ってこそ、何もないところから新しく創り出せるのだと思います。

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澁谷工業株式会社

IBM i User Profile

運用歴:1977年のシステム/32から
運用システム:生産管理、販売管理、会計、人事の各システム
RPGのプログラム本数:約7000本
開発言語:RPG、PHP、Java
開発ツール:Delphi/400、ZendServer
システム部門人員数:22名
構成
20代 2名
30代 6名
40代 7名
50代 6名
(60代:1名)

COMPANY PROFILE

本社:石川県金沢市
創業:1931年
設立:1949年
資本金:113億円(2016年6月)
売上高:836億円(連結、2016年6月期)
従業員数:3216名(連結、2016年6月期)
事業内容: ボトリングシステム、製函包装システム、物流搬送システム、製薬設備システム、再生医療システムなどの生産・販売

http://www.shibuya.co.jp/ 

 

[i Magazine 2017年 Spring (2017年3月)掲載]