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事例|西尾レントオール 株式会社 ~C/S型、Web型、iOSネイティブ型混在の次世代型IT活用を見据えた「次期業務プロジェクト」が進行中

 

今後の事業展開を支える
基幹システムを全面再構築

 西尾レントオールは1965年に道路機械のレンタルを開始して以来、建設現場で使用する機械・器具のレンタルを中心に事業を拡大してきた。総合レンタル業のパイオニアとして、建設業界にとどまらず、展示会やイベント用の機材および通信映像機器、産業界向けの生産加工機器など多様な分野に進出している。

 また建設生産の各プロセスから得られる情報を活用し、高効率・高精度な施工を実現する「ICT施工」にいち早く着手した。さらに3Dマシンコントロールや構造物の3次元モデル、ドローンやロボットを使った構造物の点検・補修など、多様な情報通信技術を利用して、測量・設計から施工・管理に至る建設業務の全プロセスで生産性向上を目指す「i-Construction」を国土交通省が2016年度から推進しているが、同社はこれにも積極的に取り組んでいる。

 同社では長年にわたり、IBM i上でRPGとCOBOLにより開発された基幹システムを運用してきた。これは建設機材を管理する建機システム、イベント系の商材を管理するイベント系システム、そして通信・測量機器(通信・測機)システムと、大きく3系統のレンタル管理システムで構成されている。

 しかし長期の運用で、それぞれに派生したサブシステムやアプリケーションが多数稼働する複雑なIT環境が形成されていた。そこで2012年、現状の課題を解決し、今後の事業展開を支える新たな基幹システム構築を目指す「次期業務プロジェクト」がスタートした。情報システム室の辻野東亜室長は、その狙いを次のように語る。

「現行システムでは新たなニーズへの対応が困難であるのに加え、5250画面では必要なサービスの提供にも限界がありました。そこで、今後も予想される事業の拡大や多様化、業務上の新たなニーズに迅速に対応するとともに、商品管理の分析を強化するアナリティクスや社外でのモバイル活用などを可能にする次世代のシステム構築を目指すことになりました」

 

辻野 東亜氏 情報システム室 室長

 

 新・基幹システム構築の中心的な開発ツールとなったのは、「Delphi/400」(ミガロ.)である。同社では2005年頃から通信測機システムなどで、Visual Basicに代わるクライアント/サーバー(C/S)アプリケーションの開発ツールとして利用していた。その利用経験から生産性や容易性、パフォーマンスのよさを熟知していたため、再構築を検討し始めた当初から、Delphi/400を開発の主軸に据えると決めていたという。

再構築の中心的な開発ツールに
「Delphi/400」を採用

 プロジェクトのキックオフに先立ち、情報システム室では社内の全PCを最新機種に入れ替えたほか、営業マンを中心に1000台以上のiPadを導入し、新たなシステムを受け入れる下地づくり、雰囲気づくりに着手した。

 プロジェクトの第1フェーズは、2014年8月に本稼働した新・建機システムの開発である。同システムはDBやテーブルなどを含め、基幹システムの中核的な存在であり、ユーザー数も1500と最も多い。ミガロ.の支援を得て開発されたのは、約130機能に上る(本稼働後の追加開発分を含む)。

「このシステムではユーザーの業務や勤務状況に応じて、C/S型、Web型、スマートデバイス向けのiOSネイティブ型と、多様な形態で開発されている点に特徴があります」と語るのは、情報システム室の畑山浩久担当課長である。

 

畑山 浩久氏 情報システム室 担当課長

 

 たとえば機材・商品の手配や納品などのデリバリー業務を担う「フロントマン」と呼ばれる担当者向けには、デスク作業が中心なのでC/S型で開発。また機材の整備や入出庫時の点検、修理などを担当する「技術マン」向けには、重機など大型機材が置かれた広大な保管スペースを動き回りながら作業するため、C/S型に加えて、iPadで操作できるWeb型でも開発されている。

 さらに外出の多い営業マンに向けてはC/S型、Web型に加えて、2016年6月にはiPadを使って機材の納入先や稼働状況などを確認したり、ワークフローの承認機能などを搭載したネイティブ型のアプリが稼働する予定である。

 これらのシステムのうちC/S型は「Delphi/400 Version XE」で、Web型は「Delphi/400 Version XE3」で、iOSのネイティブアプリは「Delphi/400 Version XE7」で開発された。情報システム室の中川勝稔氏は、「異なる形態のアプリケーションを同一ツール、同一の手法で開発できる点も、Delphi/400の利用メリットだと考えています」と指摘する。

 

中川 勝稔氏 情報システム室

 

 プロジェクトは現在、第2フェーズが進行中。2016年12月には通信・測機システム、2017年3月にレンタル資産管理システム、同年12月にはイベント系システムが本稼働を迎える予定だ。

 

 

 新・建機システムの稼働後は導入効果として、「生産性向上」と「時短」が確認された。一言で「時短」と言っても、労働時間の短縮だけでなく、受注から手配・納品までのリードタイム、顧客ニーズに沿った機器やアイテムを探し出して「商品化」するまでの時間、さらに多種多様かつ膨大な機材・商品情報を迅速に検索し、営業担当者が顧客に提案可能になるまでの時間など、さまざまな「時短効果」が生まれている。

 第2フェーズが終了すれば、さらに多くの時短効果をもたらし、今後の事業を支える強力な情報インフラが完成するのは間違いないだろう。

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COMPANY PROFILE

西尾レントオール株式会社

本社:大阪市中央区
設立:1959年
資本金:604500万円
売上高:1114億500万円(連結、2015年9月)
733億3600万円(単体、同)
従業員数:1629名
事業内容:建設機械・器具全般、産業用機械、通信・情報機器、イベント用品などの総合レンタルおよび関連事業
http://www.nishio-rent.co.jp/

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[i Magazine 2016 Summer(2016年5月)掲載]

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