プロジェクトdX|今こそ変革の武器に! 日本企業の持つ強みは元サッカー日本代表監督イビチャ・オシム氏も評する“現場力”(田中良治)

 

バブル崩壊後、13行あった都市銀行は、現在の3メガバンクに再編されました。あるメガバンクのトップは、経営統合後に自ら合併に伴うシステム統合もリードされ、その遂行に献身的に取り組んだ現場を“信頼できるITパートナーの条件は、現場SEの人間力”と評されました。

このコメントは、そのプロジェクトに携わった筆者にとって、心に残る言葉となりました。エンジニアとしてキャリアをスタートし、多くのプロジェクトに携わってきた筆者にとって、勇気をもらい自身の成果に誇りを感じられた何にも代えがたい賛辞でした。

日本企業の強みは、製造業の現場もしかり、また既述のとおり、巨大ミッションクリティカルシステムを実装するIT現場においても、現場力は、その成功に大きく貢献する歴史を作りました。

この歴史を裏付ける日本人特性に、ある外国人が気づき、評したエピソードを、ビジネスではない場で腹落ちしたものがありましたので、ここに紹介します。

Jリーグのジェフユナイテッドの監督から日本でのキャリアをスタートさせ、後にサッカー日本代表の監督を務めたイビチャ・オシム氏は、日本人の特性を高く評価し、その特性を活かすサッカーで、世界の強豪国にも肩を並べる成果を私たち日本人に予感させ、期待させました。

残念ながら病に倒れ、ワールドカップでその采配を観ることはかないませんでしたが、オシム氏を引き継いだ岡田武史氏は、前回大会で予選敗退だった日本代表を南アフリカワールドカップでは予選を突破させ、ベスト16にまで導きました。

オシム氏が評価した日本人特性は、アンビバレント、一見相反してみえるものを無理なく同居させる懐の深さでした。

 

 

 

オシム氏のサッカーは、攻撃と守備でポジションごとに縦割り意識を持つ選手たちの枠を超えた、高度に機動性と柔軟性を発揮するものでした。

またそのオシム氏のリーダーシップ、指導力の秀逸さは、選手を監督の操り人形のごとく動かして成果を求めたのではなく、選手1人1人が、ゲームの中で刻々と変化する状況にも、自ら考え判断する行動様式を引き出したことでした。

選手たちは縦横無尽に献身的に動き、時に敵にとっては神出鬼没に見えるプレーが脅威を与え、ジェフユナイテッドでも、また日本代表でも大きな成果を残しました。

変革が求められる日本の今に必要なこととして、両利きの経営で注目された、“知の深化”と“知の探索”の二律を同時並行して追求し、変革を成し遂げることに成功のヒントがあると思います。

日本人特性に支えられた現場力は、二律を同時並行追求しながら変革を成し遂げるに十分な能力を有し、世界に誇れるもので、過去のさまざまなシーンでの成功を支えた結果が、それを証明しています。

現場で体を張って、誇れる仲間たちと苦楽を共にしてきた時間がキャリアの全てである筆者は、現場力を信じ、しかし慢心することなく、日本の回帰を支える戦力として、これからもその一翼を担う存在でありたいと思っています。

 

著者
田中良治

株式会社ソルパック
CDTO 上級執行役員(一般社団法人CTO協会所属)

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