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FaaS、フロー設計、運用支援をセットしたデータ/システム連携のためのクラウド基盤「Qanat Universe」

 

 最近、アプリケーションの実行やシステムの運用に求められる機能・リソースを自動的に割り当て、必要に応じてスケーリングするFaaS(Function as a Service)が注目を集めている。開発者にとってはシステムの管理や調整が不要になるので、アプリケーションの開発・運用だけに専念できるメリットがある。

 JBアドバンスト・テクノロジー(以下、JBAT)の「Qanat Universe」は、このFaaS機能にAPIゲートウェイ機能とフロー設定環境をセットした「データ・システム連携基盤」(JBAT)である。

 ユーザーは、NodeREDベースのフロー編集画面で、メニューから「機能」や「サービス」を選択し、処理の順番につなぐだけでアプリケーションを開発できる(図表1)、また、実行環境へのデプロイもワンクリックで可能である。

 

「今の時代は、何かアイデアを思いついたら、すぐにプロトタイプを開発し、検証することが大切です。しかしながら実際は、その手前の環境のセットアップに工数をとられ、テンポよく開発・検証を行えないのが実情です。それでは、せっかくのアイデアを活かすことができません。Qanat Universeは、そうした“壁”を取り払うべく開発した当社独自のFaaSで、イメージするアプリケーションをすばやく開発し、そのまま実行環境にデプロイもできる、運用支援を備えた新しい開発基盤です(図表2)」と、先進技術研究所の浜口昌也所長は説明する。

 

 Qanat Universeは2016年秋にリリースされたサービスである。今回改めて紹介するのは、リリース後、新しいサービスを多数追加しているのと、ユーザーサイドでの利用が進んでいるからである。

 追加したサービスには、次のようなものがある。

・ペッパーとつなぐ
・kintoneとつなぐ
・Lineとつなぐ
・Facebookとつなぐ
・デジピタとつなぐ
・Faxとつなぐ
・OCRとつなぐ
・デジタルペーパーとつなぐ

 上記のサービスを使って「15分ほど」(浜口氏)で開発したのが、図表3である。デジタルペーパーで手書き入力した伝票の内容を、AI-OCRで読み取り、デジピタ!でリコメンド、kintoneで作成済みの受注管理システムに入力して外部の基幹システムへ登録する、というアプリケーションである。これも、フロー編集画面上で各種機能とサービスをつなぎ合わせ、スクリプトをごくわずか追記しただけで開発した。

 

 

 図表4は、今年5〜6月開催の「JB Group IT Forum」用にJBグループ内で開発した「申込・受付来場システム」である。来場者の受付時にQRコードをスキャンすると開発済みの「申込者管理システム」に登録され、それと同時に、営業担当者のスマートフォンへ担当顧客の来場が通知されるという仕組みである。また、展示ブースでQRコードをスキャンすると、立ち寄った来場者の申込情報を出展各社が参照できるようにもした。 

 

 この一連のシステムにQanat Universeが部分的に使われ、開発期間の短縮を実現した。

 Qanat Universeは、PaaS的な販売を行わず、ユーザーごとに利用環境をカスタマイズして提供している。「お客様によってはIoT系は不要という企業もあり、それぞれにご要望をおもちです。当社ではそれにお応えして、お客様ごとに最適なサービスをセットし、その運用サポートもご提供しています。スムーズなご利用には運用支援が欠かせません。そこが他社のFaaSとQanat Universeの大きな違いです」と、理事でマーケティング本部長の小原鉄仁氏は強調する。

 浜口氏は、「Qanat Universeは、クラウドに取り組んできた当社の、この10年間の集大成」と話す。マルチクラウドに対応可能なポジションを活かし、さまざまなサービスを取り込むQanat Universeが注目される。

 

[IS magazine No.20(2018年7月)掲載]