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事例|伊藤忠丸紅鉄鋼株式会社

POINT

・倉庫の5250端末環境の改善を検討
・5250の仮想デスクトップサービスを採用
・「UT/400-iPDC」でPDF化した出荷指図書を倉庫へメール送信

 

仮想デスクトップサービスで
倉庫の端末環境を効率化

2001年10月、伊藤忠商事と丸紅の鉄鋼部門を分離・統合することで誕生したのが、伊藤忠丸紅鉄鋼である。

2つの巨大総合商社が展開する地球規模のネットワークを活用し、国内・海外に100を超える拠点、事業会社、数万社にのぼる取引先を擁する。

国内外の自動車メーカーや部品メーカーに自動車用鋼板、電磁鋼板、ステンレス、特殊鋼などを供給。その一方、エネルギー分野には石油・ガス等の輸送用パイプライン、掘削用の油井管、プラットフォーム用の構造鋼管を、国内外の造船メーカーや重電メーカーには30万トン級の超大型タンカーやコンテナ船などの厚板を、さらに家電メーカーには薄板鋼板をはじめとする鋼板類、条鋼類など。鉄鋼流通のエキスパートとして、多種多様な分野に「産業のコメ」である鉄を供給している。

伊藤忠商事と丸紅双方の鉄鋼部門が部門サーバーとしてSystem iを使っていた経緯もあり、同社は統合後も、2系統のシステム運用を続けてきたが、2009年に導入した8203-E4A上で統合。現在は2つのLPAR上で、主に内の物流を管理するシステムと、海外向けおよび鉄鋼メーカーとのEDIを管理するシステムを運用している。

IT企画部が、倉庫業務を管理する物流システムで出力する出荷指図書のPDF化を検討し始めたのは、昨年暮れのことである。きっかけは、秋田で新たに倉庫業務のオペレーションがスタートすると決定したことにあった。

同社では一部の特殊鋼については、全国7拠点の倉庫会社と提携して入出庫や保管業務を行っていたが、2010年4月に、8カ所めの倉庫が秋田で業務を開始することになった。入出庫に関する業務を支援するため、同社では各倉庫会社に5250エミュレータを搭載したWindows PCと5577系プリンタを各1台ずつ導入していた。これらの機器類については、ダイヤルアップ回線で使用する通信コストを含めて、伊藤忠丸紅鉄鋼側がコスト負担している。「しかしPCの不具合で本社からサポートに向かうケース、あるいは機器の入れ替えやOSのバージョンアップが必要になる場合もあり、少なからず運用管理負荷が発生していました。そのため秋田の倉庫への導入に際しては、もっと効率的な端末環境を実現できないか検討することになりました」と語るのは、IT企画部営業システムチームの木内正文チーム長代行である。

同社が着目したのは、丸紅グループが提供する仮想化デスクトップサービス「VIRTUATOP(バーチャトップ)」である。

このサービスでは、同グループが運営するデータセンターのPCサーバー上に、5250環境を含む伊藤忠丸紅鉄鋼のシステム運用に必要なデスクトップ環境が用意されている。

各地の倉庫会社は、自社が保有するPCを使ってインターネット経由でURLにアクセス。IDとパスワードを入力すると、5250環境がそのPC上で利用可能になるという仕組みだ。シンクライアント型でデスクトップ環境を利用する一種のクラウドサービスであり、倉庫側に5250エミュレータや専用プリンタを導入する必要が一切なくなるのが利点である。

木内 正文 氏 IT企画部営業システムチーム チーム長代行
木内 正文 氏
IT企画部営業システムチーム チーム長代行

 

スプールファイルのPDF化で
拠点サイドの印刷ニーズに対応

VIRTUATOPは1台ごとに固定の使用料が発生するが、同社では各倉庫会社への機器類の導入や通信コストと比較して、コスト削減効果を十分に見込めると判断した。さらに、各種のサポート業務からも解放されるメリットを評価して、採用を決めた。ただしこの時、倉庫業務では紙への出力が不可欠である出荷指図書の印刷をどうするか、という問題が浮上した。

「いくつかの手段を検討した結果、IBM i上のスプールファイルをPDF化し、メールに添付して送信すれば、各倉庫会社のオフィスプリンタで印刷できると考えました。そこでスプールファイルをPDF化するツールを検討し始めたわけです」(木内氏)

複数のツールを比較検討した結果、今年2月、国産製品であり、伊藤忠グループや丸紅グループなどに導入実績のある「UT/400-iPDC」と、「UT/400メール配信オプション」の採用が決定した。

同社ではこの機会に、項目数を増やすなど以前から寄せられていた要望を満たすべく、帳票フォームを一部変更しようと考えていた。また従来は5枚の連続帳票に印刷していたが、倉庫会社によって必要とされる帳票の枚数も異なるため、各拠点のニーズに応じてカスタマイズする必要も生じていた。

UT/400-iPDCはスプールファイルからPDFを生成する機能性に優れるほか、フォーム設計機能や複写伝票からの移行機能などをサポートしており、さらにPCサーバーを必要とせず、すべてIBM i上で完結できる点も評価したという。

その後、4月に予定されていた秋田倉庫の稼働と同時に、VIRTUATOPとPDFファイルの運用をスタート。それから順次、各拠点への導入を進め、今年9月に最後の拠点での導入が完了した。現在は出荷指図書のほかにも、倉庫業務で利用する別の帳票類もやはり同じ仕組みでPDF化し、メールで送信している。

同社では、社内の端末運用環境は現状を維持するが、例えばシステムのメンテナンスを担当する保守会社が、リモートでアクセスする場合など、倉庫会社以外にも仮想デスクトップサービスが利用できるのではないかと検討を始めている。

今後、5250の仮想デスクトップサービスの利用拡大に従って、IBM iのスプールファイルをPDF化するニーズも高まっていくことになりそうだ。

 

COMPANYPROFILE

設立:2001年
本社:東京都中央区
資本金:300億円
売上高:1兆4007億2700万円(連結、2010年3月)
従業員数:7800名(連結、2010年4月)
http://www.benichu.com/