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「BELLDATA フォーラム 2023(東京・大阪)」レポート ~2つの講演、4人のトークセッション、懇親会を密着レポート[PR]

ベル・データは、「BELLDATA フォーラム 2023」を2023年11月に東京と大阪で開催した。11月16日が東京・明治記念館、21日が大阪・ANAクラウンプラザホテルでの開催である。

同フォーラムは6回目の開催。従来は同社の顧客のみを対象としたクローズなイベントだったが、今回初めて一般のIBM iユーザーにも参加対象を広げオープンな開催とした。その結果は、定員100名のところ、東京では130名を超える申込数があり、早期に申込受付を終了した。また大阪も定員いっぱいの申込数があり、両開催とも盛況だった。

今回のイベントが活気のあるものとなった理由は、同社のビジネスの好調とイベント・プログラムにありそうである。今回のイベントをレポートしてみよう。

「BELLDATA フォーラム 2023」プログラム 

「BELLDATA フォーラム 2023」は、東京・大阪とも次のプログラムで開催された。

・オープニング
・基調講演:室山哲也氏「生成AIの衝撃!人工知能時代をどう生きるか」
・講演:中村航一氏「ノウハウの仕組化による熟練者の知の継承」
・トークセッション「IBM i を未来につなぐために何をなすべきか」
・懇親会

オープニング ~“ドラマチックな”ユーザー動向  

オープニングに立ったベル・データの鈴木明一氏(代表取締役社長)は、9月末に終了した同社の33期業績について触れ、同社の取り組みから見えるユーザー動向に話を進めた。

鈴木 明一

ベル・データ株式会社
代表取締役社長

同社の33期は売上高108億円で過去最高、増収増益の結果だった。導入・構築したシステム数は161件。内訳はオンプレミスが135システム、同社のクラウドサービス「Power Cloud for i」が25システムで、「クラウドサービスのご利用が年々増えてきています」と、鈴木氏は話した。

また「シンプルな移行やリプレースではなく、ドラマチックなシステム移行が増えてきました」と言い、次のように参加者に語りかけた。

「あるお客様は、IBM iをせっかくリプレースするのだから周辺のオープン環境もあわせて改築したいというご意向をお持ちで、オープン環境を仮想基盤へと全面的に切り替えました。また別のお客様は、IBM iのリプレースと同時にバックアップ環境の見直しも行い、統合バックアップ環境を導入されています。さらに別のお客様は、基幹システムと部門システムとの連携性を高めたいとのご要望で、リプレースにあわせて当社のほうで各システムをAPIでつなぐ環境を構築させていただきました。ほかのお客様でも、さまざまなドラマがありました」

しかし鈴木氏は、「お客様のご要望の中には簡単には解決できない課題も多々ありました」とも語り、次のようにオープニングを締めくくった。

「1年を振り返ると、お客様と一緒に何とかやってこれたというのが正直な実感です。これからもいろいろなことにチャレンジしながら少しずつ成長していき、お客様のお手伝いができればと思っております」

AIをめぐる2つのセッション ~AIと人の共生、暗黙知の仕組み化

セッションは、AI関連の2つのセッションと後継者問題をめぐるセッションの3つで構成された。

AI関連のセッションは、室山哲也氏の基調講演「生成AIの衝撃!人工知能時代をどう生きるか」と中村航一氏の講演「ノウハウの仕組化による熟練者の知の継承」の2つ。

室山氏は、日本科学技術ジャーナリスト会議(JASTJ)会長で、以前はNHK解説主幹として科学番組や「クローズアップ現代」などのディレクター/プロデューサーを務めた経歴をもつ。

室山 哲也

日本科学技術ジャーナリスト会議(JASTJ)会長
元 NHK解説主幹

室山氏の講演テーマは、日々刻々と変化するAI環境の中で、「人はAIにどう向き合うべきか」というもの。室山氏はAIの驚異的な進化とAIがもたらす負の側面(バイアス、フェイク、非倫理など)についてさまざまな話題を紹介し、AIを統御し得るのは人間しかなく「人が目標設定し、AIが情報提供を担えば、最強のチームになる」という結論を語った。室山氏の講演は、脳科学の最新の成果や20万年に及ぶ人間の心の進化なども援用するスケールの大きな講演で、参加者を魅了した。

もう1つの講演は、中村航一氏の「ノウハウの仕組化による熟練者の知の継承」。中村氏は日本IBMテクノロジー事業本部でプリンシパル・オートメーション・テクニカル・スペシャリストで務める人。ソフトウェアの製品開発やテクニカルセールスをリードしてきた経歴をもつ。

 

中村 航一 

日本アイ・ビー・エム株式会社
テクノロジー事業本部
プリンシパル・オートメーション・
テクニカル・スペシャリスト

中村氏の講演テーマは、生産年齢人口が減少の一途をたどる中、喪失の危機にある熟練者の知見・ノウハウを「いかに継承し共有化するか」というもの。ただし中村氏によると「熟練者の知の収集はそう簡単ではなく、困難な状況にある」という。

そこで中村氏が着目するのが、トラブル時の熟練者の対応履歴である。その膨大なログをプロセスマイニングしAIによって形式知化することによって「熟練者の暗黙知を形式知へと変えることが可能になります」と、中村氏は解説した。

IBMでは現在「次世代デジタルレイバー」と呼ぶwatsonx Orchestrateを推進している。生成AI(watsonx)と各種自動化ツール(RPAなど)を統合したソリューションで、エンドユーザーは次世代デジタルレイバーとチャットで会話し、ナビゲーションによって業務を進める。これによりエンドユーザーは業務の大幅な省力化と効率化を図れるという。

中村氏のメッセージは、このデジタルレイバーと形式知化した熟練者の知を統合することにより、熟練者の知の継承と仕組み化が一挙に解決するというものだった。中村氏はそのデモを「製造現場におけるトラブル対応」というユースケースで紹介した。参加者はそこに、どの企業にも存在する知の継承問題の解決策を見たのではないかと思われる。示唆に富む中村氏の講演だった。

トークセッション ~IBM iの要員対策と後継者問題

3つ目のトークセッション「IBM iを未来につなぐために何をなすべきか」は、IBM iの要員対策と後継者問題をテーマに、モデレータ役の安井賢克氏(ベル・データ パワーシステム・エバンジェリスト)と3人のパネラーとの掛け合いで進められた。

パネラーは、株式会社呉竹の永井宏樹氏(管理本部 次長)、i Magazine編集長の飯田恭子氏、ベル・データの上野誠也氏(Power事業部 事業部長)の3氏。永井氏はユーザー、飯田氏はメディア、上野氏はベンダーという組み合わせである。またモデレータ役の安井氏はIBM時代から20年近くIBM iのエバンジェリストを務めてきた人で、IBM i市場では最も知られている一人だ。

安井 賢克 

ベル・データ株式会社
パワーシステム・エバンジェリスト

今回のテーマであるIBM iの要員不足と後継者問題は、IBM iユーザーにとって大きなテーマである。その中で、ひときわ光る取り組みを推進しているのが呉竹である。

永井氏は、「システム部門にはITを活用して継続的に付加価値を創出するというミッションがあり、各部門ではデータをつないで業務に価値を生み出すという会社の方針が実践されています。そのためIT人材の確保は全社的な取り組みの1つで、会社の風土として定着しています」と語った。

永井 宏樹 

株式会社呉竹
管理本部 次長

一方、安井氏が呉竹の取り組みで注目したのは、システム部員の数である。社員268名のうち13名がシステム部員という。実に社員の5%にあたる数である。

ただし永井氏は、「要員数は比較的多いほうだと思っていますが、それでも要員対策については課題がまだまだあると考えています」と語り、次のように続けた。

「10年ほど前ならば基幹システム関連の要員対策だけで済んでいました。しかし最近は基幹システム周辺のサブシステムやWeb周りの導入が非常に多くなり、要員対策として取り組むべき課題が増えています」

この永井氏の問題意識をデータで示したのが飯田氏の報告である。
飯田氏は、i Magazineが今年7~8月に実施した「IBM iユーザー動向調査2023」の結果を示し、システム要員の不足が年々深刻化していることを指摘した。また集計結果の2位~8位に並ぶ「企画・立案力の不足」「IBM iスキルの不足」といった項目に着目し、「システム要員の絶対数の不足と並んで、知識やノウハウ、情報の不足に悩んでおられるIBM iユーザーが多いことも実感しています」と述べた。

飯田 恭子

アイマガジン株式会社
取締役
i Magazine編集長

飯田氏によると、IBM iユーザーのシステム部門は3つの層に類型化されるという。1つは「一人情シス」「ゼロ情シス」という要員数が少なくシステム業務をアウトソーシングする比率の高い層、もう1つはその対極にある、内製主義を貫き、自社で要員育成を推進する層、3つ目は上記2つの中間にあり、ボリュームのある開発は外部に委託するものの、アプリケーション保守は自社で行うという層である。

飯田氏は、「今最も深刻な悩みを抱えているのは、RPGアプリケーションの保守を担ってきたベテランが退職し、若手も育っていない3つ目の中間層ではないか」と問題提起した。

上野氏はこの飯田氏の発言を受けて、「確かにアプリケーション保守サービスのご利用は年々増え、当社では昨年、31社のお客様にご成約いただきました。現在144社のIBM iユーザー様がアプリケーション保守サービスをご利用中です」と応じた。上野氏によると、フリーフォームRPGやIBM i技術に関する教育・研修サービスも利用が伸びているという。

上野 誠也

ベル・データ株式会社
Power事業部 事業部長

飯田氏はまた、「要員不足をカバーする手法には4つある」と、メディア活動をとおして得た知見を披露した。その4つとは、アウトソーシング、要員の育成、自動化、そしてAIの活用である。ただし4つ目のAIの活用は、「生成AIがRPGプログラムを生成してくれるまでは、まだちょっと時間がかかりそうです」と付け加えた。

安井氏はここで「内製化」に話題を転じた。内製化は自社要員の充実が大前提としてあり、要員対策の取り組みが必須となる。

内製主義を貫く呉竹の永井氏は、「会社の強みである独自性をシステム化する際は内製主義で取り組むべきで、外注前提では難しいと考えています」と話す。またその取り組みと並行して、IT部門と業務部門との人材交流を積極的に進めています」とも語った。

「IT部門から業務部門へ、業務部門からIT部門へという人材交流を進めるメリットは、業務部門のITリテラシーが高くなるという点です。アプリケーション開発をする際もITリテラシーの高い業務部門メンバーと設計できることはIT部門にとって力になりますし、業務部門にとっても大きなメリットです。システム部門のメンバーには、システム化のための情報は現場にしかないということを常々伝え、生産や販売、業務部門の人たちとの交流を勧めています」(永井氏)

要員問題に悩むユーザーを支援する立場の上野氏も、「内製化は望ましい方向」と話す。ただし上野氏が指摘するのは、「内製化を推進できないIBM iユーザーが非常に多い」という現状だ。

「内製化を望ましい方向と考えても、すべてのお客様が実現できるわけではありません。そこには大きなハードルがあり、人がいないという問題や、いたとしても要求されるスキルに合致しないという問題、そして限られた期間内にシステムを構築しなければならないという時間の問題もあります。私たちはお客様のお困り事の受け皿となるためにさまざまなご提案をしますが、お客様が内製化できないとしてもお客様独自のDXを進められないとはまったく考えていません。お客様は企画、私どもは開発・運用といった分業によってDXを前へ進められると思っています」(上野氏)

今後の課題について永井氏は、「人材育成は時間がかかるので、腰をすえて取り組んでいくことが重要です。その一方で、テクノロジーやビジネスの環境変化が急なので、それに追従していくためにしっかりアンテナを張っていくことが大事だと思っています」と述べた。

また上野氏は、永井氏の「環境の変化」という言葉を捉えて、「私どもベンダーに求められる役割も少しずつ変わってきていると感じています」と語り、次のように続けた。

「私どもベンダーに以前求められていたのは、お客様の潜在的な課題を掘り起こして気づいていただくことでした。しかし最近のお客様はある程度、自社の課題に気づいておられます。それはネット上に同業他社や自社に近い業態・規模の企業の情報があふれているからですが、ところがその課題を自社に置き換えたときに、どこから手をつけてよいかわからないというお客様が非常に多くおられます。私どもは今、お客様に寄り添い、お客様の伴走者になることが求められていると痛感しています」

トークセッションは安井氏の軽快なモデレーションもあって、あっという間に40分間が過ぎた。要員対策と後継者問題をめぐって、ユーザー、メディア、ベンダーそれぞれの視点・知見・取り組みが交わされた充実したセッションだった。

懇親会 ~豪華な料理と会話に花が咲く

セッション後の懇親会は、東京、大阪とも来場者の約7割が参加し、豪華な料理が並ぶ中で、大盛況の会となった。ユーザー同士で名刺交換する人、旧知の顔との再会を喜ぶ人、ベル・データの社員・役員と歓談する人、自社の課題を相談する人などさまざまで、中締めまで賑わいが続いた。

◎参考情報

株式会社呉竹

呉竹は1902(明治35)年創業で、今年121年目。1958年に液体墨(墨汁)、63年にサインペン、73年に「くれ竹筆ぺん」を開発し、筆記具分野に数々の革命を起こしてきた企業でもある。現在は「アート&クラフト」をコンセプトにしたクラフト事業や化粧品分野へ進出し、多角化を進めている。

企業サイト:https://www.kuretake.co.jp/
kuretakeコスメ:https://www.okesho-fudepen.jp/
kuretakeコスメOEM:https://www.kuretakezig.us/cosmetics-jp

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アイマガジン株式会社

季刊誌i Magazineは創刊24年目を迎えた。季刊誌のほか、メルマガ(i Mag Mail)、i Magazine Daily Webを展開している。

i Magazine Daily Web:https://www.imagazine.co.jp/

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ベル・データ株式会社

1991年創業で、33年間増収増益を続けている。オンプレミスとクラウドのインフラ事業をベースに、システム構築・運用・保守・監視などのサービスをトータルに展開している。

Webサイト:https://www.belldata.com/
IBM i技術情報サイト「e-BELLNET.com」:https://www.e-bellnet.com/
メルマガ「e-BELLNET」:https://www.e-bellnet.com/mailmaga/subscribe.html

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