本社:東京都中央区
創業:1908(明治41)年
設立:1927(昭和2)年
資本金:4000万円
従業員数:105名
概要:電気絶縁材料・電気機械器具・FA機器・建築材料・化学製品、産業機械器具の販売、電気設備工事
https://www.sugawaradenki.co.jp/
創業117年の伝統とブランド力で
3つの事業を推進
菅原電気は、1908(明治41)年に産声をあげ、今年で創業117年目を迎えた歴史のある会社である。1910年代に電気絶縁材料の製造をわが国で初めて開始し、その後は電機電子材料の販売や電気工事へとビジネスを広げ、現在は、電機・電子・情報部品の販売、産業資材の販売、電気設備工事の3つを柱として事業を展開中である。
代表取締役社長の二宮保氏は、同社の特徴について次のように説明する。
二宮 保 氏
代表取締役社長
「お客様が大手企業中心であるため安定した経営を長く続けていること、良質な製品の安定的な提供によりお客様から厚い信頼を得ていること、そして100年以上不祥事を起こしたことがないという確かな信用が、当社の大きな特徴と言えます。当社は伝統とブランド力によってビジネスを展開しています」
また同氏は、「当社は『人は人の為に、能力を精一杯発揮しよう 会社の発展は私たちの幸福と一致し社会に貢献できる』を経営理念として事業を推進しています」とも語る。
同社は1990年代後半に基幹システムの構築に取り組んだ。そのときはAS/400(IBM i)を導入し、ベンダーに委託してスクラッチで開発したが、「本番稼働に入ってから不具合が頻発し、その修正にも時間がかかるという問題の多いシステムでした」と、執行役員の田中義彦氏(総合管理本部本部長)は振り返る。
田中 義彦 氏
執行役員
総合管理本部
本部長
そこで、基幹システムを抜本的に構築し直すこととし、「顧客満足度の向上」をテーマに検討を進めることになった。2003年のことである。
同社の販売事業は、商品アイテム数が非常に多く、顧客や販売数によって取引条件が異なるという特徴がある。そのため受注処理や在庫・出庫管理などが複雑かつ煩雑で、システムによる作業の効率化や、正確性とスピードの向上が期待されていた。
実際、以前のシステムでは「支店間取引」で在庫数が合わないことがあり、大きな問題になっていたという。
同社が新しい基幹システムのベースとして選択したのは、クレスコ・ジェイキューブの基幹業務パッケージ「TREE」である。
選定の理由を田中氏は、「当社の複雑な業務処理に対応する機能を備えていたことと、数多くの安定稼働の実績、導入後の継続的なサポートを重視しました。その中で特には、私どものお客様や取引先がTREEを活用して大きな効果を上げていたことが決め手になりました」と語る。
導入後、支店間取引で懸案となっていた課題は、TREEの「複数倉庫在庫」機能によって解決したという。
TREE最新版で
デジタルビジネスの基盤を整備
同社は2022年にTREEをバージョンアップし、基幹システムの大幅な拡充を行った。2004年の導入から約20年が経過し業務部門からさまざまな要望が出されていたのと、2023年施行のインボイス制度への対応が課題としてあったからである。また、リプレースを予定していたPower10サーバーに、それまで取引先とのデータ交換に使用していたダイアルアップ用モデム(FAX)が搭載されないことも、対応機能をもつ最新バージョンへの移行の決め手になったという。
同社では、TREE最新版(2023年版)への移行に先立ち、社員全員に「システムに対する要望」に関するアンケートを実施した。アンケートを担当した佐藤健史氏(総合管理本部 IT総合企画室 課長)は、その結果を次のように話す。
「回答率が高かったのは業務別では『受注』で、『発注』『出荷・売上』『売掛・請求』が続きました。また要望別では、『運用効率』の改善を求める声が多く、『データ桁数の拡張』『操作性の改善』にも多くの回答がありました。TREEの機能やオプションの選択はこのアンケート結果を参考に絞り込みました」
佐藤 健史 氏
総合管理本部
IT総合企画室
課長
TREEの2022年版では画面が従来の1.8倍になり、より多くの情報が1画面に表示可能になるなど基本機能が大幅に拡張された。またデータベースの管理項目の拡張や在庫品発注の自動化、納品書の一括発行などの機能強化も行われた。
同社ではTREEの移行に際して、多数のオプションを採用するとともに(図表)、カスタマイズにより複数の機能を追加した。新規にカスタマイズにより搭載したのは、「楽楽明細」との連携、TREE帳票の電子化などの機能である。
二宮氏は、「お客様満足度の一層の向上を目的に、今後もシステム化に取り組んでいく考えです。次は、当社の社会的責任の遂行のためにも、セキュリティの強化を想定しています」と述べる。
[i Magazine 2025 Winter掲載]








