
新卒や転職でIBM iに初めて触れた人たちは、5250画面に軽い違和感を覚えることが多い。
しかし使い慣れるに従って、違和感は親近感へと変わっていくというのが、本シリーズ企画の過去8回の“中間総括”だ。転職してIBM iに初めて触れた今回の3氏は、どのような経験をしただろうか。
(写真左から)
松倉 詩織氏
株式会社アルファー・コミュニケーションズ
システム開発部
藤原 心春氏
株式会社MONO-X
営業推進部
今瀬 愛美氏
コーユーレンティア株式会社
情報システム部
設計・開発グループ
3人はいずれも転職組
希望と期待を込めて新天地へ
i Magazine(以下、i Mag) 最初に自己紹介をお願いします。
松倉 アルファー・コミュニケーションズの松倉です。入社して7年目で、ふだんはRPG ⅣとCL、Delphi、VB.NETを使って開発と保守を行っています。最近は管理側に回ることも増え、社内のメンバーや協力会社の人たちに開発を依頼してその管理をしたり、研修を担当したりしています。
前職はドラッグストアで販売の仕事に就いていました。転職するまでプログラムに触ったことなどありませんでしたが、ライフスタイルを変えたいと思い転職しました。もともと小売業が好きで、当社が小売業や物流業のお客様を数多くご支援しているということがあって、飛び込んでみました。
藤原 MONO-Xでマーケティングを担当している藤原です。今の仕事はIBM i関連の情報の発信で、弊社ではメルマガを週1のペースで配信しているのですが、そのコンテンツ作りや購読者管理、配信などを先輩と手分けして担当しています。そのほか、イベントの企画・実施や、他社のイベントへの出展などの実務作業も担当しています。
私も転職組で、前職はアパレルでした。Webデザインやマーケティングの仕事に就きたいという希望があって、たまたま出会ったMONO-Xに昨年(2024年)9月に入社しました。ITのこともIBM iのこともまったく知らないゼロからのスタートでしたが、当社にはIBM i好きな人がとても多く、いろいろな刺激を受けたり教えられながら1年を乗り切ってきました。

今瀬 コーユーレンティアの今瀬です。当社は、建設・不動産・イベント業界向けに家具や什器、備品などをレンタルする事業を営んでいます。私は情報システム部に所属し、社内システムの開発・保守やネットワークの管理、社員向けのヘルプデスクなどを担当しています。
私も入社3年目の転職組で、前職はベンダーに所属し、お客様常駐型のシステムエンジニアを長くやっていました。お客様常駐型の仕事はシステムのごく一部分を担当することが多く、1つの案件が終わると別のお客様のプロジェクトへ移っていくので、ユーザー企業に籍を置いてシステムの仕事をじっくりとしてみたいと思うようになり転職しました。

RPGは初めての経験
オープン系言語よりも使いやすい
i Mag 今瀬さんはシステムの経験がおありですが、松倉さんと藤原さんはどのようにITの知識や技術を習得したのですか。
松倉 私は転職してから3カ月間は、社内の研修プログラムを受け、さらにEOLを参考にしながらRPGを学習し、4カ月目から現場に入りました。現場では、わからないことがあったらすぐに先輩方に教えを乞うというスタイルで、業務をこなしていました。教材のEOLも勉強しましたが、現場の実務を通してRPGやその他のスキルを学んだという形です。
i Mag 松倉さんはRPGのプログラミングからスタートだったのですね。
松倉 現場に入った直後からプログラムを書き、テストも自分で行いました。DelphiやVB.NETもほぼ平行して勉強しましたが、そちらはネットに情報がたくさんあり書籍もあるので、独学で身に着けた部分もあります。
藤原 私はマーケティング担当なのでプログラミングなどは学習していませんが、入社してからIBM iや製品について上司や先輩方に教えてもらいながら、知識を蓄えてきました。まだまったく不十分ですが、お客様や先輩方と接して、IBM iがなぜ長く使われているのかという理由や、IBM iが好きという人の気持ちが少しわかるようになってきました。私もIBM iや製品に興味を覚え始めているので、1つ1つ覚えていくのがとても楽しみでもあります。
i Mag 今瀬さんは、前職ではどの言語を使っていたのですか。
今瀬 COBOLでした。当社がRPG中心に社内システムを構築していることは入社前にわかっていたのですが、募集要項に「COBOL技術者、大歓迎!」とあったので応募してみる気持ちになりました。
RPGとCOBOLは細かい部分に違いはありますが、基本的な法則は似ています。そこで社内のCOBOLの達人に、COBOLとRPGの違いや、COBOLではこう書くけれどRPGではこうなる、といったことを教わりながら、自分でもCOBOLとRPGの対照表を作成したりしながら、ほぼ独学でRPGを学びました。
ただし独学ではどうしても限界がありました。そこで会社のほうでSLJ(ソリューション・ラボ・ジャパン)様の研修プログラムを用意してくれて、RPGを体系的に学習しました。SLJ様の研修プログラムは、私がCOBOL技術者だったことを踏まえたカスタマイズされたカリキュラムで、非常にわかりやすく、知識やスキルが身につく研修でした。
i Mag 皆さんRPGは初めての経験だったようですが、5250画面に違和感はなかったですか。
今瀬 私はCOBOLのキャラクター画面に慣れていたので、違和感はありませんでした。
藤原 私は最初に黒画面に緑の文字が並んでいるのを見た時、昔のゲームを思い出しました。企業システムとはそういう画面を使うものだと思ったので、すんなりと入っていけました。
松倉 私のほうは、初めて5250画面を見た時はかなりショックでした。とても古いと思いました。けれども実際に手を動かしてみると、RPGはオープン系よりも断然取っつきやすいし、読みやすく、書きやすいです。印象と実際のギャップも大きかったです。
今瀬 まったく同感です。RPGはCOBOLよりも使いやすいですし、日本語にもきちんと対応しているので扱いやすいと感じています。COBOLのログは英語しか出てこないことがあって、苦労した記憶があります。
ノウハウやナレッジが
ドキュメント化されてない印象
i Mag IBM iとRPGを利用するうえで、こうであるとさらに使いやすいということは何かありますか。
松倉 技術情報がもっとあればよいのに、と常日頃感じています。インターネット上にIBM iやRPG関連の情報は少ないですね。IBMの公式ページや、筆者不明の個人ブログがいくつかあるのですが、利便性や有益性の点で今一歩という感じをもっています。

藤原 私も知りたいことやわからないことがあるとネットに頼るのですが、情報があまり多くないという印象です。それと、セミナーを主催したり展示会に参加すると、20代のIBM i担当者が少ないと感じます。20代・30代の若手が集まり、IBM iについて情報交換したり話し合える場があるとよいなとよく思います。
今瀬 お二人の感想・考えと同じですが、言い換えると、IBM iの世界では、これまでに得られたノウハウや知見がドキュメント化されて残されていないという印象です。技術的なノウハウや知見をドキュメントとして残していく文化や取り組みがあると思います。
その一方で、技術について先輩社員の方に尋ねたりすると、仕事の手を止めてでも答えてくださるマナーやモードがあります。その文化を残しつつ、ノウハウがドキュメントとして残されていると、仕事はよりスムーズに進むのではないかと思えます。
松倉 そうですね。技術的なナレッジの共有がごく一部の人たちに限られ、市場全体で共有されていないのですね。
i Mag 若手のIBM i技術者を増やすにはどうしたらいいと思いますか。
今瀬 IBM iやRPGは、他の言語ほど知られていないので、知名度を上げる取り組みが必要だろうと思います。それと、古いといったマイナスイメージがあるので、それを払拭することも必要です。実際に使ってみれば、使いにくいとか発展性がないということはまったくないのですから。
松倉 本当にそう思います。IBM iもRPGも見た目よりはずっと使いやすいですし、開発しやすいです。そのことは声を大にして同世代の人たちに伝えたいです。そして若い人たちが言語を選択する際にRPGを選ぶことが一般的になれば、マイナスイメージは払拭されるだろうと思います。
i Mag 生成AIはどのように使っていますか。
藤原 私の会社では社員全員に生成AIツールが配布され、積極的に使うことが推奨されています。私もコンテンツを作る時やマーケティングのポイントを確認する時に活用しています。
今瀬 私のところでは、生成AIの研修を社員全員を対象に行っています。私自身の仕事では開発だけでなく、PCについての問い合わせへの回答など社員をサポートする時に活用しています。生成AIは情報リテラシーを高める際に非常に有効です。ただし、現状ではハルシネーションの問題がありますから、あくまでも補助的ツールの位置づけです。
松倉 見方を変えると、生成AIに蓄積されたビッグデータは人類の集合知でしょうから、そこからうまく答えを引き出すのは、結局使う人の問題だろうと思います。現在の生成AIツールは、今瀬さんが言われたように精度の問題がありますから、私は今のところ、正確なことを聞きたい時には必ずソース(情報源)の提示を求めるようにしています。
今瀬 そうしたやり取りは必要だと思います。私の経験では具体的に質問すると、より正確な答えを返してくれるように感じています。そこからさらに正確性を向上させていくことが、これから必要になると思います。
撮影:広路 和夫
[i Magazine 2025 Winter掲載]







