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IBM Bob Premium Package for i(PP4i)徹底解説 ~IBM i開発を変えるAI活用の実践ガイド <後編>PP4iが価値を発揮する活用シナリオ

i Magazine 2026 SUMMER号掲載
「特集 IBM Bob」Part2を全面改稿

「i Magazine 2026 SUMMER」号で「特集 IBM Bob」を掲載しました。しかし、同号の発行直後に「IBM Bob V2」と「Premium Package for i」がリリースされ、IBM Bobを取り巻く製品・機能体系は大きく進化しました。そこで両製品と密接に関わるPart 1について、最新情報を反映する形で以下に著者が全面的に改稿しています。

 

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PP4iが価値を発揮する活用シナリオ

PP4iが価値を発揮する活用シナリオとして、以下の5つを紹介しよう。

シナリオ1:既存RPG資産の影響範囲分析

課題:IBM i システムでは、長年の改修によりプログラムやファイルの依存関係が複雑になっていることが多い。

IBM Bobでできること:IBM Bobはソースコードの概要説明や業務ロジックの説明を支援できる。

PP4iで追加される価値:PP4iでは、QSYSやIFS上のソース、DDS、CL、ライブラリーリストなどを横断的に参照しながら、実環境を前提に影響範囲を調査できる。

得られる効果:調査時間の短縮、影響漏れの防止、若手開発者の早期戦力化につながる。

シナリオ2:固定形式RPGのモダナイゼーション

課題:固定形式RPGやOPM RPGは現在も多く利用されているが、保守性や技術継承の観点で改善が求められる。

IBM Bobでできること:IBM Bobは固定形式RPGの説明や変換候補の提示を支援できる。

PP4iで追加される価値:PP4iのRPG Modernizationワークフローは、RPG種別の判定、OPMからILEへの移行、I仕様書・O仕様書の考慮、フリー形式化、コンパイル検証を一連の流れで支援する。

得られる効果:変換作業の標準化、モダナイゼーション工数の削減、品質向上につながる。

シナリオ3:業務知識の継承

課題:IBM i システムには、長年にわたって蓄積された業務ルールがコード内に埋め込まれていることが多い。

IBM Bobでできること:IBM Bobはプログラムを解析し、処理内容を説明できる。

PP4iで追加される価値:PP4iのBusiness Rules Extractionワークフローでは、業務ルール、判定ロジック、入力チェック、処理フローを抽出し、必要に応じてMermaid図を含むレポートとして整理できる。

得られる効果:技術継承、設計書整備、属人化リスクの軽減につながる。

シナリオ4:RPGUnitによるテスト自動化

課題:既存資産の改修では、回帰テスト不足やテスト工数不足が課題になりやすい。

IBM Bobでできること:IBM Bobはテストコード生成を支援できる。

PP4iで追加される価値:PP4iでは、テスト計画作成、RPGUnit生成、テスト実行、カバレッジ取得、エラー修正支援までをIBM i 上で進められる。

得られる効果:品質向上、回帰テスト強化、安全な改修の実現につながる。

シナリオ5:実環境を活用したSQL最適化

課題:SQLの性能問題は、実行計画、インデックス、データ量に依存するため、コードだけでは判断しにくい。

IBM Bobでできること:IBM BobはSQLレビューや改善提案を支援できる。

PP4iで追加される価値:PP4iではIBM i Databaseモード、SQL Index Strategy Advisor、/review_SQL、/erdを組み合わせ、実環境の情報を使ったSQLレビューやインデックス検討ができる。

得られる効果:性能問題の早期発見、SQLチューニングの効率化、Db2 for i活用促進につながる。

PP4i活用Tips 

PP4iの活用を最適化する4つのTipsを紹介しよう。

Tips1:IBM i の文脈を積極的に渡す

PP4iはIBM i 環境を理解できるが、対象となるオブジェクトや状況を具体的に伝えるほど、より実践的な回答を得られる。図表9にプロンプト例を挙げる。

図表9 プロンプト例

Tips2:AGENTS.mdとRulesを整備する 

/initコマンドはアクティブワークスペース内をスキャンし、IBM Bobがすべての会話で永続的なコンテキストとして使用するAGENTS.mdという構造化された要約ファイルを生成する。

ワークスペース直下に配置されるAGENTS.mdはワークスペースの構造、規則、コードベースに関する知識をIBM Bobに与える方法なので、これに業務知識を追加する。

カスタム・ルールは、IBM Bobがタスクを処理する方法を決定する設定、制約、ガイドラインを定義することで、IBM Bobの動作を制御する。

ワークスペース・ルートの「.bob/」に「rules/」は「rules-(モード名)」には個社、またはプロジェクトごとの開発ルールを記述する。これにより、IBM Bobがワークスペースの前提を理解し、一貫した提案を行いやすくなる。

図表10にAGENTS.mdの例、図表11にulesの例を示す。

AGENTS.mdの例
図表11 ulesの例

Tips3:RAGを活かして最新情報を利用する 

IBM iでは、Technology Refresh、PTF、SQL Servicesなどが継続的に追加される。PP4iのRAGを活用することで、IBM Documentationを参照しながら最新情報に基づく支援を受けられる。図表12にプロンプト例を挙げる。

図表12 プロンプト例

Tips4:提案は必ず検証する

AIの提案は、そのまま本番へ適用するのではなく、開発環境で検証することが前提である。特にIBM iでは、プログラム本体だけでなく、ファイル定義、外部プログラムの呼び出し関係、運用ジョブへの影響も確認する必要がある。以下に確認内容を示す。

① 提案内容を理解する
② 開発環境でテストする
③ 必要に応じてレビューする
④ 変更内容を文書化する

 

PP4iの価値は、単なるコードアシスタントのような、コード・ドキュメント生成にとどまらない。IBM i 固有技術を理解し、既存資産の保守、改善、モダナイゼーション、技術継承を支援できる点にある。

IBM i開発では今後も、既存資産を守りながら段階的に進化させる取り組みが続く。PP4iは、開発者に置き換わる存在ではなく、IBM iを理解する人材の力を引き出す存在として活用することが重要である。

AIを活用しながら、長年培ってきたIBM i資産や業務知識を次の世代へ引き継ぐ。そのための有力な選択肢として、PP4iは今後ますます重要な役割を担うだろう(本稿の内容は2026年8月10日時点の情報に基づいている)。

[i Magazine・IS magazine]

 

著者
茂木 映典氏

日本アイ・ビー・エム株式会社
Power & Cloud事業部

著者
肥沼 沙織氏

日本アイ・ビー・エム株式会社
Power & Cloud事業部

特集 IBM Bob 

Part1 IBM Bob の現在地と提供価値 ~設計思想と主要機能・実行基盤 

Part2     IBM Bob Premium Package for i(PP4i)徹底解説 ~IBM i開発を変えるAI活用の実践ガイド

<前編>PP4iの概要 
<後編>PP4iが価値を発揮する活用シナリオ