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IBM i要員不足・後継者問題への3つのアプローチ ~「IBM iを使い続けても大丈夫」と思えるように、自信と安心に満ちたメッセージを発信したい

IBM i市場で安井賢克氏の名前を知らない人はいない。同氏は過去20年近く「IBM iエバンジェリスト」として、IBM i市場の啓蒙・発展に貢献してきた。IBM iが企業システムの中核に位置しその役割を大きく広げてきた一端には、安井氏の尽力がある。しかしIBM iユーザーの多くは今、深刻な要員不足・後継者問題に直面している。その状況を安井氏はどのように見ているのだろうか。「BELLDATA フォーラム 2023」(11月16日(木)・21日(火)開催)でこのテーマのセッションのモデレータを務めるという安井氏に、話をうかがった。[Sponsored]

人材育成・確保に向けた
IBM i関連情報の発信に注力

―― 日本IBM時代、そしてベル・データに入られてからも、IBM iのエバンジェリストとして活躍されていますね。

安井 そうですね。ただ日本IBM時代は、エバンジェリストの仕事が業務に占める割合はせいぜい3割ぐらいと、外部からご覧いただく印象よりは少なかったと思います。残りの7割は米国本社と交渉したり、国内での販売価格を調整したり、IBM iの訴求・展開の仕方を考えたりと、いわゆるIBM iの製品企画という本来の業務に従事していました。ベル・データに入社してからは、その割合が逆転しています。つまり7割がエバンジェリストの仕事、残りの3割が日本IBM時代の製品企画業務に近い仕事といった感じでしょうか。

―― 日本IBM時代と現在では、エバンジェリストという仕事になにか違いはありますか。

安井 ベル・データに入社してからは、エバンジェリストとしてお客様との距離感がとても近くなった印象があります。それが大きな違いですね。お客様に近い距離で、課題やお悩みごとを伺ったり、お客様を取り巻く状況をダイレクトに感じながらご相談に乗ったりできるようになりました。

それからIBM時代はIBM製品が中心でしたが、ベル・データは自社独自の多彩なサービスやソリューションをご提供しており、ときには他社のサービス/ソリューションも扱います。そうした意味で、ベル・データではご提案の守備範囲が大きく広がった印象があります。

―― 11月16日に東京で、同月21日に大阪で開催されるイベント、「BELLDATA フォーラム 2023」では、IT部門の要員不足・後継者問題が重要なテーマです。これもエバンジェリストとしてお客様と会話されるなかで、実感されている課題ですか。

安井 要員不足と後継者不足というのは、厳密には少し異なる課題ですが、いずれにしても現時点で、そしてこの先を考えると、人的リソースの確保に課題がある点では同じです。人材不足はIT業界全般の課題ですが、オープン系とは少し異なる技術要素の多いIBM iの世界では、とくに顕著なテーマと言えますね。

―― そうした要員不足・技術者不足に関する相談について、どのような解決策を提案されているのですか。

安井 一言で要員不足・後継者不足と言っても、個々のお客様を取り巻く状況がそれぞれに異なるので、その解決策には大きく3つのアプローチがあると考えています。

1つ目は、IT担当者の業務を軽減することで、要員不足を解消し、DXなど本来の業務に傾注していただくこと。これにはサービスやソリューション/ツールをご提供して効率化・自動化を推進したり、アプリケーション保守サービスのように、社内要員で担当していたアプリケーションの保守を当社でお引き受けするといったアプローチが考えられます。

2つ目は、オープン系の技術者がIBM iの世界に容易に入ってこられるように、オープン系言語と親和性のあるフリーフォームRPGや、5250画面ではなくGUI画面でIBM iの運用管理を実行する「IBM Navigator for i」といったように、IBM iとオープン系の架け橋となるようなツールや技術の利用を推進するアプローチがあります。つまりオープン系からの技術者の流入を増やすことで、IBM iの人材供給プールを充実させ、IBM iの要員不足を解消しようというわけです。

そして3つ目は、オープン系技術者の流入や若手技術者の育成のためにも、IBM i関連の情報を今よりさらに充実させることが重要だと考えています。

―― ベル・データでは情報発信の柱の1つとして、IBM iの技術情報サイトである「e-BELLNET.com」を運営していますね。

安井 そのとおりです。私はその編集長的な立場にあるのですが、最近は2つのベクトルでコンテンツを充実させるように努力しています。

1つは、IBM iのベテラン技術者やスキルの高い開発者の方々に向けたコンテンツです。これは米国の著名なIBM i情報サイトであるIT Jungleの記事を翻訳して転載したり、お客様から当社に寄せられた技術的質問や問い合わせの中から、その回答を皆さんと共有すれば役立つと判断したコンテンツを中心に掲載しています。

もう1つは初心者向けのコンテンツです。サイトへのアクセス状況を分析すると、「IBM iとは」的な、初心者向け記事へのアクセスが高いことがわかってきました。若手の技術者、IBM iの経験が少ない開発者の方々は、こうした基本的なコンテンツを必要とされているようです。そこで昨年あたりから、意識的に初心者向けコンテンツを充実させるように努力しています。情報の提供と人材の確保・育成はコインの裏表のような関係ですから、要員不足を解消するためにも、今後ともe-BELLNET.comでの情報発信に注力していく予定です。

「IBM iを使い続けても大丈夫」という
自信と安心をもって

―― 要員不足に悩み、日々の運用や開発に多くの時間をとられる一方で、DXにも取り組まねばならない。IT部門を取り巻く状況は、切迫しつつありますね。

安井 そのとおりです。経済産業省が2018年に発表した「DXレポート~ITシステム『2025年の崖』の克服とDXの本格的な展開~」は、海外企業と比較してデジタル化が遅れがちな日本企業に対して、DXという概念を共有することで、警鐘を鳴らすという役割がありました。これは有効に機能しましたが、その一方で、「DXの推進に必要なのはレガシーシステムの解消である」という主張は、「DX=レガシーシステムの解消」という誤解を生むことにもなりました。

IBM iを利用するユーザーの方々の多くは、「レガシーシステムに分類されるIBM iを使い続けると、DXを実現できないのか」と悩みつつ、要員不足もあって迅速には動けず、一種の閉塞感が漂う状況に陥ったように感じています。

ちなみに経済産業省はこうした誤解を解消し、より本質的にDXを推進していくために、2020年12月に「DXレポート2」を発表して、「レガシーシステムの解消はDXの目的ではない」というメッセージを強く発信しています。

―― 「レガシーシステム、すなわちIBM iを解消しない限り、DXを実現できないのではないか」と悩むお客様には、何をどう伝えておられますか。

安井 私はまず、「冷静に考えましょう」とお話ししています。「IBM iの利用をやめないと、DXを実現できない」、というのはもちろん大いなる誤解ですが、そもそもインフラ環境とビジネス上の狙いを混同して考えることが、混乱を招く一因とも言えます。

インフラを先に考えるのではなく、ビジネスとしての狙いや目的は何かをまず考え、それに必要なインフラは何かという順序で考えていきましょうと、お伝えしています。それには当社のお客様の事例を交えながらお話しするのが、効果的であるように思います。

たとえばIBM iの基幹システム上で運用されている受注の仕組みとLINEをAPI連携して、新たなチャットボット発注システムを導入した日本サニパック様。あるいはIBM iの基幹システムとAWS間でデータをリアルタイムに連携し、AWS上のデータベースを介して在庫状況を連携することでECサイトのオムニチャネルに24時間365日で対応されたエムエルシー様など、いずれもIBM iの利用を継続したまま、DXと呼べる新しいシステムの運用に成功されたお客様の事例をお話ししています。

レガシーシステムは、とかくスケープゴートになりがちです。「レガシーシステムであるIBM iだから、うまくいかない」「いつまでもIBM iを使っているから、DXを実現できない」という思考に陥って、閉塞感とプレッシャーに苛まれているお客様も少なくありません。

そこで「BELLDATA フォーラム 2023」では、特にIBM i の人材不足という課題に対して取り組まれたお客様をお招きしてのセッションを含め、直近の解決策と今後の道筋を示すことで、「IBM iをこのまま使っていても大丈夫」という自信と希望をもっていただきたいと考えています。

―― 「BELLDATA フォーラム」は昨年から名称を変更されましたね。

安井 もともとは当社の製品やサービスをご利用いただているお客様に向けた「感謝の集い」という名前で開催していました。コロナ禍でやむなく中止にしていた時期をはさんで、今年で6回目を迎えます。昨年から「BELLDATA フォーラム」と名称を変更して再開することになり、今年初めて東京・大阪の2カ所で開催することになりました。

お客様が直面する課題に向けた解決策やヒントが得られる場として活用していただいきたいですし、先ほどもお話ししたように、「IBM iを使っていても大丈夫なんだ」という自信と希望をもって、胸を張って会社に帰っていただけるような、強いメッセージをお伝えしたいと思っています。

BELLDATA フォーラム 2023(東京・大阪)◎開催概要

IBM iの未来を共に描こう 今、私たちが次世代に向けてなすべきこと

日時

東京:2023年11月16日(木)
              15:00~18:30(受付開始14:30~/懇親会17:30~)

大阪:2023年11月21日(火)
              15:00~18:30 (受付開始14:30~/懇親会17:30~)

会場

東京:明治記念館
         東京都港区元赤坂2-2-23(地図) TEL:03-3403-1171

大阪:ANAクラウンプラザホテル大阪
         大阪府大阪市北区堂島浜1-3-1(地図) TEL:06-6347-1112

申込期限

東京:2023年11月 8日(水)まで
大阪:2023年11月13日(月)まで

定員

各100名(申込多数の場合、期限前に終了する場合があります)*1社2名まで参加可能

参加費

無料・事前登録制(懇親会を含みます)

主催

ベル・データ株式会社

協賛

日本アイ・ビー・エム株式会社

協力

アイマガジン株式会社

お申し込み

東京会場(11月16日(木)開催)はこちら

大阪会場(11月21日(火)開催)はこちら

プログラム

15:00~15:15

オープニング

15:15~15:45

基調講演:生成AIの衝撃!人工知能時代をどう生きるか
室山 哲也 氏
日本科学技術ジャーナリスト会議(JASTJ)会長/元NHK解説主幹

15:45~16:10

講演:ノウハウの仕組化による熟練者の知の継承
中村 航一 氏 
日本アイ・ビー・エム株式会社 テクノロジー事業本部
プリンシパル・オートメーション・テクニカル・スペシャリスト 

16:10~16:25

休憩

16:25~17:05

トークセッション:IBM iを未来につなぐために何をなすべきか
株式会社呉竹 管理本部 次長  永井 宏樹 様
アイマガジン株式会社 編集長 飯田 恭子 氏
ベル・データ株式会社 Power事業部  事業部長 上野誠也
           パワーシステム・エバンジェリスト 安井 賢克  

17:05~17:10

クロージング

17:10~17:30

休憩・移動時間

17:30~18:30

懇親会