Home Watson-AI-IBM i関連 IBM iとWatson Analyticsをセキュアに自動連携|福岡情報ビジネスセンター

IBM iとWatson Analyticsをセキュアに自動連携|福岡情報ビジネスセンター

by kusui

Secure GatewayとData Connectで
自動データマイグレーション

福岡情報ビジネスセンターは2017年7月、「Watson Analytics連携サービス」の提供を開始した。

これは同社が展開するコグニティブサービスの1つで、IBM iに蓄積されている基幹データを、クラウドサービスであるIBM Cloud上の「IBM Watson Analytics」(以下、Watson Analytics)へ、セキュアな通信環境で自動連携するサービスである。

Part 3で紹介しているように、Watson Analyticsはビジュアル表現しながらさまざまな角度からの分析を提案し、企業専属のデータサイエンティストのような役割を果たすクラウド型のデータ分析ツールである。

今までのBIツールとは一線を画すサービスであるが、基幹データをWatson Analyticsへインポートするには、少々手間がかかる。IBM iのデータベース(Db2 for i)から必要なデータをダウンロードし、CSVファイルを作成して、手動でWatson Analyticsへインポートするなどの作業を行わねばならない。

こうした煩雑さを考えると、Db2 for iからダイレクトにWatson Analyticsへインポートするのが望ましい。しかもできればインターネットには公開せず、プライベート・ネットワーク内にあるデータベースから簡単な手順で自動インポートできるのが理想である。企業の重要な情報資産である基幹データをインターネットに公開するのは、リスク管理の観点からためらうユーザーが多いと考えられるからだ。

そこで、「Watson Analytics連携サービス」では、IBM Cloudが提供している「Secure Gateway」と「Data Connect」という2つのサービスを利用して、安全かつ自動的なインポートを実現している。

Secure Gateway は、オンプレミス環境にあるIBM iとクラウド環境の通信をトンネリングして、オンプレミス側のリソースをIBM Cloudのアプリケーションから安全に利用するためのサービスである。一方のData Connectは、データへのアクセスとデータ分析を準備するセルフサービス式の簡易ETLサービスを提供する。

つまり「Watson Analytics連携サービス」では、Secure Gateway でプライベート・ネットワーク内にあるDb2 for iに対してセキュアなトンネリングを貼る。

そのうえでData Connect を利用し、基幹データをWatson Analytics で解析可能なデータとして取り出し、インポートする。オンプレミス環境のデータベースとWatson Analytics 間で自動的なデータマイグレーションを実現するのである(図表1)。

【図表1】Watson Analytics連携サービスの概要

Data Connectはスケジューリング機能もサポートしており、定期的なデータインポートをあらかじめ設定しておくことも可能である。

「サービスの提供に際しては、一般のBIツール導入時と同様に、どういう目的で何を分析したいかを明確化することが重要です。それから、IBM iとWatson Analyticsの連携環境を構築します。環境構築は1日程度あれば完了です」と、福岡情報ビジネスセンターの坂本新氏(Cognitive Service事業部)は語る。

 

本格的な需要予測の実現に向け
「Watson Analytics連携サービス」を検証

IBM iユーザーのWatson Analyticsに対する関心は高く、「Watson Analytics連携サービス」を発表以降、数社のユーザーが導入を検討しているという。そのなかから、IBM i上で基幹システムを運用する、あるアパレルメーカーの例を見てみよう。

このユーザーは生産量の予測に基づく製造ラインの確保を目的に、5年ほど前からBIツールを運用してきたのに加え、Query/400で作成した大量のクエリー資産を継承すべく、Web型のクエリーツールを利用している。

しかしBIツールを活用するなかで、次のような課題が浮上していた。

「BIツールの活用には、データベースや分析ツールに詳しいIT部門の担当者と、実際の業務で分析データを活用するユーザー部門の担当者の双方のスキルが必要です。しかしどちらも多忙であるため、両者が分析目的のミーティングを定期的に設けるのはむずかしく、本格的なデータ分析がなかなか進展しませんでした。BIツールを使うからには、生産計画だけでなく、年間の需要予測や商品企画に役立てたいとのニーズが以前から寄せられていました」と、このユーザーのIT担当者は語る。

そうしたなか、IBMからリリースされたのが「Watson Analytics」であった。

同ユーザーでは2017年7月ころから検討を開始し、福岡情報ビジネスセンターの協力を得て、「Watson Analytics連携サービス」を使用した実データによる検証環境の実現に踏み切った。IBM iから1カ月分、約6万件の売上データをWatson Analyticsへインポートし、商品企画の担当者を交えながら、実際の使い勝手を検証したのである。

「Watson Analyticsはさまざまなグラフでビジュアル表示し、別の角度でも分析が可能であるとか、こういうグラフ表示が適しているなど、いろいろと提案してくれます。実際に軸を変更するだけで、即座に別の角度での分析結果が表示されるので、操作は非常に簡単でした。これであれば、業務担当者の知識やスキルだけで、BIを活用していけると判断しています。今後は導入済みのBIツールやクエリーツールと連携させながら、本格的な需要予測を実現していきたいと考えています」と、前出のIT担当者は指摘する。

同ユーザーでは今後、コストパフォーマンスや各部門での活用方法、さらにどのような分析が可能であるかといった内容を精査し、役員会に向けての提案を急ぐという。

「Watson Analytics連携サービス」は、コグニティブ技術を活用して新たな基幹データ活用を実現するための近道となりそうである。

・・・・・・・・

i Magazine 2017 Winter(11月)掲載

related posts