事例|クリエートメディック株式会社

POINT

・「noMAX garrison」の導入で二重化体制を構築
・年2回の切り替え訓練で作業の習熟と手順の見直し
・決定から約2時間でバックアップ機へ切り替える

年2 回の切り替え訓練で
作業ステップを最小限に

クリエートメディックは、生体適合性に優れ、違和感や苦痛が少ない素材であるシリコンを用いた医療製品を幅広く取り扱っている。

中核となるのはカテーテル。導尿に使用されるフォーリーカテーテルなどの泌尿器系製品や、腸閉塞に使用されるイレウスチューブといった消化器系製品などを中心に、100 以上のアイテムを揃える。シリコーン製品が中心のカテーテルメーカーは国内に数社しかなく、日本初と称される多くの製品を生み出し、また海外でも高い評価を得ている。

システム/36 時代からのIBM iユーザーであり、現在は2011年5月に導入したBladeCenter PS700 上で販売管理システムを利用している。このブレードサーバー上では、IBM iのほかに2台のWindowsブレードも運用中だ。

また2007 年春からは、HAソリューションとして「*noMAX garrison」(現・Maxava HA ENTERPRISE、マキシマム・アベイラビリティー)を導入。本社にある本番機と、北九州に設置したバックアップ機(9406-520)を接続し、リアルタイムにデータを同期させる二重化体制を構築している。

「有事の際も供給を停止できない医療器具を扱う会社の使命として、災害対策の重要性は認識してきました。当社においても、被災時の被害の想定や事業継続に関する啓蒙等を通し、時間をかけて検討・計画した結果、2007 年に二重化体制を確立できました」と、導入の経緯を語るのは、豊巻新氏(管理統括部情報システム室 課長代理)である。

豊巻 新 氏 管理統括部 情報システム室 課長代理
豊巻 新 氏
管理統括部 情報システム室
課長代理

システムの導入・運用を支援するトッパンエムアンドアイから*noMAXgarrisonの提案があり、導入作業はベル・データが担当した。当時の本番機である9406-520 に対し、有事はユーザー数を減らした縮退運転を前提に、3 分の2 程度にスペックダウンしたもう1台の9406-520を、当時竣工したばかりの新しい物流センター(北九州市)に導入している。

「それ以降、毎年5 月と10 月の2 回、情報システム室のメンバー全員と物流センターの運用担当者で切り替え訓練を実施してきました。訓練のたびに、切り替えステップを最小限に絞り込めるよう、何度もマニュアルを見直してきました」(管理統括部 情報システム 室 船山真一主任)

その成果が存分に発揮されたのが、 3月11日のことである。

船山 真一 氏 管理統括部 情報システム室  主任
船山 真一 氏
管理統括部 情報システム室 
主任

出張先の大連から
バックアップ機への切り替え指示

東日本大震災が発生した時、豊巻氏と船山氏は、中国・大連にあるグルー プ会社に出張中であった。地震発生の ニュースはほどなく現地にも伝わり、 2人は日本と連絡をとろうと試みるが、 横浜市にある本社とは全く電話が通じ ない。

その頃本社では、地震直後から停電が続き、IBM iを含むサーバー群も全 て利用できなくなったため、午後5時には社員全員に帰社命令が出ていた。

豊巻氏は、時折通じる携帯電話で本社の社員と話し、状況把握に努めた。 情報が不足する中、北九州の物流セン ターの運用担当者から、本社との通信 が途絶し、基幹業務が不能に陥ったとの一報が入り、不確定な状況が決定的 となったため、情報システム室の責任者として、日本時間の午後4 時、バッ クアップ機への切り替えを決断する。

実際の切り替え作業は、物流センターの運用担当者がバックアップ機側で実施することになった。担当者は前年に異動したばかりで、切り替え訓練も1 度しか経験していない。船山氏は 北九州の物流センターに対し、災害対 策用に配備した切り替え用マニュアル の確認指示を皮切りに、訓練に沿って作業を進める担当者をサポートし、必要に応じて判断を行いながら、約2 時間で切り替え作業を終了した。

午後6 時、物流センターの担当者から全国の営業所・物流センターに対 し、バックアップ機切り替えの通知と、午後6時に11日の業務を締める旨が伝わった。同社では災害対策用セッ ションをアイコン化しており、エンド ユーザーはそのアイコンをクリックすることで、アクセス先がバックアップ機へ切り替わるようになっている。

縮退運転のため、ユーザー数は通常 の3 分の1 程度。販売管理システムの 運用部門である営業・物流部門が中心 で、1 営業所で3 ユーザー程度が利用 できるようになっている。

その時以降、本社が計画停電の実施 地域に含まれていたこともあり、4 月末までこのバックアップ機での運用が 続いた(ただし本社エリアの計画停電 は結局一度も実施されなかった)。

この間、本来の本番機は停止してい たが、5 月にブレードサーバーへの移 行が予定されていたため、まず4 月末 にバックアップ機から本番機へ業務終 了時点でバックアップした同期対象データを復元し、バックアップ機は停止状態のまま本番機に切り戻した。

さらに5 月に入って、バックアップ 機側のOSをIBM i 6.1 へバージョン アップして同期を開始。そして5 月21 日に本番機側を、IBM i 6.1 を搭載し たブレードサーバーに移行した。

地震発生から約3 時間程度で、業務 の再開を果たした今回の切り替えは社 内から、とくに経営層から高い評価を 受けている。

豊巻氏は、作業ステップの習熟と見直しで、切り替え時間を40 分程度に 短縮したいと、今後も作業の効率化を図っていく方針だ。

また現在は本社経由でインターネット回線を利用するため、本社の停電に より全拠点でインターネットの利用が 停止した。同様にノーツ/ドミノサー バーも停止したので、メールの利用も できなくなった。そのため今後はイン ターネットルータやノーツ/ドミノ サーバーの二重化に着手し、災害時の コミュニケーションの維持に取り組み たいとしている。img_56e7a04462cd0

 

COMPANY PROFILE

設 立:1974年
本 社:神奈川県横浜市
資本金:14億6100万円(2010年12月期)
売上高:90億9700万円(同上)
従業員数:674名(同上)
http://www.createmedic.co.jp/