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事例|タカラ化成工業株式会社

POINT

・IBM i上で生産計画システムを開発
・RPGのスキルを活かせるSOFLA iを採用
・アジャイル型の開発を1人で遂行

生産計画のパッケージ製品を
オープン系で検討するも断念

一般的なガスインジェクションをはじめ、金型にガラスをインサート成形して行うガラスインサート成形、大型ガラスに圧力をかけず樹脂モールを接着するCSE。さらにフィルムインサート成形や二色成形など、タカラ化成工業は多彩な成形技術を用いて、高品質で意匠性の高い自動車内外装部品を提供する。

上記の射出成形技術に塗装などの二次加工を組み合わせることで、車の窓枠やサイドバンパー、ギアノブ、ドアアウターモールなど多数の自動車部品が生み出されている。

同社は販売管理システムや生産管理システムなどの基幹システムを長く、AS/400 上で運用している。今年7 月には、POWER7 プロセッサを搭載した最新のPower 720へ更新するとともに、IBM i 6.1へリプレースした。

基幹システムを含むシステム運用全般を担うのは、管理部管理課情報システム係の杉浦秀和氏。RPGプログラムの修正・追加、現場部門からのデータ作成のリクエストなどに対応し、さらにPCのメンテナンスやネットワークの管理など、ITにかかわる全業務をたった1人で担当している。

エンドユーザーのIT活用をサポートするのも杉浦氏の役割だが、数年前から課題になっていたのが生産計画であった。生産管理部門では、自動車メーカーから生産量の内示を受け、月間の材料計画や稼働計画、さらにそこから週単位の計画に展開する作業を、2 名の担当者がExcelを利用して行っていた。

しかしExcelで処理するデータは次第に容量が増え、1 ファイルが100MB以上に膨らむことも珍しくない。ファイルを開くにも、簡単なコマンドを処理するにも長い時間がかかるようになり、何とか作業効率を改善したいという要望が寄せられていた。

そこで杉浦氏は上長に相談し、2009年頃からWindows上で稼働する生産計画システムのパッケージ製品を調べ始めた。しかし当時、市販されていたパッケージ製品の多くは受注生産が主体で、ある程度の見込み生産を前提に、メーカーから直近3 カ月の内示を受けて生産計画に展開する同社の要件 に合致するものはなかなか探せなかっ たという。

また比較的要件に近い製品でも、導 入するにはかなりのカスタマイズ作業 が必要となり、最終的な導入コストが 高額になることも判明した。

杉浦 秀和 氏 管理部 管理課 情報システム係
杉浦 秀和 氏
管理部 管理課 情報システム係

 

SOFLA i を使い
生産計画システムを1人で開発

生産計画システムの導入はこうした 理由で2010 年の初頭に、いったん見送られたが、それが復活したのは、 2011年1月に発表された今年度の会社方針の中で主要な業務改革の1つに、 生産計画システムが挙げられたのがきっかけである。

会社方針の中では、作業効率の改善に加え、属人化しがちな生産計画業務の標準化を進めることが重要であると示された。担当者の長期不在・交替・異動などが発生した場合でも、別の担当者がスムーズに業務を遂行できるよう、作業をマニュアル化・見える化しようという狙いである。

再び製品検討をスタートさせた杉浦氏が注目したのは、RPGのスキルのみで、GUI画面を開発する統合開発ソリューション「SOFLA i」(アイ・シィ・アール)である。

「今回は、オープン系のパッケージ製品を使わずIBM i上で、かつ開発を外部に依頼せず自社で、つまり自分1人で開発することを前提に検討を進めました。作成に際して、5250エミュレータの画面制限がネックになりましたが、新しい言語やWebの知識などのノウハウ習得に時間をかける余裕はありません。そこで画面イベントをSOFLA i側で開発・制御し、今までと同じようにビジネスロジックをRPGで開発するだけのSOFLA iなら、この問題を解決できると考えたのです」 (杉浦氏)

SOFLA iは、端末側にScreen Generator3 と呼ばれる画面表示モジュールを搭載し、IBM iの画面定義情報をSOFLA iサーバーモジュールを経由してScreen Generator3へ送信。また端末側の入力情報は、やはりSOFLA iサーバーへのイベント信号として通知 する。

そのため今までのRPG開発ノウハウを基本に、簡単にGUI画面が開発できる。

またブラウザのように画面操作の制限がなく、リッチクライアント並みの画面が作成できると同時に、CtrlキーやFキーなど5250画面のキー入力を再現した操作性を継承できるなどの特徴も評価され(5250画面で操作してきた担当者の違和感を解消できるため)、2011年3月に導入が決定した。

それからSOFLA iの操作講習を1日受けただけで、杉浦氏の開発作業が始まったのである。RPGでの開発は月間生産計画、稼働計画、材料計画、週間生産計画の4ステップに分かれ、 合計5枚の画面をSOFLA iで作成した。出力画面への転送プログラムはSOFLA iの手法となるものの、使い慣れたRPGのみで開発を進めてきた。

また杉浦氏は開発作業と並行しながら2名の生産計画担当者と毎週ミーティングし、その都度要件を定義し、 作成した画面を見ながら修正点を加えるというアジャイル型の開発をベースにしているという。

年内には開発が終了し、約3カ月の稼働テストを経て、来春には新しい生産計画システムが稼働する予定だ。

SOFLA iでは、画面に表示されたデータを右クリックメニューから、そのままExcelへダウンロードできるようになっている。こうした機能を使えば、データ分析の幅が広がり、今まで寄せられたデータ作成のリクエストも減らせるのではないかと、杉浦氏は期待している。img_56e7a04462cd0

COMPANY PROFILE

設 立:1962年
本 社:愛知県西尾市
資本金:4375 万円
売上高:45億円
従業員数:160名
http://www.takarakasei.com/

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