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Watson Code Assistant適用の第1弾、「Ansible Lightspeed」をRed Hatが発表 ~生成AIによりAnsible Playbook用コードの作成を支援

Red Hatは5月26日、複数のサーバーやマルチクラウドの構成管理を生成AIによって支援する「Ansible Lightspeed with IBM Watson Code Assistant」(以下、Ansible Lightspeed)を発表した(米国発表は5月23日)。

Ansibleは、多数のサーバーや複数のクラウド基盤を統一的に制御するためのオープンソースの構成管理・自動化ツール。制御する定型業務(タスク)を、「Ansible Playbook」と呼ぶYAML形式のテキストファイルに記述し、それをAnsibleで実行することにより多様な制御を実現する。

今回のAnsible Lightspeedは、そのAnsible Playbook用コードの作成を生成AIによって支援するもので、Ansible Playbook用コードの作成を自然言語で指示すると、精度の高いコードが生成されて表示される、というもの。

「このサービスは、組織全体でより一貫性のある正確な自動化の導入を促進し、初心者ユーザーがタスクを自動化するのを容易にする一方で、経験豊富なユーザーのタスク作成の負担を取り除くことができるようにします」と、Red Hatはニュースリリースで述べる。またIBMフェローのルシール・プーリ氏は、5月23~25日に開催された「Red Hat Summit 2023」(米マサチューセッツ州ボストン)に登場し、「IBMには1万2000人以上の開発者がAnsibleを利用しているが、開発者間のスキルギャップに苦しんできた。そこでAnsible Lightspeedを利用したところ、担当して間もない技術者でもAnsible Playbookコードの60%を正確に書くことができた」と語った。プーリ氏によると、Red HatとIBMは「3年前から共同でAnsible Lightspeedの開発を進めてきた」という。

Red Hat Summit 2023では、Ansible Lightspeedの概要が紹介された。「Azure上のビッグデータをAWS上のGPUインスタンスを使って機械学習させるシステムの構成定義」という設定で、Azure側ではインスタンスのプロビジョニングとVPNクライアントの設定、AWS側ではVPNゲートウェイ接続の設定の様子を見せた(Red HatのChief Ansibleアーキテクト、マシュー・ジョーンズ氏らによるデモ)。

Ansible Lightspeed上(Visual Studio Codeの拡張機能)で、生成したいAnsible Playbookのタスクを自然言語で記述する(下図中「task:」下の「# -name: Create VM using vm_config var」)。

Ansible Playbook用コードが生成される(# -name: Create VM using vm_config var 行の下)。

選択し記述したコードが、コードとして誤りである場合、赤い波線で表示される。

赤い波線にカーソルを置くと、誤りの理由が表示される。

修正時にコードの候補が表示される。

修正されると、赤い波線は消える。

以上のようなインタラクティブな操作で、Ansible Playbookコードの作成を進められるという。

今回のAnsible Lightspeedに利用されているWatson Code Assistantは、IBMが5月に発表した新しいAIプラットフォーム「IBM watsonx」の中軸製品の1つで、自然言語による命令からコードを生成するツール。IBMでは発表時に、IBMの既存製品にWatson Code Assistantの適用を進め、各製品を高度化するとしていたが、第一弾がAnsible Lightspeedとなった。

Ansible Lightspeedは、2023年後半から提供開始の予定。

[i Magazine・IS magazine]

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