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事例|十六コンピュータサービス株式会社~自動集金サービス「JCSネット」の機能強化に向け、 HAソリューションを「Maxava」にリプレース

本 社:岐阜県岐阜市
設立:1985年
資本金:2億4500万円
従業員数:50名(2019年1月)
事業内容:自動集金サービス「JCSネット」の展開、十六銀行グループおよび一般企業向けのシステム開発・運用・保守
http://www.jcs-gifu.co.jp/
 
十六銀行のグループIT企業として、同行および一般企業向けのシステム開発・運用・保守を支援する一方、独自事業として全国の金融機関と提携した自動集金サービス「JCSネット」を展開している。同サービスの年間取扱件数は、2018年3月期で667万件に達している。


第3次サービスの開始に先立ち
HAソリューションをリプレース

 
 
 十六コンピュータサービスが提供する自動集金サービス「JCSネット」は、十六銀行をはじめ全国の金融機関と提携し、事業者(委託者)に代わって顧客の口座から代金を集金して、委託者の口座に入金する口座振替サービスである。年間約650万件の口座振替を処理し、毎月約1万件の新規顧客を獲得するなど、同社の事業の柱として順調に業績を拡大している。
 
 第1次サービスがスタートした当初は、帳票のみであった口座振替情報の通知方法も、その後はFDやMOなどの媒体利用へ、さらにオンラインのデータ送信へと拡大し、2007年にスタートした第2次サービスからはWebアプリケーションの利用が可能になっている。
 
 口座振替請求データを作成・送信する方法には帳票、媒体、さらに全銀手順で委託者が独自に作成した通信ソフトウェアなどいろいろだが、最近は同社が無償提供するアプリケーション「おまかせくん」を利用するケースが増えている。同アプリケーションは、口座振替データの作成・送信・管理・確認などを簡単に実行できるのが特徴である。
 
 さらに同社は2018年11月、JCSネットの第3次サービスをスタートさせた。ここではインストール版であった「おまかせくん」がクラウド版として利用できるほか、毎月12・27日の2日だった振替日が12・20・26・27と4日に増えるなど、さまざまな機能拡張が実施されている。
 
 このサービスの舞台裏では、同社がIBM i上で独自に開発した「JCSネット 基幹システム」が稼働している。第3次サービスの開始に先立つ2017年10月には2台のPower Systemsをリプレースし、IBM i上の基幹システムの改修に着手した。数々の新機能に対応させるほか、IBM iの帳票ソリューションとして「UT/400」(アイエステクノポート)を導入してPDFによる電子帳票化を実現。また請求金額通知書の作成をはじめ、PCサーバー上で実行していた多種多様な機能をIBM iへ統合すべく開発を進めた。
 
 第3次サービスの開発プロジェクトで検討されたのが、障害・災害対策の一環として導入していたHAソリューションのリプレースである。同社ではかねてから本番機とバックアップ機を導入し、二重化体制を構築していたが、ハードウェア更改とIBM iのOSバージョンアップに伴い、あらためてHAソリューションのライセンス購入が必要となった。
 
「このライセンス費が高額で、想定していた予算では片方向の同期しか実現できないことが判明しました。口座振替データの重要性を考えても、双方向の同期は不可欠です。そこで2018年初頭から、当社の予算と要件に最適なHAソリューションを検討することになりました」と語るのは、システム開発部の三浦慎一部長である。
 
三浦 慎一氏
システム開発
部長
 
 

PDFを格納するIFS領域も
完全リアルタイム・バックアップ

 
 同社が検討したのは、旧ソリューションとは異なる2製品。最終的に選んだのは、「Maxava Enterprise +」(Maxava)である。検討対象であった2製品はともに予算の範囲内であったが、大きく違ったのは機能とパフォーマンスである。
 
「PCサーバー上で運用していた多数の機能をIBM iに統合するので、基幹システムの信頼性は今まで以上に重要です。そこで同期の遅延が生じず、障害や災害が発生した際に迅速に切り替えられるよう、完全リアルタイム性を重視して製品を探しました。Maxavaは独自の手法で、リアルタイムな同期を実現している点に興味をもちました」(三浦氏)
 
 採用の決定打となったのは、IFS領域のリアルタイムな同期が可能であること。UT/400で生成するPDFはIFS領域に出力・格納されるので、顧客に送信する電子帳票の利用を進めるうえで、IFS領域を守ることが重要ポイントとなる。
 
 
 
 
 とは言え、完全にリアルタイムな同期が可能かどうかは、実際に運用してみないとなかなか判断しづらい。そこで同社では2018年6月からの2カ月にわたり、新しいPower Systemsに評価版を導入してテストを実施した。その結果、想定どおりの同期が実現できることを確認し、同年8月に正式にMaxavaの採用を決定した。
 
 このテストには、Maxava社の日本法人およびニュージーランド本社の技術スタッフと、保守を担当する岡谷システム(株)の担当者も立ち合い、実環境で入念にチューニングを重ねたという。
 
「岡谷システムの本社が名古屋にあり、岐阜市を拠点とする当社まで距離が近く、トラブルシューティングの際にはすぐに対応を依頼できる点も心強かったです。保守面でも技術面でも、このチームであれば安心して今後の運用を任せられると考えました」と、プロジェクトに参加したシステム開発部の宇野友梨氏は指摘する。
 
宇野 友梨氏
システム開発部
 
 2018年10月に、約1年間の開発が終了。それから1カ月、旧システムとの並行稼働を実施し、同年11月から第3次サービスがスタートした。
 
「並行稼働していた1カ月間で、Maxavaと旧HAソリューションとの機能の違いを目の当たりにしました。たとえば旧ソリューションではファイル容量が大きいとメッセージwaitが出て書き込めず、同期するジョブが蓄積されてバックアップ機への書き込みが停止していました。でもMaxavaでは、問題なくスムーズに同期を実行できました」(宇野氏)
 
 リリースされた「おまかせくんクラウド」は好評で、インストール版からの移行だけでなく、新規ユーザーの利用も進んでいる。同社ではさらに2019年3月、第3次サービスの次フェーズとして予定されている機能群を搭載する予定である。新しいテクノロジーに対応しつつ、JCSネットは、今後も継続的に機能拡張を続けていくようだ。

 

[i Magazine 2019 Spring掲載]

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