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世界経済フォーラムがAI促進の世界的組織「GAIA」を設立 ~IBMのクリシュナCEOが共同議長に

世界経済フォーラムは1月28日、「グローバルAIアクションアライアンス」(Global AI Action Alliance。以下、GAIA)の設立を発表した。「包括的で透明性の高い、信頼できるAIの採用を世界的に加速するため」の主導的な役割を担う団体で、共同議長をIBMのアービンド・クリシュナCEOと米マクガバン財団のヴァリス・ダール社長が務める。

AIは、「2035年までに組織の生産性を40%向上させ、14兆ドル以上の経済効果を生む」(同フォーラム)と期待されているものの、安全ではない使い方や非倫理的な利用によるリスクも明らかにされつつある。

世界経済フォーラムによると、すでに世界の175を超える組織・団体がAIに関する倫理規定(規範・原則)を提案中という。世界経済フォーラムは、その動き自体は「歓迎する」と述べる一方、「断片化を引き起こしている」と指摘する。各AI倫理規定の間で「実装上のギャップ」と「学習上のギャップ」が生じているという。そして、数あるAI倫理規定を実践的なツールへと変換するには、さらなる取り組みが求められる、と踏み込んでいる。

GAIAは、こうした考えに基づく団体で、「実践的なツールの開発と採用が、世界全体および各産業セクターで促進されるようするための、新しいマルチ・ステークホルダー・コラボレーション・プラットフォーム」である。今後、100以上の企業、政府、国際機関、非営利団体、学者を結集するという。

初期の取り組みは、以下の9点。

・AIのリスク・適用チャンス・ベストプラクティスに関する、政府・業界リーダーへの教育
・AIにフォーカスした立法者間の国際的な相互学習の促進
・AIドリブンな組織における責任ある製品設計と活用の推進
・信頼できるAIシステムに付与する認証マークの開発
・AIシステムにおけるバイアスの特定と削減
・AIエコシステムへの参加促進と、AIの恩恵が行き届いていない団体へのAIのメリットの拡大
・司法制度へのAIの適用
・AIの活用によるSDGs(持続可能な開発目標)の促進
・AIの未来を担う市民の育成と支援

IBMのクリシュナCEOは、「AIには大きな可能性があるものの、テクノロジーに対する一般の信頼は今日では低い段階にある」としたうえで、次のように述べている。

「AIシステムに対する信頼のレベルを上げることは、道徳的な要請というだけではなく、ビジネスとしても意味のあることです。クライアント、従業員、ステークホルダーがAIに信頼を置かないとしたら、私たちの社会はAIが提供するメリットを享受できません。この課題に取り組むための答えや能力をすべて持っている組織など皆無です。世界がAIの限りない力を利用できるようにするため、会話にはできるだけ多くの視点や事情を含めることが不可欠です。これが、私たちが専門的な知識を提供し、他の人々がこのグローバルな組織的な取り組みに参加することを奨励している理由です」

世界経済フォーラムで話をするクリシュナ氏

 

世界経済フォーラムのニュースリリース

グローバルAIアクションアライアンス(Global AI Action Alliance)

 

[i Magazine・IS magazine]

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